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サッカーのコーチがTwitterを運用してブランディングに成功した話

※毎回ですが、個人の見解です。

本日は「大分トリニータサッカースクール」がTwitterをつかってブランディングに成功した話をします。

2019年5月、「大分トリニータサッカースクール(以下、「スクール」)」はTwitter上で産声をあげました。
『サッカーのコーチがTwitterを運用する』という新しいチャレンジがスタートしたのです。
当然のことながら、ITリテラシーもないコーチ陣ですが、数々の試行錯誤を繰り返し、見事Twitter上で1つのブランディングを確立させることができました。
その実績と、なぜここまで成長できたのかをご紹介したいと思います。

▷[Why] なぜ、Twitterをスタートしたのか?

会社(クラブ)におけるスクール事業のミッションは、会員数を増やすことです。
これまでスクールでは、オフラインでの告知活動やスクール生の紹介などが集客のメインでした。
しかし、今日のインターネットの普及に伴い、ユーザーの情報収集の方法に変化が訪れました。
これは例外なく、スクール事業における顧客ターゲットも同様です。
そういった背景の中、IT・SNSを活用した集客施策へのトライは「可能であれば」から「必要不可欠」へと位置づけが変わりました。
そこで最初に着手したのが独自Twitterアカウントの開設です。
目的は「トリニータスクールの認知度向上、先の会員増加を見据えた集客施策」。

▷[Fact] 10ヶ月でフォロワー数は2,000人を突破

結果からみると、Twitterの活用は大きく成功したと言えます。
フォロワー数は開始10ヶ月で2,000人フォロワーを突破。
つぶやきにどれだけ反応があったかを表す指標であるエンゲージメントは、平均7%。
月間のインプレッションは40万〜60万の間で安定してきました。

フォロワー数とツイート数の推移

インプレッションとツイート数の推移

そして、緩やかではありますが、Twitterを開始以降、スクール生(会員数)は右肩上がりに増えています。

フォロワー数と会員数の推移

他クラブと比較しても非常に多いフォロワー数であることが分かります。(ユース・ジュニアユース混合アカウントは除く)

他スクールアカウントの比較

▷[What] 基本戦略は「誰に何を届けるのか?」

マーケティングのプロが運用するのであれば、もう少し具体的な戦略が必要でしょう。
しかし、はじめてTwitterを運用する素人集団にとって重要な戦略は至ってシンプルです。
「誰に何を届けるのか?」。スクールアカウントの基本戦略はこの1つです。
あとは届ける情報をカテゴリ化し、カテゴリ単位で発信を行っていきました。スクールでは5つ(正式には6つ)のカテゴリに分けました。

●トップチーム
「トリニータファン」に対して、「クラブ公式だけでは伝えられない選手の様子やチームの紹介など」を発信する。

●スクール生特集
「スクール生のご両親」や「スクール入会を検討している方」に対して、「スクール生が行っていることやスクールの雰囲気」を発信する。

●トリニータレディース
「選手のご両親」や「選手の友達」に対して、「活動報告や選手が頑張っている姿」を発信する。

●スクールコーチ
「全フォロワー」に対して、「スクールコーチの面白い企画やためになるコンテンツ」を発信する。

●イベント
「まだトリニータスクールアカウントを知らない方」に対して、「トリニータスクールアカウントを知ってもらうための、プレゼント企画やキャンペーン」を実施・発信する。

▷[How] 1チーム&「計画→実行→振り返り」

進め方におけるポイントは3つありました。

①Twitterの運用はコーチ陣全員で行った
全員がTwitterにおいて最適限の知識を持ち「なんのためにやっているのか?」を共通理解する必要があります。
また、属人的ではなく、体系的に行うことで再現性が生まれます。

②隔週のTwitterMTGで「計画→実行→振り返り」を行った
実際に運用フェーズに入れば、当たり前ですが「計画→実行→振り返り」が重要になります。
■計画
・「誰に何を届けるのか?」を軸に投稿案を全員で出します。
・TTP:他クラブでの良い事例を徹底的にパクって真似をします。
■実行
・各コーチには月間の投稿数がKPIとして設定されています。
・投稿数に対する全体の意識付けを徹底しています。
■振り返り
・Twitterアナリティクスの数値を可視化しました。
・「月間の投稿数はいくつ?エンゲージメントはどうだろう?なぜ、この投稿はエンゲージメントが高いのだろう?」と、1つ1つのアクションに疑問を持ち改善に繋げました。

スマホでコーチ3月

③トップチームのブランドを最大限に活用
「大分トリニータ」はJ1クラブです。
トップチームのブランドを使い、公式アカウントでのリツイートや選手との連携により、リーチ数を拡大しました。
ただ、一時的には拡散されますが、スクールアカウント自体に魅力・価値がないと一過性になってしまうのでアカウントの育成と並行するのがポイントです。

投稿例の一部をご紹介します。

プレゼント企画で最も成功した「トリスクバレンタイン」

NHKのニュース(全国放送)でも取り上げられた「エイプリールフール企画」

Jリーグアカウントも反応し話題になった「ハーイ!スクールっち」

と、ここまで実績と成長戦略を紹介しましたが、
実際には、堅苦しいルールに縛られることなく、楽しくTwitterをしているのが実態です。

▷[Question] 改めて、Twitterって何のためにやっているの?

「Twitterを頑張って運用する」これは素晴らしいことです。
では、なぜ、Twitterをやるのか?これは常に疑問に思う必要があります。
目的があってこそはじめて意味を成す。
一般的な意見を添えると、
・Twitterはブランディング向上に寄与する
・プロダクト面のメリットを伝えていくコミュニケーションツール
・拡散性があり、最高の口コミ創出ツール
などが挙げられると思います。

自社の目的は何か?今一度自問自答が必要です。

▷[NEXT]トリニータサッカースクールの今後

トリニータサッカースクールのTwitterアカウントはセカンドフェーズに突入します。
方針としては、これまで通りやってきたことを「継続」するのが1つ。
そこにプラスして、大分県内の教育事業における「コミュニケーションのハブ」 になることを目標にします。
簡潔に述べると、「トリニータスクールSNSを通して、活動をPRできるようにする」ことが次のミッションです。

▷[Wait] サッカーのコーチです

タイトルに戻ります。
これらを実行してきたのは、マーケティング部でもマーケターでもなくサッカーのコーチたちです。
SNSは真剣に取り組めば誰にでも成功を掴むチャンスがあります。
是非、まだSNSに取り組めていない企業はチャレンジをしてほしいと思います。

最後に
約1年間、スクールのコーチと一緒に仕事をさせてもらう中で感じたことがあります。
サッカースクールはサッカーを教えるところではなく、サッカーを通して人間性を学ぶ場だということです。
スクールのコーチは生徒に対しても仲間に対しても愛情があります。
そんな素晴らしい人間だからこそ、何に対しても真剣に取り組めるのかもしれません。

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