欠落  安堂


言葉はあぶく、膨れ上がる
儚く散る、すぐに消えてなくなる
かすかな香り宙に漂って
また新しい正解を探す
時は流れる、移り変わる
見渡す、限りのある絶景
他は埋没、影に隠れた
脆い理想は欲望に剥がれた
浮ついた心根に辛酸を混ぜた
細い指先でゆるやかに果てた
冷水で流す、ひび割れた心臓
思い出は仕舞わず口元で回す
疑わず、じっとり熱を冷ます
そうしている間にまたなにか見逃す
手持ち無沙汰で歩く、雑音の中
両の手の平は熱を求めてる
口当たりのいい言葉を転がす
かき消されては意味を見出す
乱暴にほどけ螺旋状に抜け落ちて
残ったひとかけらを拾い上げる
懐にしまってはどぶに捨てる
手を洗う、皮脂と後悔が残る
こびりついた罰、懺悔を繰り返す
さらに積み上がり重くのしかかる罪
最低、薄れて、色は様変わり
変わり果てた記憶に未練はうつる
時の中でさよなら、ふれて消えるありさま


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