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気血水について

東洋医学ではカラダと心のバランスが整った状態を"健康"と捉え、そのカラダと心の状態を把握する指標のひとつとして「気・血・水」という概念が使われ、カラダの機能を「肝・心・脾・肺・腎」の五臓に分けて考えます。

気血水が満たされ、それぞれが巡っていれば 五臓が正常に機能し健康となり、どれか1つの要素の量や働きが乱れると、バランスを崩しカラダの調子が悪くなったり、痩せたいのになかなかダイエットが成功しない。お肌のかさつきが気になる。シミが目立ってきた。便秘や下痢に悩むなどの不調や、イライラ、しょんぼりなど感情のバランスを崩しやすくなってしまいます。


「気(き)」=エネルギー
全身を動かす原動力/生命エネルギー
血や水を全身に巡らせるパワーの源

気は"元気" "やる気"などというように、生命活動の基礎となるエネルギーです。
全身をくまなく行き来して、血や水の巡りをサポートをしたり、カラダを温めたり外からの刺激(ウイルスや花粉など)からカラダを守り汗や尿の排泄を調整するなど様々な働きを担っています。
気がスムーズにカラダをめぐると心身ともにのびのびとした気持ちになります。

気の量がカラダの中に満ち足りていてスムーズに流れていれば、私たちは元気に過ごす事ができます。ポジティブな事に目を向けれたり、前向きな気持ちでいることもできます。自分自身が元気なカラダとココロであれば、相手を想いやったり、優しくすることができるし、嫌な事があったとしても「まぁいいか」と思えたり「じゃあどうしよう」と考える事ができて、心地よい人間関係を作る事もできます。

気は食事や呼吸から作られ、貯めることができます。気の貯金がカラダの中にあると、急なトラブルも解決しやすく、カラダからのSOSサインは少々のことでは出なくなります。つまりは不調を防ぎ健康を保てるということ。冷蔵庫が急に壊れた!となっても、貯金があればなんとかなりますよね。それでも急な出費は痛いから丁寧に使う。カラダも一緒です。


「血(けつ)」=栄養,体力
血液はもちろん血管内にあるもの全体
栄養や潤いを全身にめぐらせる働き
精神の安定や充実を保つ役割

血は西洋医学でいう血液だけを指すのではなく、血液に含まれる栄養素や、正常に血液が流れるかどうかといった意味も含んでいて、西洋医学でいう血液よりもう少し広い概念になります。髪や爪、筋肉や内臓などに栄養をもたらし、精神を支える働きにもなる大切な要素で食べたものから夜眠ってる間に作られます。

血は髪や爪、筋肉などに潤いをもたらし肌にも張りをもたらしますが、血が不足すると、肌の艶、きめの細かさ、潤いがなくなり乾燥し、シワができやすくなったり、肌だけではなく目、髪、爪なども乾燥します。
女性は月経で、毎月血液を外に出していますし、妊娠,出産,授乳ももれなく血が不足しますので、男性よりも血が不足しやすく、潤いが少なくなりがちです。

また、血には体力をストックしておく働きがあります。カラダを使いすぎたり、頭を使いすぎたり、目を使いすぎると東洋医学では『血が虚す(血が減る)』『パソコンやスマホで目を酷使すると血が減る』という表現を使います。目に見える赤い血が減るというよりは、体力をストックしておく働きが低下する。つまりは体力が減ると考えると少しわかりやすくなるかと思います。目を使うと疲れますよね。体力が奪われるということです。


「水(すい)」=潤い
血以外の水分でリンパ液や唾液,涙,尿などの体液
全身に潤いを与えて五臓の働きや排泄をスムーズにする働き
便通をよくする役割や体温調節も担っている

水は食べものや飲料から吸収された、体内の水分という意味合いで、蛇口をひねってでてくる水や川を流れる水とは異なり、体内に存在する血液以外のすべての体液を指し、唾液、胃液、涙や汗、尿など、臓腑や組織器官にある体液や正常な分泌液を含みます。

水は気と同様に摂取された食べ物や飲み物からうまれ、脾の働きによって作られます。『津(しん)』と『液(えき)』の二種類があり性状や機能、分布する部位が異なります。『津』はサラサラと体表部を潤し体温調節を行い、余分な熱を汗や尿として体外に排出します。『液』はゆっくりと流れ、髄や骨を潤し、目や耳、口などの粘膜にも潤いを与えます。細かい話をするとき以外は特に区別せずに『水』や『津液』とまとめて呼ぶことが多いので、ここではまとめて『水』と呼びたいと思います。

水は全身に潤いや柔軟性を与える働きがあるため、充分な水がカラダに満ちていれば肌、喉、眼、髪などはみずみずしい状態となり潤います。その他にも関節などがスムーズに動かせるのも水が満たされているからです。老廃物を外へ排泄したり、熱を冷やして体温調整をする役割もあり、水が不足すると皮膚や髪が乾燥し、代謝が悪くなるので、吹き出物などが現れやすくなります。

植物が元気に生きていくためには水が必要だけど、あげすぎると根腐れをしてしまうように、あるべきところに必要量存在していればカラダに潤いを与えますが、水が多すぎて使えなかったり、水の巡りが滞ると、たちまち老廃物としてカラダに溜まってしまいます。


気・血・水のバランスがいい状態=健康
○朝すっきり目覚められる
○呼吸が楽で深い呼吸ができる
○姿勢がよい
○お肌の状態がよい
○髪につやがある
○カラダが火照ったり、冷えたりしない
○月経が順調にきて痛みもなく快適
○適度におなかがすいておいしく食事を味わえる
○毎日スルリといい便がでる
○胃がすっきりしている
○太りにくい
○頭がクリアで家事や仕事がはかどる
○人にやさしくできる
○前向きな思考
○やる気に満ちあふれている
○行動力がある
○楽しいことを考えることができる


気・血・水はどれも、脾(胃腸など消化器官)が飲食物を消化、吸収して作ったものから作られており、お互いに助け合いコントロールし合い密接にかかわり合って体内を絶えず巡り続けることで、カラダのすみずみまで栄養を与えたり、カラダのあらゆる生理機能を正常に保つことで、わたしたちの健康や美を維持することができると東洋医学では考えられています。どれか一つが過剰に、あるいは不足するとトラブルが生じますが、その影響は他の二つにも関係してきます。

例えば、気は血や水をつくる源です。気が不足したり滞ると、血や水の過剰や不足につながります。また、血の栄養分は気の原料にもなるため、血が足りないと気も不足します。水は血の原料となるので、水の過不足は血にも大きな影響を与えます。また、水は気血とともに全身をめぐるため、水が停滞すると気や血も滞るなど、少しずつ他にも影響を与え、どこかに不調が起こると連鎖反応が起こり他も不調になり様々な症状に及ぶことになります。

カラダを家に例えたなら気・血・水は支える3本の大黒柱です。丈夫な大黒柱に支えられた家が、雨や風そして地震にもビクともしないのと同じように、気・血・水3本の大黒柱が協力し合い、しっかりカラダを支えることで、カラダは健康な状態を保ち、ストレスや天候の変化、疲れなど、さまざまな逆風にもビクともしない強いカラダになれます。
立派な家が建ってから時が流れて、大黒柱のどれかがシロアリに食われ細くなったり、雨風にさらされ続けることで朽ちていくと家はどうなるでしょう。メンテナンスをせずに放って置いたら倒れてしまうかと思います。
カラダも同じで、気・血・水のどれかが弱ると、カラダも壊れやすくなります。つまりは病気になりやすくなったり、不調が出やすくなるのです。

どの柱が弱くなりやすいか、どの柱が傾きやすいかは人によって違います。気の柱が傾きやすい人もいれば、血の柱が細くなりやすい人もいます。自分はどうなのか、そして見合ったアプローチをするのに体質診断は欠かせません。えんもぐ部で診断できるのでご活用ください。


お肌や髪のお手入れをするようにココロとココロの入れ物であるカラダのお手入れをしていきましょう。

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