裸足の夜  安堂


覚えてないけど嫌なんだろう
放課後、夜の前、赤黒い電柱
遥か遠く、釘で貫いている
靴底、布、からアスファルト
熱量は届く、肌まで届く
夜の浜辺を駆け回りたい
靴もなにもかも投げ捨てて
砂の感触を、珊瑚の死骸の感触を
足裏から駆け巡らせて
あたりまえに海と過ごしたい
指先の汗に張り付く砂粒も
素肌にまとわりつく潮風も
星空を霞ませる月明かりも
ああ、死んでしまって
街灯の灯りと、熱を持つアスファルト
コンビニと路地裏、不意をつくビル風
街の欠片が無機質に彩る
塗り固められた灰色の心臓
この夜は明けない、この夜は明けない










この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?