スパイスまとった鰺フライ 熟成ボルドー白ワインのまったりとした包容力
西洋料理七條での同僚との夕食の続き。前菜からメインへ。
七條は1976年に千代田区神保町で創業、現在は同区小川町に移っている。
丁寧な料理と、上品で温かいお店の雰囲気。クロスのレッドに、お皿のホワイトのテーブルセットが素敵。
注文はヒラメのカルパッチョ、生がき フランボワーズビネガーに続き、フライは帆立フライ、鯵フライ、ポークロースカツを。
前菜も素晴らしいが、七條の真骨頂は揚げ物。お店のエンターテイメントがギュッと詰まっている。衣はカラッと、素材の風味が伝わる柔らかさを残した絶妙な火入れ。
そして魚介の揚げ物は一つ350円~450円とクオリティに対して非常にリーズナブル。
さてそれぞれの料理とワインの相性について。
シャトー・ブスコー, ペサック・レオニャン, グラーヴ, ボルドー, 2013, 8,500円(レストラン価格)
Chateau Bouscaut, Grand Cru Classe De Graves, Pessac-Leognan, 2013, 13%
このシャトーのブドウ畑は17世紀に開墾された。畑の作付けはソーヴィニョン・ブランが約50%、セミヨンも約50%。
色合いは10年の年月の経過を如実に呈すゴールド。
香りにはオレンジピール、よく熟したピンクグレープフルーツ、パッションフルーツリキュール、コアントローに加え、熟成により果実香がこなれて官能的な麝香が広がる。香りによく馴染んで一体化した樽由来のバニラ香に加え、アカシアのフラワリーなニュアンスも。
味わいは熟成によりカドが削ぎ落されながらも豊満でリッチな果実味、酸味も健在しワインを心地よく引き締める。驚異的な長さの余韻は鼻腔をリッチな樽香が抜ける密度の濃いフィニッシュ。
帆立フライにワインを合わせる。
カラッと揚がったパン粉に乗ってホタテから磯の香りが吹き込む。絶妙な火入れにプロフェッショナルなエンターテイメントが詰め込まれている。
柔らかさを残した帆立から広がる旨味と甘みが、熟成ワインのリッチな果実味に包まれ、ほぐされ、口内を瞬時に幸福に。相性: ★★★★☆
鯵フライに。
カラッとした衣の中から、ふわっとスパイス香が広がる。お、味付けにカレー塩が使われている。
スパイスに包まれながら広がるアジの軽やかな脂と磯の香りに、10年熟成のまったりとして複雑なワインの風味が調和。ワインの樽由来のバニラの香りは料理のスパイス香に共鳴し、熟成してこなれた果実味はアジの脂をもやさしく包みあげる。
タルタルソースをつけるとマヨネーズのクリーミーな風味がスパイス香をマイルドにしつつ、ワインのリッチな風味と調和しさらに相性が引き上がった。相性: ★★★★★
そしてロースカツ。この分厚さは食べ応えあり。
魚の揚げ物が一つ350~450円のところ、こちらは2,000円だがお値段以上の満足感。
絶妙な火入れでお肉が柔らかくホクホク、噛むと豚の脂がジンワリと広がる。そこに熟成ボルドー白ワインのリッチな果実味と樽香が絶妙に調和。
七條にはほかにも以下のようなシーフードを使ったメニューを提供している。
熟成ボルドーワインとシーフードの組み合わせがすぐに恋しくなりそうで、また訪問したい。
・タスマニア産サーモンの自家製スモーク 蕎麦粉のクレープ添え
・帆立、ズワイ蟹、アボカドのタルタルとスモークサーモン
・北海道産ウニのコンソメジュレ カリフラワーのピュレ添え
・オマール海老のビスク
・ズワイ蟹のクリームコロッケ
・牡蛎フライ
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