漆野 蓮

こちらはモノカキ用のアカウントです。 小説投稿サイトにて物語を書いています。 掲載サイ…

漆野 蓮

こちらはモノカキ用のアカウントです。 小説投稿サイトにて物語を書いています。 掲載サイトは固定記事にリンクを貼っています。

最近の記事

日常のアンビバレンス

 突然だが、君は雲海を見たことがあるかい?  文字通り雲の海で、つまり雲の上からしか見ることができない貴重な光景だ。  今朝も僕の目の前には見事な雲海が広がっている。 「いわじゅん、今日は雲海に見とれてる暇はないぞ。とっとと片付けて昼コースの準備せんといかんしな」  岩波淳、これが僕の名だ。淳は”あつし”と読むが、大峰大吾という先輩は僕を”いわじゅん”と呼ぶ。  僕はこの夏、意を決して実家を離れ、ここ『鷹峰温泉旅館』に住み込みバイトでやってきた。大吾先輩は勤続10年のベテ

    • スマートフォンが眠るとき

       私のスマートフォンは眠ることを知らない。  この子は知っている。  眠ってしまったら捨てられる、と。  この子は私にとって2代目のスマートフォン。  最新のスペックを搭載した優れモノ。  そうだ、この子には名前を授けよう。  どんな願いも叶えてくれる最強ガジェット。  ――浮かぶイメージはお決りの猫型ロボット。  いやないない。  とりあえず賢いやつなので『賢太郎』と命名しよう。  困った時には太郎を付ければ収まりがいい。これ日本人の常識?  私は『賢太郎』をSNS

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