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ホタテの香草焼き 雪山の澄んだ果実味に

前話からの自宅でクリスマスディナー。

前菜に続きホタテの香草焼きに。スーパーの半調理済み品で炒めれば完成する一品。ホタテは密度の高い肉質、ヒダの部分の歯応え、肝の部分のコク、貝柱と、一つの貝で実にバラエティに富む。
刺身も良いが、バターや香草との相性も良い。加熱して凝縮したホタテの風味とのハーモニーは楽しく味覚を刺激する。
前菜に続き、このワインに合わせていく。バラエティー豊かなワイン。乾杯のスパークリングは①イタリア アブルッツォ州のスパークリングワイン、フードフレンドリーな②トスカーナ州のテーブル白ワインのヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ、シーフードにはやっぱり③リグーリア州のヴェルメンティーノ品種と④サルディーニャ州のヴェルメンティーノ品種、そして凛とした果実味の⑤アルプスのアルト・アディジェ州のミュラー・トゥルガウ品種、ハーブ感が満載の⑥南アフリカ ステレンボッシュのソーヴィニョン・ブラン品種、仕上げにビーフシチュー用に⑦ボルドーは程よく熟成したメドックのシャトー・シャス・スプリーン2013だ。

ファルネーゼ, ファンティーニ・スプマンテ キュヴェ, イタリア, アブルッツオ, 12%, 2,112円 
Farnese, Fantini Cuvee, 

ホタテの香草焼きに。フードフレンドリーなワインが、不思議とホタテの生臭さを立ててしまった。相性: ★★☆☆☆ 

②ファルキーニ, ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ, アブヴィネア ドーニ, イタリア, トスカーナ, 2019, 13.5%, 2,541円 
FALCHINI, Vernaccia di San Gimignano DOCG, ABVINEA DONI 

ホタテの香草焼きに。スプマンテへの反発と同様、ホタテの生臭さがガッツリ立ち上がる、相性: ★★☆☆☆ 
 
④ピエロマンチーニ, マンチーニ プリモ, ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ, 2021, 2,049円 
Piero Mancini, Mancini Primo, Vermentino di Gallura 

ホタテの香草焼きに。スプマンテ、ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノとフードフレンドリーなワインをことごとく押しやってしまった後、満を持してシーフードへの包容力は絶大なサルディーニャ島のヴェルメンティーノ品種をセラーから召喚。ところがなんと、このワインもホタテの生臭さを立ち上げてしまう。相性: ★★☆☆☆。 
これはホタテの鮮度に難があったのかもしれない。ここでバターをひとかけと一緒にホタテをレンジで温め直し、ドライディルを追加しコクと爽やかさをアップ。このメイクアップによりホタテの生臭さがマスキングされ程よい調和を見せる。相性: ★★★☆☆ 

⑤ケットマイヤー, ミュラー・トゥルガウ 2019, 1,925円 
Kettmeir, Muller Thurgau, Alto Adige, Sudtirol, Italy, 2019, 13% 

ワイナリーはイタリア アルト・アディジェ州、オーストリアとの国境近いアルプス地方のカルダーロ湖を見下ろす丘に位置にある。海抜650~700m。短時間の低温マセラシオンにより香りを最大限に抽出。 
香りには青リンゴ、洋梨、白桃の伸びやかな果実香、黄色い花、麝香とスモーキーなタッチにほのかに硫黄のニュアンス。 
風味はみずみずしく抑えめの凝縮感、穏やかな酸味、中盤からゆるゆるとほろ苦が余韻まで、このほろ苦がワインにコシを与えていてバネのある印象。一貫して軽快。 
ホタテの香草焼きに。いろいろなワインにホタテの生臭さが立ち上がってしまい、セラーの中を見渡し目があったこのワインを。ピュアで伸びやか、軽快な果実味はホタテの生臭さを起こすことなく、すっと寄り添ってくれた。相性: ★★★☆☆ 

⑥ライナカバイオダイナミックソーヴィニヨン・ブラン, 3,168円 
reyneke, sauvignon blanc, organic, Stellenbosch, South Africa, 2019, 13.5% 

香りには刈りたて芝の鮮明なグリーンなフレーバーが支配的、果実香はピンクグレープフルーツ、海岸を歩いているような潮っぽい香りも。風味にはみずみずしくバネのある果実味、飲んだ後に鼻腔を抜ける樽香や酵母の香りがワインに奥行きや複雑さを与える。 
ホタテの香草焼きに。カキのレモンオイル煮に素晴らしい相性を見せたこのワインをセラーから取り出す。ドライディルの爽やかさにワインの鮮烈なグリーンフレーバーが繋がりつつ、ホタテの多少の生臭さもふわりと包む。相性: ★★★☆☆ 
 
フードフレンドリーなスプマンテ、ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノにも強烈に反発。ホタテの鮮度も影響したかもしれない。
バターとディルでさらにホタテをメークアップしてなんとかサルディーニャ島のヴェルメンティーノ品種との相性は保った。
ピュアで雪山の空気のような清々しさを持つアルト・アディジェのミュラー・ドゥルガウは生臭みのスイッチをみごとにかわしてホタテの旨みを届けてくれた。

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