見出し画像

国連の仕組みを今一度撃つ

 パレスチナ問題、ウクライナ問題、どちらも戦闘が始まってしばらく経った。両問題も、事態は刻一刻と変わるものの、改善に向けた大きな一手は打たれてこなかった。なぜなのか。それは、国連の仕組みそのものに限界があるからだと私は考える。
 話を進める前に、国連の決議案がどのように採択されるか見ていく。国連はアメリカ・フランス・ロシア・中国・イギリスの常任理事国5カ国と、それ以外の非常任理事国で構成される。そして、決議案が採択される場面は大きく二つに分かれている。一つは国連総会。全加盟国で構成され、あらゆる問題を決議する。決議は勧告であり、強制力を持たない。そしてもう一つが安保理である。国際平和と安全維持を主要テーマとし、最重要理事会で、決議に拘束力と強制力を持つ。そして、重要なのが一国でも反対すれば議決できない拒否権があるということだ。今回はこれに注目したい。
 ロシアによるウクライナ侵攻では、ロシア軍の即時撤退を求める決議案がすぐに安保理にかけられたが、ロシアが拒否権を行使し廃案になった。しかしその後、193カ国で構成される国連総会で同様の決議案が決議にかけられたが、141カ国の賛成で採択された。パレスチナ問題においては、ハマスの戦闘が始まって以来、これまで出されてきた決議案は米ロ中による拒否権発動によって棄却されてきた。
 安保理では平和維持がが目的であると謳うにも関わらず、議題がこの5カ国に関連していれば決議される可能性は低い。(ウクライナ問題では、ロシア張本人が、パレスチナ問題ではイスラエルを支持するアメリカが拒否権発動)いわば、常任理事国は第二次世界大戦というケンカに勝った勝ち組たちのによって構成されており、彼らの都合で拒否するだけであっさりと棄却されてしまう。大勢の人間、特にパレスチナ問題においては子どもが大勢亡くなっているにも関わらず、列国は他国の顔色を伺うことの方に重きをおく。イスラエル寄りのアメリカが、大勢の子どもが亡くなっていることをさしおいて、停戦に関する決議案に対し拒否権を使用するという具合に。
 第二次世界大戦が終わって何年もの年月が過ぎた。戦犯国である日本も、敗戦から二度と戦争はしないと誓い、実際してこなかった。日本を持ち上げるつもりはないが、そのような国ではなく、未だ核を保有し自分の都合の良いようにふるまう国たちが常任理事国として国際平和を謳うことに疑問を感じてならない。時間は止まったままなのだ。
 私は今一度国連の仕組みそのものの脆弱性を指摘する。真の意味での平和を実現するためには、大勢の人たちが話し合って、全員が納得できる答えを導き出す必要がある。しかし、たった5カ国の、それも自分の都合であっさり棄却できてしまうような仕組みの下で、そのような答えを得られるだろうか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?