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【後編】憧れのキャンプ地へ!〜本栖湖〜


そのころ、私は一台の品川ナンバー車に煽られていた。牧場通りを抜けたところ、山道の手前。さっさと抜かして行きゃいいのに、三輪の原付を煽って何が楽しいんだか...

偏見だが品川ナンバー車は大抵こういうしょーもない煽りをする。足立ナンバーは高速で抜かしていくだけ。彼らはスピード狂なだけで案外治安は悪くないのです。

でも、


全然、


全然、


気にならナーイ!これから本栖湖ダカラ!!



ついに、私は、憧れのキャンプ地へと向かっている。青看板に“本栖湖←”が見えたときの興奮。


しばらく走って短いトンネルを抜け、クネつく山道を少し登ったところ、突然樹々が遮っていた視界が開けた----

----!!!


うわぁ...


思わずバイクを停める。


これが、本栖湖。


最近見た湖は流木と枯れ葉、ゴミと変な泡にまみれたものばかりだったこともあるが、異常に綺麗。美しい。


「なぎさ...すごくない?」


ご機嫌なままキャンプ場へ走る。
なぎさも心なしか調子が良い。


■つ、着いた...着いたー!
アニメでしか見たことのない管理棟。
てか再現度やばい。アニメが先か実物が先かわからないくらいのやばさ。

一通り説明を受けてサイトへ。
日差しが強い季節は林間サイトが人気らしいが、俄然湖畔を選びます。

キャンパーはいるけど、ある程度隙間を空けて設営されている感じ。

「お兄さん、東京からこのバイクで来たの?これ原付??」

不意に声をかけられてちょっと驚く。
やば。色白イケメン。Tシャツからでもわかる適度に筋肉質なお身体。

「僕たちもう帰るから、ここ使いなよ。めちゃくちゃ良いよ!」


目の前で最高のイケメン様に絶好のスポットをおゆずりいただいた。しかも薪に使えそうな木まで落っこちてる。この時点で神キャンプ場認定です。


いつもならすぐ設営始めちゃうけど、しばらくなぎさに持たれながら、湖と富士山を見つめてみた。

富士山、別に興味なかったけど、少し近くなっただけでこんなに魅力的なんだ。日本のシンボルってのも納得だわ。

10時を回ったところで設営を開始。
ふだんきっちり畳む物も全て適当に詰め込んできたので楽。




最高じゃないか。。。


椅子に座っていると、日差しは温かく、湖面から吹くそよ風が涼しい。
そのまま1時間ほどダラしなく寝落ち。
そして腹が減って目が覚める。


そこで初めて何も食材も飲み物も購入して来ていないことを思い出す。

「ほうとう、食いに行っちゃうか!」

お昼は買い物も兼ねて30分ほど走って河口湖付近へ。わりとメジャーな小作でほうとうを食べ、なぎさにも飯食わせ(ガソリン)てから買い物して戻る。

片道30分ほどのお出かけだが、晴れた樹海を走るのはとても気分が良い。

あとは...




ひたすらグダグダ過ごす。
薪の用意をしようと、ここでゆるキャンのアニメでのやりとりを思い出した。

「薪は林の中のものを自由に使ってください」

が、非常によく整備されているのか、落ちた枝はすぐ拾われてしまうのか、全然落ちていない。松ぼっくりですら3つがやっとだった。現実は厳しい...。



薪割りしているとちょっと汗をかいたので、湖に足を着けてみる。くぅーーー冷たくてクセになりそう。



ご覧くださいこの透明度。
時折デカい魚が近くまで来ます。
こいつらを食う「幻の巨大魚」がいるかもしれない噂を思い出して急に怖くなった。



どうでも良いことですが、友人から「どこのキャンプ場いるの?」とメッセが来たので、Google マップの位置情報を送信したところ「湖に沈んでることになってるよ」と突っ込まれた。ほんまや(´-`)


そして少しずつ日は暮れていき...

焚き火スタート。
昨日失敗したから、今日は入念に薪の準備をした。



火種が燃える。くべた木に燃え移って、パチパチと音を立てる。少し風が吹いて、湖畔にはさざ波のような音が。虫の音も聞こえる。カエルの声もする。



この日は周りのソロキャンパーさんも静かに過ごしたいベテランぽい人が多く、人の生活音がストレスになる僕にとって、とても優しい時間だった。音楽でシャットアウトしなくても良い。心地よい自然の音...


晩御飯は...


ドーン!!!



やはりこれ。初の本栖湖でこいつを食べない理由がない。


うまい。うますぎる。
なんでこんなにうまいんだ...
間違いなく美味しさの限界突破。

ちょっと足りなそうだったので、あとはコンビニのビビンバおにぎりを焼きおにぎりにして食べました。ゲフ



いつもなら食べた後は早々に片付けてテントでゴロゴロするけど外にいたい。できるかぎり外で過ごしたい。

このキャンプ場には魔力がある。
温かいのに、ちょっと切ない。
またその切なさが心地よい。
満ちているのに、少し寂しい。
誰かに会いたくなる。
会いたい気持ちに連れてこられた寂しい気持ちは、東京で感じる寂しさとはちょっと違う。しんみりするのではなく、じんわりと温かさを感じるための寂しさというか。


なんとも言えない気持ちになる。
別に誰かに恋をしていたわけでもない。

なのにLINEしている家族や友達が妙に愛おしく感じる。


良い夜だ。



ちなみにこのカットいつ見えるかなと思い待っていたが、夜は少し雲が多くて見えなかったのと、この空間を過ごせている満足度が高すぎて、富士山が目の前にあることを忘れてしまっていた。(バカバカ!私のバカ!


その後、コインシャワーチャレンジしてから眠りにつきました。

あ、コインシャワーチャレンジとは200円で2分のシャワータイム中に普段10分かけている工程を完遂させるタイムアタックのことね。
普通にできました。人間ってすごい。




■そして、夜が明けた。

朝5時、自然と目が覚める。22時ごろには寝落ちたのて、7時間ほどノンストップで眠っただろうか。まだ薄暗いが、もう朝の気配だ。

少しずつ、朝になっていく。
湖畔には朝の富士山を撮影しようと、宿泊したキャンパーたちがちらほらいた。


..........!!



この表情そのまんまになりますね。

全てはこの時間のために来たようなもの。

感無量です。



■聖地巡礼を終えて

今回泊まった浩庵キャンプ場、決して高規格ではないのもあってか、周囲のキャンパーさんの装備たるや、すさまじいものだった。
ポリコットンのワンポールテントにおしゃれなラック、ごついコンテナボックスにポータブル電源、うん万円しそうな焚き火台からカラトリー、火吹き棒、手斧にいたるまで全てがハイスペック!

素敵だなぁとは思いつつ。

自分は必要最低限のこじんまりとしたスタイルで充分だなぁと。

自分のキャンプスタイルに少し自信が持てたし、確立された気がする。


キャンプスタイルなんて、正直コロコロ変わると思う。かっこいい!と感じるギアだって、そう。先週は知りもしなかった道具に今週は夢中になる。

ソロキャンプだもの。
自由さだけは失わずに行こう。
「スタイル確立」で可能性を狭めちゃもったいない。

なんででしょうね。キャンプをするたびに、抱え込める「矛盾」がどんどん増えていくんですよね。白か黒か?うん、どっちも!的な。


ここまでが、私のキャンプでいうところの第一章。プレステ時代のFFでいうところのDisc1。

これからどんな風に過ごしていくんだろう?
10年後はどんなキャンプ、してるのかな?


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