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サハラマラソン 2024 / 大会スタッフ日記



昨年、10大会連続出場・完走を一区切りとして、今年のサハラマラソンへの参加は見合わせていたが、日本事務局からの依頼で大会スタッフとしてサハラマラソンに参加することになった。

当初は「日本人選手の引率」ということで、過去にレースに帯同した日本事務局スタッフはレース開催中かなり自由にしていた様子を見ていたので、「楽勝だな」と思っていたのだが、、、。

パリへ移動する2−3週間前に、Runner Relation とかいうものに属していることを知らされ、パリへ出発する日の未明にオンラインミーティングで、大会初日のワルザザードへ移動する日のスタッフとしての仕事内容の説明を受けた。

思わずぼやくよね



 こんなんで大丈夫なのか?と不安になったが、蓋を開ければ、まあ何とかなるもんなんだな、と。サハラマラソンを経験していたからこそ、現場でどう動けば良いのか臨機応変に対応できたと思うし、我ながら自画自賛したいくらいだ。




以下は、
大会終了後に日本事務局へ提出した報告書の一部を差し障りのない範囲で抜粋したものである。

サハラマラソンは、本部、マーシャル、ランナーリレーション、メディカル、ロジスティック、ドライバー、メディアなど約300名のスタッフで運営されている。



ということで、ランナーリレーションのスタッフとしての作業となる。

4月10日(水)
J L45 便(10:55 羽田発で)パリ入り。

4月11日(木)
18:00〜ibis CDG にて日本人選手顔合わせ、質疑応答。

4月12日(金)
4:00 CDG T3 集合(大会スタッフジャケット受け取り)
7:00 パリ発にてモロッコ入り
ワルザザード空港にて選手のバス誘導(ロードブック、ランチパック等の配布)
野営地までバス移動の引率
大会本部テントにて水ボトル配布、受付など
大会スタッフミーティング
20:00 頃 夕食

4月13日(土)
6:00 頃 朝食
7:30-14:00 頃 テクニカルチェック(受付、用紙記入チェック、計測など)
14:00頃 昼食
大会本部テントにて水ボトル配布、受付など
大会スタッフミーティング
19:00頃 夕食

4月14日(日) Stage1
6:00 頃 起床・朝食、選手テント巡回
8:00-15:00 頃 CP1 設営、給水作業
大会スタッフミーティング、選手テント巡回
19:00頃 夕食

4月15日(月) Stage2
5:00 頃 起床・朝食、選手テント巡回
7:30-15:00 頃 CP2設営、給水作業
大会スタッフミーティング、選手テント巡回
19:00頃 夕食

4月16日(火) Stage3 オーバーナイトステージ
4:00 頃 起床・朝食
5:00-13:30 頃 CP1 設営、給水作業
13:30 頃 昼食
15:00-翌日0:30 フィニッシュライン

4月17日(水) Stage3 オーバーナイトステージ
6:00 頃 起床・朝食
6:45 頃〜17:30 頃 フィニッシュライン
17:30 頃 コカコーラ配布
19:00 頃 夕食

4月18日(木) Stage4
4:30 頃 起床・朝食、選手テント巡回
6:30-10:00 頃 CP1 設営、給水作業
11:00 頃〜フィニッシュライン
19:00頃 スタッフミーティング、夕食

4月19日(金) Stage5
5:00 頃 起床・朝食、選手テント巡回
7:30-14:00 頃 CP3設営、給水作業
14:00 頃〜フィニッシュライン
19:00頃 スタッフミーティング、夕食

4月20日(土) Stage6
4:00 頃 起床・朝食、選手テント巡回
5:30-6:30 スタートライン(ビーコンチェック等)
8:00-12:00 頃 フィニッシュライン
12:00 頃〜ワルザザードバス移動引率
18:00頃 ワルザザードホテル着

4月21日(日)
7:30-10:30 頃 アンバサダーミーティング
11:00頃 SolidaliteMDSスポーツセンター見学
19:30〜表彰式、パーティ

4月22日(月)
5:00 ホテル発
8:00 ワルザザード発
12:15 パリ戻り、空港にて解散


とまあ、こんな感じのスケジュールで大会スタッフとして働いていたのだが、この報告書も帰国してからまとめたものなので、時間についてはあやふやだ。

 食事の後にミーティングで呼ばれたりもしていたし、とにかくあちこち動き回っていて休む暇はほとんどなかった。


 ワルザザードからバスで引率を終えて、最初の野営地で落ち着いた時に渡されたのが、ボランティアスタッフ専用のロードブックだ。

ボランティアスタッフ用のロードブック



テクニカルチェックの日から、最終日の第6ステージまでのボランティア作業の役割分担が記載されていて、以下のタスクを日替わりローテーションで行う。

ウェイクアップビバーク(レース前の朝のテント巡回)
スタートライン(主にGPSの動作チェック)
チェックポイント、ウォーターステーション(主に給水)
フィニッシュライン(主に水ボトル配布)
インフォポイント(主に大会本部で選手対応)
ソーシャルビバーク(レース後の夕方のテント巡回)
IP電話、エモーションボックス(受付、サポート)


まずは、
ウェイクアップビバーク、スタートライン、チェックポイントのいずれかへ割り当てられ、

その後、フィニッシュライン、インフォポイント、ソーシャルビバーク、IP電話、エモーションボックスのいずれかに割り当てられるのが1日の流れだ。

Racing The Planetのように選手より早く現地入りして、丸一日トレーニングを行うとかそういうのはない。ボランティアに配布されるロードブックに、ほんとざっくりと作業内容や、機器(ウォーキートーキー、GPSなど)の使用説明、リタイア者が出た場合の手続きなどについて記載されているだけだ。

日々の細かな調整は、ミーティングやWhat's appでチャットグループ、ウォーキートーキーの行われる。これがまたフランス語メインなので、英語圏のボランティアには端折って英語で説明される。(というか、フランス人スタッフも英語できるって話なんだけど、大体の人たちが微妙な英会話能力だったりする。一部のずば抜けた言語能力のあるフランス人スタッフに頼り切りだった・・笑)


私の場合は朝からチェックポイントに行って、その後フィニッシュラインというのがほとんどだったので、選手を迎えて、給水しながら、音楽(80年代洋楽)にのって踊り狂うだけ(笑)

オーバーナイトの時は夕方から深夜までいい加減休めと強制排除されるまで踊り続けて、他のボランティアスタッフ達が「あいつはどんだけ体力があるんだ?」「あれは絶対ドラッグをやっているに違いない。」と噂されるくらいに驚愕させてしまった。

しまいにはレース中に選手達からも
「いつも踊っている」
「You have full of energy.」
「踊っている姿を見るとこちらの疲れが吹き飛ぶ」
「元気付けられた」
などと、声をやたらかけられるようになり、最終日にはお礼まで言われた。


ボランティアスタッフも選手と同じ、ベルベルテント(タープ)で寝泊まりするので、就寝中に砂嵐が来ると、翌朝に寝袋やマット、絨毯にうっすら砂が積もっていたりする。


一応体を洗うことができるが、バケツに入った水を柄杓で汲んで体に流すだけの、まさにカラスの行水だが、ないよりはマシだ。

体を洗うことができるが、簡易シャワーというよりもカラスの行水



食事は3食、ちゃんと支給される。
大会スタッフのエリアには食堂のテントがあり、そこでみんなと食事する。日中、チェックポイントなど外にいて、食堂に行けない場合は、朝食時に「ランチボックス」を作って持っていくことになる。

ランチボックスは、朝に食堂で用意されているおかずやご飯、おやつなどをタッパーに詰め込むのだ。私は主にマドレーヌ、オレンジジュースパックを詰め込んでいた。これが幸いした。ランチボックスに詰め込んだご飯が原因(と思われる)で体調を崩した人たちがレース後半になるにつれて増えてきたのだ。


大会運営が変わったことに伴い、今までずっとサハラマラソンにやってきていた馴染みのボランティアがほとんどいなくなったというのは前回の「レース総括」で触れたが、そのため、ノウハウを持った人たちが少なく、みんながみんな手探り状態で、臨機応変に何とか調整しながら行った、って感じだ。


一瞬だけ、IP電話、エモーションボックスに回された時があったが(その後すぐにフィニッシュラインに人手が足りないので移動)、そもそも何をすればいいの?って感じで、そんな時に限って、IP電話で通話ができない、エモーションボックスの動作がおかしいとかトラブルが発生するのだ。

元ITサポートエンジニアでもあるので、問題の切り分けをしながら、まあ何とかなったが、こんな感じで、いろんな場面でボランティア個人個人の力量で何とか乗り切ったという印象だ。

この辺のところは、みんなきっちり大会本部へのフィードバックをしているので、回を重ねるごとに改善されていくと期待している。


そして、「何がつらかったですか?」と聞かれることがあるのだが、あえて挙げるとしたら「早起き」と「移動」である。レースのスタートが例年と比べて、朝日が昇る前の早朝になってしまったため、CP1の担当になろうものならば、選手よりも早く起きて活動開始となる。

また、CPまでの移動がこれまた辛い。ボックスカーでの移動になるのだが、選手として走っている時は気がつかなかったのだが、まあまあの悪路である。

とにかく、ガタガタと揺れまくる揺れまくる。しかも遅い。走った方が早いんじゃいなってくらい。砂丘やジャベル(丘)を避けてやたら遠回りすることもあるし、現地ドライバーが何気に道に迷ったりしたこともあった。

トップ選手がやってきるギリギリのところでCPが立ち上がった時もあったし、他のところでは間に合わなかったってこともあった。

車が砂にはまって動けない時は全員で降りて、車を押すというのも日常生活の一部になった。


まあ何だかんだで結構楽しんでいたし、いい経験になったかな。これを読んで興味を持ったら、是非応募してみてください。今までより門戸が広くなったので、多分、受け付けているはずです。


5リットルの水の配布で腰をやられそうになった


CP設置の様子


とある日の食事


砂にはまって動けない車輌を救出に


今大会の難所のJabelのふもとで給水作業
何だか感慨深い


車輌救出の光景が日常風景になるという・・

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