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サーモンのミ・キュイ スロヴェニアのチャーミングなピノ・ノワール

ゴールデン・ウィーク中に立ち寄った神戸にて。元町駅から少し山側に歩き、レストラン ノマディカに入る。スタイリッシュなインテリア、広い窓から外を眺めながら食事を楽しめる。大通りから少し入った路地にあるので、窓越しの人通りはそこまで多くなく、落ち着いて食べられる。
料理は以下を注文。
・サーモンのミ・キュイ (半生まで火を通した料理)
・豚肉のパテ
・鶏の唐揚げ
・鴨のロースト ベリーソース添え
・ポテト・フライ
・タルト・フランベ (アルザス風薄焼きピザ)

料理を注文後、店内のワインセラーに入る。このお店ではセラーから気に入ったワインを選べるのだ。注文した料理を思い浮かべながら、どのワインに合わせようかと迷う時間も楽しい。が、鮭、豚(パテ)、鶏、鴨と様々な個性の食材の料理を頼んだのでなかなか難しい。重めの白ワインやオレンジワイン、軽めの赤ワインあたりが最大公約数かなと思いながら陳列されたワインを眺めていると、スロヴェニアのピノ・ノワールが目に入る。東欧のピノ・ノワールは素朴で滋味豊かなものが多い印象だ。きっと注文した料理に広く合うだろうと想像してセラーから取り出し、テーブルに登場してもらう。食事が運ばれてくる前にワインをひと口。

ヴィパーヴァ 1894 d.o.o., ピノ・ノワール スロヴェニア 5,500円(レストラン価格)
Vipava, Modri Pinot, Slovenia, 2018, 13.5%
香りは素朴で陽気、チャーミングなチェリー、大ぶりの樽熟成か微かにバニラ香、スミレや野薔薇のフラワリーなフレーバー、微かに漢方薬のようなヒントも。
風味の果実味の凝縮感は軽めでジューシー。旨味、滋味豊かな味わい、やや明瞭な酸味がチャーミングなワインを心地よく引き締める。

ワインには一品との爆発的なペアリングのパフォーマンスを期待せず、様々な料理との最大公約数となることを期待していたが、それ以上のパフォーマンスだった。

豚肉のパテの、レバーの旨味の野生的なニュアンスにワインの懐の広いチャーミングな果実味が一体化。

豚肉のパテ

ラムチョップのような見た目の鶏の唐揚げにはエキゾチックでやや強めにスパイスが効いていたが、それと鶏肉の軽快な脂がワインの開放的な果実味に心地よく寄り添った。

鶏の唐揚げ

鴨肉にピノ・ノワールは定石なので、鴨のロースト ベリーソース添えとの相性は間違いないだろうと思いながら合わせたが、見事に期待を超えてくれた。

鴨のロースト ベリーソース添え

火入れには素晴らしい仕事が見て取れる。外側はしっかりグリル、内側は柔らかさがしっかりキープされていて、噛むごとに旨味がじわじわと広がる。そこにワインのチャーミングな果実味がベリーソースを触媒に鴨肉の旨味にぴったり寄り添う。

そして本題のサーモンのミ・キュイとの相性。

サーモンのミ・キュイ

ミ・キュイは半分火が通った、半生の、を意味するフランス語。見た目は刺身に近い。が、ほんのり火が通っている分、身に硬さが少し入り、また生魚が持つ脂と、加熱による旨味を兼ね備えた素晴らしいひと皿に仕上がっている。魚に旨味が加わっている分、マスタードやタルタルソースにも負けずにバランスしてくれる。特にタルタルソースとの相性が抜群だ。鮭の脂と旨味に、タルタルのクリーミーと酸味がシンクロナイズする。口内に余韻が残る中、ワインをひと口。

サーモンのミ・キュイとスロヴェニアのピノ・ノワール

ワインはソースの余韻に滑らかに繋がりながら、魚の風味に陰影を彩るように立ち上げ、そして同時にワインのチャーミングな果実味も鮮やかに残る。強く記憶に残る素晴らしいペアリングとなった。
相性: ★★★★★

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