宅地建物取引士ってどんな資格??概要、必要勉強時間、申込者数、合格率など
宅建士とは何か
正式名称は、宅地建物取引士と言います(少し前までは宅地建物取引主任者と言いました)。宅建士とは、不動産の売買、交換、貸借といった取引に関して、取引の代理業務や仲介業務、説明業務を担う人を指し、重要事項の説明や契約書への署名・押印などの専権業務を持っています。
また、不動産業者では、従業員数や営業所数に応じて宅建士を設置することを法律的に義務付けられていますし、不動産と密接に関わる金融業界では資格保有者は重宝されています。
日程
10月の第3日曜日
宅建士の試験は、年1回のみです。
ちなみに、試験の申込期限はその2~3ヶ月前の7月であることが多いので、注意が必要です。「宅建士の最大の難関は、試験に申し込むことだ」などと表現されることもありますし、予備校に通っている人でも結構申込漏れなどがあるようなので、注意が必要です。
受験資格
なし
出題形式
四肢択一問題*50問
出題方法は極めてシンプルであり、四肢択一問題のみです。ただ、問題難易度は決して簡単ではありませんし、5~10題程度は難問・奇問が出題されますので、合格のハードルは思いの外高いです(予備校講師でも解けない問題が、毎年1問は出題されるとか・・・)。
試験時間
120分間
宅建士の試験は、全て4択マークシート問題です。この形式の試験ですと、120分の試験時間であれば大体余るはずなのですが、宅建士の場合にはそうではありません。
問題の難易度が高いということもありますが、やや判断に迷う選択肢が多いこと(=回答根拠が曖昧)や、設問文が長い上に法律用語や不動産の専門用語なども多い為読解に時間がかかることも相まって、試験時間は不足しがちです。
しっかりと対策しないと、見直し時間も不十分なままタイムオーバーとなってしまうので、普段から時間を意識した対策が必要です。
申込者数、受験者数、合格者数、合格率
申込者数は23〜24万人で推移していましたが、最近は増加傾向にあり、30万人目前という状態です。これは、資格試験としては簿記に次ぐ受験者数です。
合格率は平均して15%前後です。なぜ安定しているかと言えば、実は試験毎に合格点が異なっており、合格率が低位で一定になるように調整されている為です。「宅建士は難関資格である」というイメージを維持することもそうですが、一定レベル以上の人材にのみ資格を付与することによって、その品位を保っている訳です。
ちなみに、合格点は平均すると70%前後です。四肢択一問題が50問出題されるので、35問程度合格することが目安の合格ラインとなります(ちなみに、H28年の宅建試験の合格点は35点/50点でしたが、H27年は31点/50点でした。)。
試験料
7000円
必要勉強時間
初学者の方:200〜300時間
ある程度知識がある方:100〜200時間
宅建士試験は、主に「民法(借地借家法含む)」「宅建業法」「税法・その他法制度」から構成されています。当然ですが、大学で法律を学んでいた方、実務で不動産や法律に携わっていた方、FP等を取得していて不動産や税法をかじったことのある方であれば、宅建士の試験に対して多少アドバンテージがある言えます。
ですので、上記に当てはまる受験者でしたら100~200時間程度(そんなに必要ないかも知れません)で合格できると思います。
一方、いずれの分野も初学者の方にとっては、非常に取っ付きにくい試験と言えるかも知れません。高度に法律的な用語(善意、悪意、錯誤、詐欺、脅迫、虚偽表示、心裡留保、代理など)の概念から覚える必要がありますし、不動産業界では当たり前のように登場する抵当権・根抵当権や借地権といった概念も同様です。もちろん、試験問題の文中にも、当然のように沢山出てきます。
ですので、そうした用語に慣れる為の時間も必要であることを考えれば、必要勉強時間は200~300時間といったところだと思います。個人によっては、400時間必要だという方もいらっしゃいますので、難易度の感じ方は人それぞれといった印象です。
その他
宅建士の試験に合格しただけでは、実は宅建士を名乗ることができません。
不動産業界での実務を2年以上積むか、実務講習を受講し資格登録を道府県知事から得て、宅建士証を発行してもらう必要があります。また、その免許についても5年毎の更新が必要です。
殆どの方は、宅建士登録まで必要はないと思いますが、念のため書いておきました。
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