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鯨大和煮缶詰 トスカーナの赤ワイン代表的なキャンティと白のヴェルメンティーノ

スーツケースに入れてきた数少ない貴重な缶詰を開ける。鯨大和煮。はて大和煮とは・・・?

調べると獣肉の調理法のことで、砂糖、醤油や生姜などの香辛料で濃く味付けをした煮物。羊肉・馬肉・鹿肉などの調理法としても活用される。癖の強いといわれる鯨肉にももってこいの調理法であろう。といっても前にいつ鯨を食べたのか記憶はなく、その味わいについてもイメージがつかない。哺乳類だが海を泳いでいるのでシーフードということにして、ワインに合わせることにする。
なお、この缶詰は〇の中に水のマーク、丸水札幌中央水産が手掛ける。同社は昭和35年(1960年)、札幌市中央卸売市場開業に合わせて設立された札幌の会社だ。

イタリアワインの赤代表キャンティ、そして最近定番のラ・スピネッタの白ワインに合わせる。

フレスコバルディ, ニポッツァーノ・リゼルヴァ, キアンティ・ルフィナ・リゼルヴァ DOCG
Frescobaldi, Nipozzano, Chianti Rufina, Reserva, Italy, 2016, 13%
香りにはブルーベリージャム、プラムのコンポートの力のあるパワフルな果実香。よく馴染んだ樽香は心地よいバニラ香をワインに絡ませる、スミレなどのフラワリーな香りも。
風味にはやや攻撃的な気味の酸味(購入先の保存状態が原因か)、余韻にはゆったりと樽香が鼻腔を抜ける、やや元気でまだ若さのあるタンニンは舌を乾かす刺激が残る。

ラ・スピネッタ, カサノーヴァ, ヴェルメンティーノ, トスカーナ, 2021, 13%, 2,879円
La Spinetta Casanova, Vermentino, Toscana, Italy
香りには軽やかにフレッシュなグレープフルーツの柑橘香、ナッティなニュアンス、潮風の香りもほんのりと。
香りの上品な様子とはまたうって変わって、ずしりとくる酸味、中盤以降ほろ苦さと塩味がしっかり。それでもサルディーニャ島の同じ品種のものより垢抜けた印象だ。

さて、鯨肉の大和煮を実食。

ジビエに共通する特有の風味、つまり力強くリッチな脂、赤身肉や微かに血液のニュアンス、土っぽい素朴な香り。

まずはキャンティに。

ワインの果実味と酸味が少々ワイルドな鯨の脂に心地よく寄り添う。ただ、ワインの酸味がやや目立ってしまう。缶詰をフライパンでバターで軽く炒めると鯨の脂と共にこのワインの酸味をコントロールしそう。三つ星とするか迷ったが期待を込めて四つ星に。
相性: ★★★★☆

続いて、ラ・スピネッタの白ワインに。こちらはワインの酸味と鯨肉の脂が別々のベクトルを向いてしまい、重なり合うことなく口内にはちぐはくな余韻が残ってしまう。
相性: ★★☆☆☆

なかなか食べる機会があまりない鯨肉。特有の風味、野性味ある脂の質感をワインで手懐けるのは難しいが、キャンティの酸味は悪くないカードとして使える。

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