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交通機関のバリアフリー対応はほぼ唯一の駅員とのコミュニケーションかも

このところ、外に出かけるときは車椅子WHILLで出かけている。
これまでは徒歩圏を超えて出かける場合はタクシーを使っていたが、最近、電車を利用するようになった。

以前の投稿に書いたように、折りたたみのできないWHILLは後ろのトランクに乗らないので、ジャパンタクシーというボックス型のタクシーを呼んで、助手席と後部座席を移動させてそのまま乗せるしかないのだが、その座席の移動のさせ方を忘れてしまっているタクシー乗務員が多く、8割方の人が車椅子を乗せるために四苦八苦、すごく時間がかかってしまう。一度は別の車を呼び直したこともあるくらいだ。それに、車というのは乗っている間、結構、身体が揺れる。この振動が私の胸の鎧にはよろしくない感じがして、このところタクシーを利用するのも躊躇しているのだ。

また、最近、温熱治療に通い始めたのだが、その病院のある場所がタクシーだと片道6000円弱かかる。往復だと12000円。それに治療費を考えると、毎回タクシーに乗るのは厳しい。そんなこともあって、電車を利用して行ってみたところ、思いのほかスムーズだったのだ。
自分が健常者として車椅子の人が電車に乗るとき、乗務員がスロープを置いて乗ってくる車椅子の人を見ながら、大変そうだなあと思っていたが、実際自分がそうなってみると、交通機関の人々の対応も慣れたもので、意外にストレスを感じることがなかったのだ。

初めて車椅子で電車を利用したのは丸の内線沿線にある病院に行ったときのこと。すべて地下鉄利用で行ける場所。自宅から駅までタクシーを使うと面倒なので、ちょっと遠めだが、最寄りの日比谷線上の駅までは車椅子で行った。

進行方向側のエレベーターでホーム階に行き、改札のところで職員に声をかけると、まず目的地を聞かれた。目的地の駅にも伝えておくためである。

私は事前にジョルダンの乗り換え案内で調べた乗り換え経路を告げた。
乗り換え案内では日比谷線から丸の内線への乗り換えは銀座駅となっていたので、銀座で乗り換えて丸の内線の○○駅で降りたいと伝えたのだが、駅員によれば、銀座での乗り換えはエレベーターがなく、階段を昇降機で昇ることになるので、その先の霞ヶ関で乗り換えた方がいいと教えられた。

駅員は、じゃあこの経路でいいですかと私の確認を取ると、スロープを持ってホームにやってきた。この間の時間、改札を抜けて1本電車が行くのを見送り、その次の電車には乗れる程度。少し余裕を持って向かえば十分だ。

日比谷線はまだ電車とホームの間に段差と隙間のあるところが多く、スロープをかけてもらうことが必要だ。丸の内線はそもそも線路にカーブが少ないこともあって、電車とホームの間の段差や隙間は少なく、あってもすでに工事されていて、スロープがなくても、一人で車椅子で乗車できるドアが多い。ただ、乗った駅でスロープなしで乗れても、降りる駅では段差が大きい場合、駅員さんに伝えておかないと下車できないことになってしまう。
今後、すべての駅の車両とホームの段差や隙間を無くす工事が完了すれば、駅員さんの手を煩わせずとも乗れるようになるが、まだそれにはしばらくかかりそうだ。なので、現時点では乗車駅で利用するすべての駅を伝え、その先々の駅に伝えておいてもらうことが必要である。

でも、伝えておきさえすれば、その後は実にスムーズだった。
まず、乗車は車両に車椅子ベビーカースベースのある車両に乗り込む。
車両にスロープをかけるのにかかる時間はものの数秒。車椅子で乗り込むのも数秒。他の乗客を待たせるというほどの時間はかからない。

車両に入れば車椅子スペースに横付けして、車輪をロックすれば、車よりも揺れは少ない。発車や停車時は脇にある手すりをつかんでおけば良い。

経由地に着いたら、乗車車両のドアの前に、すでにスロープを持った駅員が待っていた。下車もスムーズ。駅員はそのまま乗り換えのエレベーターまで案内してくれ、エレベーターを降りると、今度は丸の内線霞ヶ関駅の駅員がスロープを持って待っていて、引き継いでくれる。

そして、下車駅を確認すると、ホームから下車駅に連絡する。
ホームにホームドアが完備されている駅ではドア上に、内駅ではホーム上にQRコードが貼り付けられていて、駅員はそれを特定のアプリを使って撮影すると、この駅の何分発の何号車何番ドアに車椅子の人が乗ったかが、下車駅に伝えられるようになっているようだ。
こんなシステムができていることなど、自分が車椅子に乗るまで知らなかった。

ホーム上のQRコード



ホームドアのQRコード

そして、電車が到着するとホームで同様にスロープをかける。乗車する。
下車駅でも乗車車両前に駅員が待っていてアテンドしてくれる。終始非常にスムーズ。さすが公共交通機関である。これでホームの段差や隙間を無くす工事が進んで完成すれば、駅員さんを煩わせることなく、一人で乗り降りすることも可能になる。

この日、病院での診療が終わった後、帰りは友達に合流してもらい、JRでの乗車も試してみた。丸の内線を新宿駅で乗り換え、山手線で上野駅下車というコースだ。

さすがに新宿駅は人が多く、圧倒される。
友人と新宿で合流する約束をしていたので、待っている間、どこかのカフェにでも入ろうかと思ったが、私が出てきた西口の地下広場には車椅子で入れそうな店が見つけられなかった。
途中で、多目的トイレを見つけたので、入ってみようかと思ったが、かなり古いタイプのようで電動のドアの開閉ボタンがない。
座ったままの力が入りづらい状態で、ましてや私は今、腕に力を入れると胸の鎧に響くので、結構重い金属のスライドドアを開けることができなかった。こういうものは早く、軽くスライドできるドアに変えるか、自動開閉にしてほしい。

新宿駅西口地下の多目的トイレ。ドアが重くて座ったままでは開けられず。自動ドア希望。

新宿駅では1階にも上がってみたが、車椅子で入れるカフェが見つからず、結局、小田急百貨店の上に上がってみた。何階かにあった和風のカフェに行くと、そのまま車椅子で入って、元から置いてある椅子を一つ外して、席に案内してもらえた。ここで、玄米茶を飲みながら友人を待つ。

友人到着、その店でそのままご飯を食べて、ちょっと話をして、一緒にJR山手線のホームに向かう。

改札口で上野駅まで車椅子で行きたい旨を伝えると、少々お待ちくださいということで、担当者を呼ぶ。改札での待ち時間は地下鉄よりちょっと長くかかったが、1日の乗降客日本一、1日200万人以上が利用する広い駅であるから、担当者の到着まで時間がかかるのもしょうがない。

あとは地下鉄と同様の対応。
新宿駅では1日に何人くらい車椅子利用者がいるのか聞いてみたところ、1日100人くらいとのこと。200万人も乗り降りするのだから驚くことではないが、おもったより多いという印象だ。

上野駅でも乗車車両前で駅員が待つ。
上野駅は構造が複雑なので、乗るエレベーターを間違えると、思った改札口に出られない。そこは駅員が、どの改札口に出たいかを聞いて、適切なエレベーターに誘導してくれる。そして、エレベーターを出たところで駅員と別れた。

ちなみに、上野駅での車椅子乗降は1日50人程度。
毎朝通勤する常連さんもいるということだった。
私が「車両とホームの段差の工事が全部完了したら、一人で乗れるようになりますよね。」というと、その駅員さんは「遠慮せずに私たちを使ってください。」と言った。

改札も自動、切符買うのも券売機と駅員とのやりとりがほとんどなくなってしまった中で、車椅子での乗降は数少ない駅員とのコミュニケーションがとれる時間なのかもしれない。

ちょっと公共交通機関を見直した。
でも、これも都会だからこそここまで進んでいるのかもしれない。
というのも、私の実家がある愛媛の八幡浜駅には、未だホームに移動するためのエレベーターがなく、2番線と1番線の間の移動はその間にかけられた歩道橋を上り下りするしかない。車椅子の人が乗った時はどうしているのだろう?これは今度聞いてみることにする。

というわけで、私は今、片道6000円のタクシー代を使わずして、242円の電車賃で病院に通えている。
もちろん、駅までの移動は道もガタガタであまり気持ちの良いものではないが、電車に乗って仕舞えばあとは勝手に運んでくれる。

まだまだ慣れない車椅子移動生活だが、はやくこれを克服できることを願いつつ、焦らず今できることをやりたいと思う。

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