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夢幻鉄道 3 胸の痛みの意味

ある日、誰かが見ている夢に、迷いこむ。

それが、夢幻鉄道の、エピソードとなる。

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乳ガンかも、しれない。

左胸に、尋常ならざるいたみがある。

夫からは、あまりに、私がいたがるので、毎回何だよ、といやがられている。

だから、毎年、9月になると、住んでいる自治会の女性検診を受けている。今年は、昨年および一昨年に比べると、格段に食欲もなく、あばら骨の部分もいたい。骨に転移しているなと、静かに覚悟を決めた。

子どもたちが母亡き後、困らないように、死に支度が出来るなら、癌だと分かった方が準備ができる。

身を固くして、主治医の回答を待つ。

『そういうお胸の体質です。』

『いたみがある、ということなので、本当にかわいそうだとは思うのですが、薬をのんでもなおりません。乳腺にも異常はありません。生理が近づくと、痛みはMaxになりますが、その期間を過ぎれば、痛みは和らぐでしょう』

その事を夫に、告げる。

ふーん、と興味はなさそうだ。

『じゃあ、あなたの気のせいってことだよね』と、迷惑そうにしている。

その冷たさにはもう慣れた。

眠りにつく。

夢の中で、私ははりつけの刑に処されているアラブ系とおぼしき女性だった。

重い太い木が、まるで除夜の鐘をつくときのように、私の心臓目掛けて、何度も何度も繰り返される。

私は気絶する。

すると冷水が、あびせられ、意識が戻る。

意識が戻ると、また除夜の鐘状態だ。

物見遊山な民衆が、やれやれーとばかりに騒いでいる。

その民衆の中から、ある少年が、除夜の鐘をついている兵士の手元を目掛けて、小石を投げているのが、目に入った。

見つかっちゃうよ。どうせ私は死ぬのだから、このまま1秒でも早く死なせて。

君はそんな危ないことしなくていいよ。

もちろん、声は出ないが、そう念じた。

ああ、しかし、神様はいないということか。

その少年は、小石を投げたことが見つかっしまい、その場で引っ捕らえられ、私の目の前で殺されてしまった。

私もまもなく息絶えた。

夢から目覚めると、夫はさっきと全く同じ姿勢で、ネットを見ていた。

その横顔は、、、あの少年と重なった。

ああ、夫はあのときのあの少年か。

それなら、私への冷たさや、それでもと私が夫を支えていきたいと思う訳が分かる。


更には、この左胸、あばら骨の原因不明の痛みの正体も分かる。

そうか。有難う。

この平和な世界で、夫婦になれて、恩返しさせてもらうね。

言葉にはせず、静かにそう思った。

~おわり~








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