椎名林檎 本能 歌詞考察

椎名林檎の本能は、
孤独を恐れ愛する人との一瞬の一晩を
命を燃やして噛み締める少女の歌である。

約束は 要らないわ 果たされないことなど 大嫌いなの
「ずっと一緒にいようね」なんて約束なんていらない。どうせ果たされないそういう約束は大嫌い。

ずっと繋がれて 居たいわ 朝が来ない窓辺を 求めているの
→ずっとこのまま貴方に抱かれていたい。
朝なんて来なくていい。


どうして 歴史の上に言葉が生まれたのか
太陽 酸素 海 風 もう充分だった筈でしょう
→なぜ人は言葉を作ったのだろう。
太陽と酸素と海と風で充分だったはずなのに
言葉がはたされない約束を生む。

淋しいのはお互い様で
正しく舐め合う傷は誰も何も 咎められない
紐 解いて 生命に 擬う

→私も貴方も淋しい。
淋しいふたりが、正しく慰め合うのは誰にも文句は言えない。
下着の紐を解いて、人間本来の命の本能に従う


気紛れを 許して 今更なんて思わずに急かしてよ
もっと中迄入って あたしの衝動を 突き動かしてよ
→今更なんて思わないで、私の気まぐれを許して。行為と一緒に私の衝動も突き動かして。

全部どうでもいいと云っていたい様な月の灯
劣等感 カテゴライズ そういうの 忘れてみましょう
→もう全部どうでもいいと思えるような月の明かりの下、身分も世間も全部脱ぎ捨てて裸になろう

終わりにはどうせ独りだし
此の際虚の真実を押し通して絶えてゆくのが良い
鋭い其の目線が 好き
→恋の終わりも死ぬときも、終わりはいつだって1人だし、もうこの際「ずっと一緒にいよう」なんて空虚な約束をしたまま死にたい。
貴方の鋭い目線が好き。


約束は 要らないわ 果たされないことなど 大嫌いなの
ずっと繋がれて 居たいわ 朝が来ない窓辺を 求めているの

気紛れを 許して 今更なんて思わずに急かしてよ
もっと中迄入って あたしの衝動を 突き動かしてよ


貴方の「ずっといっしょ」なんて、
果たされない約束はいらないから
貴方との夜が永遠に続いてほしい。

でも「ずっといっしょ」と今だけ約束してくれた、貴方に抱かれて約束したまま死にたい。

言葉じゃなくて、約束じゃなくて、
本能で。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?