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3.ジャングルウルトラ 2022 / Day3:Logging(40km)


最悪だ。ほとんど眠れなかった。

昨日、土砂降りの雨の中ゴールした。
そこに日本人選手のYさんが出迎えてくれた。このレースの辛いところは、その日ゴールしたら既に設置済みのテントに滑り込むことができないことだ。

ハンモックの設置をしなければならない。
激しい雨が降る中、暗闇をヘッドライトで照らしながら、ハンモックステーション内を歩き、ハンモックを設置できるポイントを探す。

2箇所あった。
しかし、これはどう見ても設置するための十分なスペースがない。レーススタッフに他に設置できる場所がないか確認すると、やはりこの2箇所しかないと言われる。

では、すぐそばにある木の間隔がちょうど良いから、そこに設置できないか聞いてみると、木を傷つけてしまうから、ハンモックステーション以外の場所はダメだと言う。

「・・・・・・・。」

この2箇所のうち、まだマシな方を選択し、ハンモックを設置するが、これはどう見てもスペースが不十分で雨がハンモックの中に入ってしまうんじゃなかろうか?



不安的中。


雨足が激しくなり、横殴りの雨が降ってくる。ハンモックの屋根(フライシート)を伝って、雨がハンモックの中に入ってきた。最悪だ。原因はわかっている、フライシートがスペースの関係で十分に張れないからだ。

原因と対処法が分かっているのに何もできない。
ただただハンモックに入ってくる雨の被害を最小限にしようとハンモックの中で抵抗を続けるが、寝袋が完全に濡れてしまった。そして、私もびしょ濡れ。


さ、寒い・・・。


そうだ、必須装備のエマージェンシーシート(筒型)があったのを思い出した。ザックからエマージェンシーシートを取り出して、暖を取る。初めて使用したが、ほんとに暖かいんだなと安心したのも束の間、エマージェンシーシートからでもハンモックに入ってくる水の冷たさを感じるようになったのだ。

ハンモックの中でもがきまくる。
とにかく体が冷えないように、雨水が体に触れるのをどうにか避けなくては、、。悪夢のような夜を過ごす。


明け方、4時頃だったかと思うが、どうしてもトイレに行きたくなり、土砂降りの雨が降る中、大会スタッフ達が眠る建物の中にあるトイレに向かう。と、トイレのそばには屋根付きのちょっとしたスペースがあるのだが、そこに何人かの選手が雨宿りをしていた。

聞いてみると、ハンモックに水が浸水して寝袋が濡れたから避難してきたと言う。

え?!そうなん?!避難して良かったの?
再び、雨の中、ハンモックに戻り、濡れた寝袋や食料などの必需品を持参して、みんなと一緒に避難生活(!?)を送ることにした。




って感じで、3日目の朝を迎えたのだ。
とにかく睡眠不足(ほとんど寝ていない)のため、若干(?)の倦怠感だ。もう出走せずにリタイアしようかとずっと考えていた。ほぼほぼ「出走しない」の方向に心が傾いていた。

ハンモックに水が浸水して、先に避難していた60代くらいの女性選手が、
「私は出走するわよ。」
と言うではないか。

えーっ、昨晩同じような状況下にいて、しかも私よりも10歳以上も年上と思われる女性が出るって言っているんならば、私も弱音は吐いてられないな….。


この日のコースはまずはZip Wireで川を渡ってからのスタートとなるのだが、後続の選手から先にスタートすることになった。私は一番最初にスタートするグループの中に入れられ、Zip Wireのある場所までスタッフの案内で向かう。

Photo Credit: Beyond The Ultimate
Zip Wireで川渡り


川を渡り切ったところでスタート(何時だったか忘れた)だ。雨は止んだものの、またいつ降り出すかわからないような天気である。そして、ザックが地味に重くなっている。そう、寝袋など装備が乾いていないからだ。

普通のステージレースだと荷物が日に日に軽くなって行くっていうのに、逆に重くなるってどうゆうことよ?(怒)

一晩中、激しい雨が降った後のジャングルは最悪だ。ドロドロのぐちょぐちょである。こういう時に限って、急斜面の下りだったり、上りだったりして、足元滑らして膝ついたり、尻餅ついたりしまくりだ。

Photo Credit: Beyond The Ultimate


後からやってきた選手にどんどん抜かされていく。日本人選手Y氏も軽やかに抜き去って行ってしまった。ぐちょぐちょ、ドロドロのトレイルに四苦八苦しているうちに、気がついたら安定の最後尾になっていた。


頭がぼーっとして思考能力が低下しているのが自分でも分かった。足元がちょっとふらつき気味なのだ。ほぼほぼ直角、ドロドロの滑り台のようなトレイルで尻餅ついたら最後、加速して木に直撃して、当たり所が悪ければ大怪我してたかもしれない。

もう水量多めの川渡りなんて、へっぴり腰で恐る恐るいく。

Photo Credit: Beyond The Ultimate


ちょっと体調を崩してしまったかもしれない。
これ以上、レースを続行すると、怪我したり、大変なことになるかもしれない。ここは潔く撤退しようと心に決める。


とは言っても、ジャングルの中だ。
CP1まで移動しないと、ここには大会車両すら入ってこれないような場所だ。

と、スイーパー達が追いついてきたので、CP1でリタイアする旨を告げた。
「リタイヤするのであれば、重いザックを背負う必要はないよね。持ってあげるよ。」と言うので、ここは遠慮なく持ってもらうことにした。


はい、リタイア確定しました。


ここからが地獄の始まりだった。
私の中ではレースは終わったものとなったのに、6km先のCP1までは自力で移動しなければならないという苦行だ。ドロっドロのアップダウンの激しいトレイルをひたすら歩まなくてはならない。頭はぼーっとするし、だるいしで、フラフラだ。

気を抜くと、尻餅ついて滑り台のような激坂を滑り落ちてしまうところを何度もスイーパーに助けてもらった。感謝!スイーパー達は長靴でひょいひょいと滑ることなくドロドロぐちょぐちょのトレイルを器用に上り下りするではないか。


えらい長い時間をかけてCP1に到着し、そこでようやく大会車両に乗せられ、本当にレース終了となった。



というか、CP1以降は林道って聞いてねえしw
(多分、頭がぼーっとしていたので、ブリーフィングをよく聞いていなかったのかもしれない。)

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●第3ステージ
[開催]2022年6月7日(火)
[距離] 40km ?
[スタート] 現地時間 7時頃?(忘れました)

Garminの記録なし(スイッチ押し忘れました)


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