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【読書感想文】賢者の書/喜多川泰

今回は、喜多川泰先生のデビュー作「賢者の書」を読みました。ある経営者の方から勧められた本で、その方の生き方や会社の在り方が素晴らしいので、早速読み始めました。
生き方を考えることや生きるエネルギーをもらえる内容で、ストーリー仕立てで読みやすいため、1時間半くらいで読み切れます。
9人の賢者の教えそれぞれに考えたことを感想として残しておきたくて記録することにしました。

あらすじ

毎日の暮らしと、思うようにいかない仕事に絶望を感じていたアレックスは、ある日、思い出の公園で14歳の少年サイードと出会う。
サイードは9人の賢者と出会う旅を続けていて、この公園で最後の賢者と会うことになっているという。

アレックスはサイードの許しを得て、サイードの旅の集大成である「賢者の書」を読み始めた。そこには、サイードが14歳の誕生日を機にスタートしたさまざまな冒険譚と、賢者たちから学んだ最高の賢者となるために必要なエッセンスがしるされていて…。


第一の賢者「アクト」の教え|行動

〜大切なのは行動を起こすこと。〜
行動を起こすときに何かを期待したり、失敗を恐れたりすることには何の意味もない。
大切なのは、行動の結果帰ってきたものをよくみて、どうやってこれを使うのかを考えることだ。


この教えには、新しい一歩を踏み出す勇気をもらった気がします。行動の結果、嫌なことが起こったり、ミスをしたり、誰かに怒られたりして、次の行動を起こす勇気がなくなってしまうことがありますが、そこで起こった結果に対して冷静になることができる内容でした。
実際、仕事のミスで怒られたり、なんとなく発言したことで相手が怒ってしまったりした場面でも、起こった出来事に対して対処をしていくことや、この内容は相手にとってナイーブな部分で反応として怒りが返ってきたと認識するようになり、本を読んだ直後から、以前より重く受け止めなくなりました。
切り替えの速さにも影響するもののようで、期待した結果と違ったとしても、一度受け取ってから次に進めるということができるようになったと感じています。

第二の賢者「ユニバス」の教え|可能性

〜人間には無限の可能性がある。〜
この宇宙にある、ありとあらゆるものを創り出した大いなる力は、人間を創り出し、すべての創造物の中で、唯一人間にだけ自らと同じ大いなる力を授けた。それが「心」である。
このことを自覚し、自分には無限の可能性があると気づき行動を起こすとき、自らの心だけでなく、宇宙を創り出した大いなる力が、さまざまなかたちで手助けをしてくれる。必要不可欠なパズルのピースをくれるという方法によって。


可能性については、「自分を信じて進め」といった内容ではありますが、これまでは自分を信用するのって結構難しいと考えていました。本書では、無限の可能性は自分の心の在り方とそこからくる行動によって実現に近づいていくという説明で、「自分を信じて進め」というメッセージよりも納得感のある内容だと思います。
恐れずに行動するとき、きっと自分にもできるはずと考えて実行したその行動の結果、返ってきたピースの使い方を考えることによって、一歩ずつビジョンに近づいていくのだろうと考えると、自分を信じて進めそうな気持ちになりました。

第三の賢者「リスペク」の教え|自尊心と他尊心

〜自尊心と他尊心は、同じ高さで。どこまでも高めよ。〜
世の中すべての人間は、自分の知らない者まで含めて、一人ひとりが無限の可能性を持つかけがえのない存在である。そのことを知り、すべての他人を尊重すること、すべての人間の一部である自分自身も含めて。


この内容については、自尊心を高めるのは難しく、他尊心もどんな人であれ「等しく」高めるのは難しいと言わざるを得ません。人によって、例えば自尊心が高すぎたり低すぎたりする人に対して、同じように尊重できてきたのかと問われれば、答えはNOだからです。
さらに、気分が落ち込んでいるときには、自尊心がぐっと下がってしまい、「私はなんてちっぽけな、何もできない存在なんだ」と思ってしまうこともやはりあります。
おそらく、この教えで大切なのは、世の中すべての人間に可能性があることを知り、尊重できるように心を磨いていくことなのだろうと理解しました。本書のなかで、「身の回りのものはすべて誰かがつくったもので、自分がつくったものなどひとつもない」とリスペクが話しているのですが、本当にそうだと思いました。私の仕事も誰かの役に立てると嬉しいなと心から思た教えです。

第四の賢者「…」の教え|目標

〜人生における成功は「何になるか」でなく、「どんな人間になりたいか」をまずは真剣に考えなければならない。〜
これになれたら成功、幸せなどという職業は存在しない。成功は職業についてくるものではなく、人についてくるものだからだ。
自らの理想とする人間像を追求することによって、驚くほど強い意思の力を人間は身につけることができ、その過程の中で自らの進むべき道を自然と見出し、何をやるべきなのかということは自ずと決まってくる。
最終的にどのような職業に就いていようとも、その目標とする人間像が成功するに足る素晴らしい人間像で、そこに向かって日々努力する限り、成功は約束されているのである。


名前のない職業に就いている私からすれば、その在り方もOKと言われているようで背中を押してもらった気分になりました。
ちょうど先日、「成功の定義」について考えるビジネスワークに参加し、「どんな人間になりたいか」を私なりに結構真剣に考えてみたところでした。これがかなり難しい!今後変わってくるかもしれませんが、そのときに考えたのは下記でした。

<わたしの成功の定義>
・ただ存在するのでなく、誰か(なにか)のために存在すること
・好きな人たちに感謝できること
・一緒に未来をよくしようとする仲間がいること

ありがたいことに、私の働き方や夢の実現を応援してくれる仲間がまわりにたくさんいてくれるので、この人たちを大切にしながら目標へ進んでいきたいと思える教えでした。

第五の賢者「ディル」の教え|今

〜人生というのは、一冊の伝記を完成させるようなものだ。〜
今、何をもっているいないに関係なく、今日一日、成功者としてふさわしい過ごし方をするだけだ。「この人だったら、将来大きな成功を手に入れられるのは当然だ」と思えるような、そんな1ページにする。
もう書いてしまったページを何度も読み返して後悔したり、まだ書かれていない白紙のページをめくっては不安になったりすることに、この貴重な一日を使ってはいけないのである。


「今日一日を大切に、今を生きよ」とは使い古されたメッセージですが、伝記が残っている立派な人たちの共通点として、「この人だったら、将来大きな成功を手に入れられるのは当然だ」と思う場面が登場するのはとてもわかりやすい説明でした。
日々のタスクに忙殺されるのでなく、今日はこんなことができてよかったなと思えることを少しでもできるようにしていきたいと思いました。

第六の賢者「ティム」の教え|投資

〜正しい投資をせよ。〜
世の中の成功者と呼ばれる人のほとんどが、自らの貴重な財産を、時間という財産を投資したのだ。
その結果として、自らの描く、壮大なビジョンを完成させるために必要なパズルのピースをすべて受け取ったのだ。


まず、お金を使って行う一般的な「投資」には、不確実性があるのでギャンブル要素も含んでいるという内容は新しい気づきでした。
そして、何に時間を使うのかについて考えさせられたこの教えは、自らのビジョンやそれに向けた目標、やるべきことが見えてきたときに必ず役に立つ考え方だと思います。
もちろん楽な方に流されてしまうことも多々あるのですが、学習や読書の時間が投資とも言えるのかもしれないと思いました。そして、ビジョンが明確なほど、必要なパズルのピースのそばで時間を使うようになるのではないかなど考えが巡っていて、この投資の概念はまだ理解が浅いかもしれません。

第七の賢者「サーチャフト」の教え|幸福

〜世の中の成功者はすべて西のオアシスの住人であることを忘れてはいけない。〜
自分の幸せを追求する東のオアシスの住人と他人の幸せを追求する西のオアシスの住人。自分を幸せにしてくれるものを探して生きる東オアシスの住人にとっては、この世は思うようにいかない、楽しいことの少ない場所になるだろう。ところが、他人を幸せにできることを探す西のオアシスの住人にとっては、この世は喜びに満ちた、楽しいことの多い場所なのだ。


これについては、アダム・グラント著の「GIVE&TAKE」の内容にも似た教えで、自身が他人の幸せを探す人になっていくこと、そして付き合う人は選んでいいんだと思ったことを思い出しました。
素敵だなと思う人には、自分の持てる力をしっかり発揮したいと思う一方で、ボランティアばかりになってしまわないように調整する交渉力の大切さも学んだことを思い出し、よき人々と愛のある関係性を保ちたいなと思いました。
「GIVE&TAKE」、実は要約だけしか読んでいないので、私の読みたい本リストの上位に持ってこようと思います。

第八の賢者「ワーズワース」の教え|言葉

〜人生は。言葉によって作られている。〜
その人に起こるすべての出来事は、その人が発したり、心の中で思い描いたりする言葉に起因する当然の結果に過ぎない。そして、人間が一番よく聞くのは、他の誰でもない自分の心の言葉である。


「自己肯定感を高める」ということだと思います。先日、コーチングを学んでいるときに、自分の良いところを1分間で20個挙げなさいというワークですっかり困ってしまいました。5つ書いたところで全く書けなくなってしまったからです。そのあと、クラスのメンバーに良いところを教えてもらうワークをして、他人からみた自分の良いところを初めて知りました。全く、自分のことを理解していなかったことに唖然としました。
人と比較してしまうことはありますが、私と仲良くしてくれている人がくれる温かい言葉を集めて、自己との会話も温かい言葉が溢れるようにしていきたいと思いました。

最後の賢者「アレックス」の教え①|感謝

〜人生をより素晴らしいものにするためには、とにかく感謝の言葉を多く口にする毎日を送らなければならない。〜
今日一日生きていられるのも、幸せな一日にできるのも、あらゆる人が生きる手助けをしてくれているからなのだ。その恵みに感謝しなければならない。そして、それを伝えなければならない。そうすれば、毎日が新しい感動の連続になる。

最後の賢者「アレックス」の教え②|与える

〜本当に手に入れたいものであればあるほど、どうやって人に与えるかを考えなければならないのだ。〜
感動の多い人生を送りたければ、感動させる側に。何かを身に付けたければ、教わる側ではなく、教える側に。
誰よりも多くの人に感動を与えた人間こそが、誰よりも感動的な生き方をしている人なのだ。

最後の賢者「アレックス」の教え③|誕生

〜人間は何度だって生まれ変わることができる。〜
自らの人生を素晴らしいものにするために生まれ変わろうとするとき、他人がどう思うかなど全く気にする必要はないのである。
誰だって、今日という日を、すべての成功を手に入れることができる最高の賢者としての、人生の第一日目にすることができるのだ。


本書を通して、自身の考え方を整理し、大切な人たちのために人生を歩いていこうと思える心に栄養をいただいた良書でした。
この本に巡り会えて、とてもよかったです。

▼Kindle Unlimitedで読み放題になっています。

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