夢幻鉄道 1 異星人
ある日、誰かが見ている夢に、迷いこむ。
それが、夢幻鉄道の、エピソードとなる。
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私が、迷い混んだのは、地球とは違う星に住む“レー”という女性の見ている夢だった。
場所は運動場のような、ぐるぐる周る場所。
“レー”は自転車を改造し、この運動場で、アイスクリーム屋台を経営している。
実際に、この屋台を引いたり押したりしつつ、日がな1日アイスクリームを売るのは、“シャー”に任せた。
“シャー”の容姿は、おばあちゃんというにはほど若い。くるくるパーマ頭だ。
ある日シャーが『レーさんや、パンクしてしまって、仕事にならない。』『パンク修理代1000円の7倍の7000円を私に払っておくれ』と申し立ててきた。
この申し立てに解せないレーは、運動場の管理人のような存在、ドーム番人の元へ走った。
『ドーム番人、シャーったら、貸してあげている自転車をパンクさせた上に、修理代の7倍の金額を払えと言うんだよ。おかしくないかい?』
しかし、ドーム番人は『あなたの言う話は、この星の常識と離れているのです。』『だからあなたは、シャーに7000円支払いなさい』と繰り返すばかり。
…
そこで、レーの夢の中から、私は地球にいる自分に戻ってきた。
目の前には、尊敬する友人であり、パートナーである彼が、ニコニコして、私の目をのぞきこんでいる。
『おかえり』
『ただいま』
私は、私に戻ってこられた幸せをかみしめた。
レーとしてあの星で生きていくのは苦しい。
そうか、そういうことだったのか。
なるほどなあ、と気付いた。
レーは少し前までドーム番人と婚姻関係にあり、ドームの母親であるシャーの経済的面倒を一手にひきうけていた。婚姻関係解消した今も、ドームとは主従関係が続き、シャーからレーへの無心は続く。
彼が言う。
君はレーじゃなくていい。
君は君の人生を生きろ。
ドームやシャーのいる星の常識と、
私のいる地球の常識は違う。
ただ、違うのだ。
どちらが、正しいということはなく、ただ違うのだ。
違いを認めれば、それでよい。
争ったり、恨んだりする必要は、ない。
だって、地球で生きられる時間は有限だ。
誰かを愛するのにも、足りない位だ。
~おわり~
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