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紋甲イカソーメンのフェイジョア添え サルディーニャ島のヴェルメンティーノ品種の潮の香り

紋甲イカソーメンをフェイジョアの台座に広げてオリーブオイルを振る。

フェイジョアは南米原産、グアバと同じフトモモ科に属していて確かにグアバのような風味も感じるが酸味がやや強く柑橘のような要素も含む。先日は鯛のカルパッチョに合わせた。

 イカソーメンに合わせたのはスペインのスパークリングワインのカヴァ、フランス ボジョレーのお隣マコンのヌーボー白、長野県の竜眼品種、イタリア サルディーニャ島のヴェルメンティーノ品種の4種。
 
マス・デ・モニストロル, カヴァ, グラン・レセルバ ブリュット・ナチューレ, 3,168円
Marqués d La Concordia, Grand Reserva, Brut Nature, 2013, Spain, 12%

香りにはリンゴリキュール、シードル、リンゴ蜜、リンゴのジャム、さらに微かに白い花、白胡椒のスパイシーなタッチ、微かにほしわらやヨードのニュアンス。
風味は9年の熟成を思わせない活き活きとした酒質、中盤から早々にヨード系のビターなタッチ、こぎみよい酸味、フィニッシュにもヨード系の海藻を食べたような香りの抜け。
紋甲イカソーメンに合わせる。イカソーメンは空気に触れる切断面の面積が広く、風味の劣化スピードがどうしても速まってしまうか。身で買って食べる直前に切れば風味劣化は多少抑えられそうだが、今回はソーメン状になってスーパーで売られたものだった。それでもイカのねっとりとした食感にふくまれる柔らかい甘みは健在だ。カヴァの泡の刺激が若干の劣化によるイカの磯臭さを程よく抑え込みつつ、カバのヨードのニュアンスはイカの磯の香りによく繋がる。この熟成カヴァの果実感はやや穏やかで、フェイジョアの豊かな柑橘香のボリューム感と異なるが喧嘩はない。相性: ★★★☆☆
カリブの調味料ジャークを添えるとイカの磯の香りにスパイスが加わり、またスパイスの余韻にふわりと立ち上がるイカの甘味がなんとも健気で愛らしい。なお、ジャークは黒みがかった茶色をしていて原料には魚醤(魚介類)、トマトペースト、玉葱、醤油、胡椒、ガーリック、ナツメグ、タイム、ローレル、バジル、ジンジャー、シナモンを使用した調味料。

ジャマイカなどのカリブで愛用されている。豚肉や鶏肉などを漬けて炭火で焼く際に用いられる。相性: ★★★★☆
 
タイユヴァン マコン・ヴィラージュ・ヌーヴォー ヴィエイユ・ヴィーニュ 白・ロゼ赤の3本セットで14,850円(単価では6,500円)
Les Caves Taillevent, Beaujolais Nouveau, France, 2022, 13%

香りにはフレッシュなリンゴの果実香、ほのかに白い花のフラワリーなフレーバー、香りのボリュームは軽め。
果実味はみずみずしく凝縮感は軽快な口当たり、やや穏やかに感じる酸味。樽の香りなどの醸造のテクニックをいろいろと乗せたシャルドネも良いが、すっぴんの新酒のシャルドネはアタックから余韻まで一貫して軽快、それが新鮮で個性的。心地よい軽快さだ。
フェイジョアの柑橘香とワインのストレートでピュア、フレッシュな果実味が良く繋がるが、イカの磯の香りをまとった甘みはそこに期待するほどのレベルで溶け込まない。相性: ★★★☆☆
 
五一わいん, エステート・ゴイチ, 龍眼, 長野県, 1,782円

龍眼は「善光寺ブドウ」の名でも知られ、生食でもワインでも楽しまれる。カスピ海周辺が原産と言われ、シルクロードを経て中国、日本へと渡り、長野県に根付いたとされる。
このワインの香りにはカボス、スダチなどの果皮の青い柑橘の香り、グレープフルーツも。酵母やほのかにナッツのようなニュアンスと還元香か、マッチ棒の先のような匂いも。白い花、香りのボリューム自体はかなり控えめ。
風味にはみずみずしい果実味、酸味は穏やか、まっすぐで伸びやか、繊細でピュアな果実味。ほろ苦さも柔らかく繊細な旨味のようなニュアンスも余韻に。やや繊細さが強いので料理を合わせる際に留意したい。
ワインの果実香が控えめでフェイジョアの明るい果実味には圧されてしまう。竜眼の繊細な風味とほろ苦さは新鮮さを欠いたイカの磯臭さをわずかだが立ち上げてしまう。
相性: ★★★☆☆
 
サンターディ ヴィッラ ソライス 2020, ヴェルメンティーノ イタリア, 2,244円
Santadi, Villa Solais, Italy

香りにはグレープフルーツ、ライムなどの青い柑橘果皮、青いマンゴーの皮、磯の香りを非常に明快に、海水に浸かった貝殻をかいでるかのよう。
風味にはやや軽快な果実味、酸味は中庸ながら果実味をしっかりと統制、余韻にかけて柑橘果皮のようなビターなタッチを強めに。
イカの磯の香りにはワインの潮の香りがよく繋がり、柔らかい甘みはワインの柑橘香がアクセントになり際立つ。ワインのハリのある柑橘香はフェイジョアとの繋がりも素晴らしい。新鮮さが多少欠けるイカであってもワインの潮の香りがしっかりと包み込み、嫌な臭いは立ち上がらず。むしろ、イカのほどよい熟成感として魅力を与えて、柔らかくまったりとした甘みを楽しませてくれる。
相性: ★★★★☆

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