33.ぽち

気になる、

気になるんだ。
私の右手の甲に
ぽちりとくっついたそれは、
そばかすでもなく。
黒子でもない。

色が濃いので、
黒子のように見えなくもないのだが
本当にど真ん中にぽつんと陣取っている。

小学生の謎なのだが、
小さい手や二の腕や体のどこかに
どうしてか鉛筆の芯が入ってしまった、
ということが稀におきる。

あれは一体なんなのだ。
不注意で鉛筆が手に刺さってしまうことって
そんなに頻繁に起こるのだろうか？

という私も、たしかに思い返してみると
小学生の娯楽のひとつとも言える
凝った文房具を集めることに興じていた頃

小指の爪ほどのサイズのイチゴを模した消しゴムが
てっぺんにくっついている鉛筆用のキャップを
気に入って使っていた時の事。

キャップを鉛筆の芯の方ではなく、
フェルール側に付けているのを忘れて
手のひらで鉛筆の頭を勢いよくポンと押した。

「　っいッ！！　」
あとはご想像にお任せします。

このいつからあるのだか分からない
右手の甲の真ん中の点は
もしかすると鉛筆の芯なのかもしれない。

刺青のようにも見えるけれど、
こんなにセンスのない刺青は絶対に入れたくない。

調べてみると皮膚癌になるだの、
掘り出すだの、
怖いことばかり書いてあるので

そばかすでも、黒子でも、鉛筆の芯でもない
こいつに、名前をつけようと思う。

ぽちりと小さいくせに、
ど真ん中を陣取って
笑っているようにも見える

ぽち　　と呼ぼう

こんにちは、ぽち。