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4. ゴビマーチ 2023/ Day4: The Long March to the Orkhon Valley (77.9km)


4日目はロングマーチ。
通常のレーシング・ザ・プラネットのレースではロングマーチは5日目に持ってくるはずなのに、今回はサハラマラソンと同じようなレースフォーマットになっているんだけど、なんで?

昨日、晩御飯を食べているところにちょうどレースディレクターで創始者でもあるMaryが通りかかったので、この疑問をぶつけてみた。
「全体のコースを見てみたときに、4日目にロングマーチを持ってくるのが良いと判断したのよ。」
と言う。

ん?そうなの?

「明日は昼頃から雨予報(chance of rain)よ。(ニコッ)」と続ける。

そう、レース前はジョージアみたいな雨や雹、荒天はいやーっ!って言っていたのに、いざレースが始まると、晴れ続きで暑くて暑くて、雨降ってくれないかなーと言い始めるご都合主義な私たち。


8時スタート。
どうみても雨が降りそうな気配がしないカンカン照りでございます。いやでも、モンゴルの大草原の天気はコロコロ変わりやすい。昼頃には予報通り雨が降るはずだ、、多分。

Photo Credit: Racing The Planet


モンゴルの大草原を馬が駆け抜ける。

Photo Credit: Racing The Planet


この光景をもう何度見たことだろうか。馬を自在に乗りこなす遊牧民の姿も。
何だろう、こうグッと胸にくるものがある。


スタート早々に川渡りである。

Photo Credit: Racing The Planet


もう川渡りぐらいで文句は言いません。冷んやりして気持ちいいしね。


本日のコースは約78kmと長丁場ではあるが、コースマップを見た限りでは、多少のアップダウンはあるものの、難易度の高そうなところはないようなので、時間をかけてゆっくり行けばゴールはできるはずだ。

CP3までは約10km間隔なので、まあ大体2時間くらいと見ておけば良いので、サクサクと歩みを進める。

が、CP3からCP4までが13kmと地味に長めなのがちょっと堪えた。と言うのも、今日は昼頃から雨予報だと言うのに、ちっとも雨が降る気配がしない。しかも、無茶苦茶暑い。そして、何となくアップダウンを繰り返しているコースだ。

もっと言うと、冷たいコーラが出てくるのはCP4だ!と自分の中で確信に近いものを持っていたので、早くCP4に着いて冷えたコーラを飲みたいという焦りみたいなものが、更に長く感じさせたのかもしれない。


CP4に近づくと、「Alright, Rena!」って、Maryの声が聞こえてきた。MaryがCP4にいるってことは….(喜)! 急にテンションが上がって、CP4に駆け寄る。

が、普通に給水が行われ、「サプラーイズ!」ってなやつがない(涙)
え?まさか、これはロングマーチでコーラがなかったラップランドパターン?
体から魂が抜けていく….。


「ちょっとー、雨予報とか言っといて、No chance of rainじゃないっすかー!」
と謎の八つ当たりをする始末だ。
「ここから4kmくらい行ったところに井戸があるから、バケツで冷たい水を汲んで体を冷やすといいわよ。」とMary。
さすが八つ当たりを交わすのうまい。
「でも飲んじゃダメだよ。飲めないからね。」
と念押しするドクター。


確かに言われた通りに井戸があり、そこには撮影チャンスとばかりに帯同カメラマンのマイケルがビデオを構えて待っていた。

Photo Credit: Racing The Planet


もう既にバケツの中に水が汲んであった。つか、思いっきり泥水じゃね?
誰がこれを飲もうとするんだよっ。

バケツの中にバフとキャップをつけて濡らして装着する。めちゃめちゃ冷たくて気持ちいいー!生き返ったわ!



・・・・からの、登坂地獄でございました。

Photo Credit: Racing The Planet


ゆるやーかに登っていくのだけれども、これが長い。くどい。

そして急登もあり、何でロングマーチにこれを入れてくるかなーとじわじわと怒りが込み上げてくる。アメリカ人選手と抜きつ抜かれつしながら、2人頂上に立った時は思わずお互いに褒め称えあった。

・・・・からの今度は激下り。
谷の切間みたいなところがあって、そこを避けるように体斜めになって降りる。

Photo Credit: Racing The Planet


で、そこにヨモギに似た草があってこの葉っぱに触れるとめちゃくちゃ痛い。降る時に足にそのヨモギもどきの葉に触れたらしく、痛みが走り、その痛みにびっくりして転倒しちゃったよ。

まあ、手のひらの擦り傷で済んだからよかったけど、あれ、何なのよ!?


下り切ったところで、大会車両が待ち構えていて、水を補給してくれた。いやあ、サハラマラソンと違って大会車両からの水の補給はペナルティなしってのは無茶苦茶助かります!(←今年のサハラマラソンでめちゃくちゃペナルティ食らった人)

と、頂上で喜びを共にしたアメリカ人とペースが同じになったので、少し話ながら歩く。ステージレースは初めてというニューヨーク在住のS氏は、北米とヨーロッパでジムを経営しているという。走らないけど、ハイキングするのは好きなんだよね、としっかりとした足取りで早歩きをする。

Photo Credit: Racing The Planet


村に入る。
村に入る手前から香港人選手のDちゃんが追いついてきた。
「気のせいかもしれないけど、すごく見覚えがあるんだけど、以前にサハラマラソン出てなかった?」と聞いてみたら、「出てたよー」とのこと。やっぱり!

Photo Credit: Racing The Planet



と、CP5に着いた。
ここではお湯をもらうことができるので、しっかり食事を摂りたい人はここでゆっくり休憩する。アメリカ人選手のS氏、香港人選手のDちゃんも食事を取ると言うので、ここでお別れ。

Photo Credit: Racing The Planet


っていうか、ここでコーラですか!!
サプライズも何も、思いっきりテーブルの上に置いてあり、そこから取ってちょうだいみたいな感じになっている。しかも、、ぬるかった、、(涙)

できれば真っ暗になる前にゴールしたいので、コーラを飲んで、さっさと出発。


しばらくは一人旅かなあと歩いていたら、背後から足音がする。

振り返ると、CP3あたりから抜きつ抜かれつしていた韓国人選手である。彼は基本的に走っていて、疲れると歩くみたいな感じなのだが、歩いている時に私が抜いて、彼が走り出すと抜かれてしまうって感じでずっと鬼ごっこ状態だった。


「You are amazing! 」と何度も連呼する。
ただ早歩きしているだけなのだが、、、。
この韓国人選手はトレイルランニングのYoutubeチャネルを開設している、いわゆるYoutuberだ。

「インタビューしたいんだけどいい?」と聞かれ、断る理由もないのでOKすると、ザックに挿していたGoProを取り出し、撮影を始め、英語で2、3つ質問に答えると、彼は満足そうにGoProをしまい、抜き去っていった。


疲れが溜まってきたこともあり、CP5からCP6までの12kmが長く感じた。だんだん、陽がだんだん傾いて、暑さが和らいできているが、今年のサハラマラソンの教訓から水分・塩分補給は怠らず、しっかりやる。


CP6に着くと、去年、4デザーツグランドスラムで数々のレースを共にしたアメリカ人選手Jがくつろいでいた。私を見るやいなや、
「レナ?」と驚いた表情だ。
それもそうだろう。Jと私は走力がまったく違うのでコース上で会うことはほとんどないのだ。なので、驚いたのだろう。私と入れ違いにCPを出て行った。


と、ゴールまで残り11km。
真っ暗になる前にゴールしたいので、私も念の為の給水だけ済ませ、早々とチェックポイントを後にした。

Photo Credit: Racing The Planet


モンゴルは日が長く、日が沈んで真っ暗になるのは大体21時半くらいだ。なので、21時半を目標にしていたのだが、何とも微妙な感じである。

と、後ろからCP6で入れ違いになるように入ってきたデンマーク人選手が走ってきた。彼は去年のアタカマでテントメイトだった。

「さっきCP6に入った時にちらっとスタッフの記録帳を見たんだけど、君は34番目に入ってきて、僕は35番目だ。まだ80名近くの選手が僕らの後ろにいるって信じられるかい?」

なんて言う。
そうかー、確かに今日はいつも見ない選手が周りにいるなあと思ってはいたが、上のグループにいたからなのか。でも、私の早歩きのペースはほとんど変わっていない。多分、4日目ってこともあるから、他の人たちのペースが落ちたんだな。

そして、彼は私の前を歩き始め、私が35番目となった(笑)

そこから猛ダッシュで「蠅が追いかけてくるー」とか訳のわからないことを言いながら私たちを抜き去った選手いたので、36番目になった(笑)


そして、いよいよ真っ暗になり、ヘッドライトを装着することに、、。

Photo Credit: Racing The Planet


すると、後ろから一点の光がだんだんと大きくなってくる。フランス人選手が日が落ちて涼しくなったから、これ幸いにと走って抜き去っていった。はい、これで37番目になった。

もう流石にこの後は誰も追いついてくることなく、闇の中で光量の乏しいヘッドライトでわかりずらいマーキングを探しながら、何とか本日中にはゴールできたのはよしとしよう。


ゴールしたのは22時40分くらいだったと記憶している。


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●第4ステージ
[開催]2023年6月21日(水)
[距離]77.9km
[スタート] 現地時間 8:00

Garminの記録
ゴールしてから20分くらい止めてなかったw


Garminの記録


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