煙  安堂

エロティカを含んだ煙

ゆるやかに立ち昇り煙のように広がった

口元の赤 じわりと燃える

口元の紅 妖艶に濡れる

果てた残り香とくだらない残滓

みっともなくよがったシーツの上

味気なく横たわっている

暗い部屋に浮かぶささくれた指と

惨めに焦れた吸い殻がせつないので

透けるグラスに逆さに垂らした

愛も生活も鍵も徳もない部屋で

瞳は煙を上げて燃えていた

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