「豊かさのお裾分け」を企業ミッションとして。あたらしい出発と、懐かしい話。
【連載note】セプテーニグループにある10社以上の社内ベンチャーをめぐり、事業家ひとりひとりが持つ“プレイスタイル”を聞き集める企画です
今回は、ミロゴス株式会社の高村さんにお話を伺いました。
<目次>
・リモートワークの嬉しい誤算、名物な先輩を思い出す
・『豊かさのお裾分け』ミロゴスの新しい出発。
👉ポイント:「正直かどうかじゃない?」
・雑談、いやハイライト
・制作後記
◎プロフィール
髙村 圭 1984年静岡生まれ。明治大学法学部卒。新卒でセプテーニ入社→2011年サイテック株式会社取締役→2014年アソビュー株式会社取締役→2018年ミロゴス株式会社代表取締役 ミロゴス株式会社
リモートワークの嬉しい誤算、名物な先輩を思い出す
ー今はほとんどリモートですか?
そうだね、これは嬉しい誤算で、2020年3月に急遽リモートに切り替えて、まあ世の中落ち着いたら出社に戻そうと考えていたんですけど、意外とね、出来ちゃったんですよ。
ーへえ!
思っていた以上にちゃんとワークした、というか。そのタイミングで子どもが生まれたメンバーもいて。在宅勤務だと子どもと関わる時間がとりやすいとか、細かい用事を済ませやすいとか…。あ、どうやらそういうのも、働く上では大事っぽいぞと。
ーはは、『大事っぽいぞ』。
チームのために、我々が経営の調整幅できることって、給与や事業規模を桁違いに拡大するっていうのは現実的ではないなと。でも働きやすさ方面の調整ならできるなと気づいたというか。
今後はオンラインとオフラインと、ハイブリットにしたほうがいいなとは思うんだけど…
ーこれ聞いてみたかったんですけど、、リモートでカバーできない部分はどんなところでしょうか
指摘しづらいよね。お互いに。
ーあ〜。
ーあ〜。(加来さん)
相手の気持ちを無視して怒ればいいのかもしれないけど、それはね。家のリビングで仕事してて、怒られてるのを家族が聞いてるとかもさ、やじゃない。
ー確かに。
物理的に同席していたら、チームの誰かしらが「さっきのあれさ…」ってフォローできた。それこそ昔なら喫煙所でちょっと話すとかあったけど。その温度感のコントロールがしづらいよね。
ー確かに昔、そういうフォローされてた気がするな。笑(加来さん)
あ、あれでしょ?笑
ーふふふふ(加来さん)
ー思い出の事件があるんだ。笑
ほんと名物な先輩がいたんだよ、怒鳴りながら入ってくる、みたいなね。笑
ーへええ…
時代だよね(加来さん)
まあでもほら、新人なんて注意すること山ほどあるのが当たり前だから、直接話す機会が少ないのはお互い仕事しづらいよね。
ー確かに先輩とのラリーの中で徐々に理解していくことも多かった気がします。
そこら辺がリモートだと機能しないじゃない。
指摘する人だって、本当にこれ伝わってるのか?って考えちゃうし、質問する人だって、やりづらいと思うのね。あたらしく入った会社で、一人ひとりの空気感が掴めないのにチャットで質問するって。
ーそれはありそうですね、困ってることを文章で整理できるなら、調べられるし。
そうだよね?調べようにも調べられない。
だからもうちょっと、ふんわりしたコミュニケーションを担保できるようにしたい。
オンラインとオフラインの組み合わせ方はこれから試していくところであるよね。
豊かさのお裾分け。ミロゴスの新しい出発。
僕はセプテーニグループにずっといたわけではなくて、別の企業でも役員をやったりして…それで2018年の1月に改めて入社したんですが、これね、めちゃくちゃな話なんですけど、入社前の12月に社名とロゴを決めろと言われて。
ーあ、へえ!
そうそう。笑 社名の候補をあげて、リーガルチェックをしながらなんとか決めたと。それで今ちょうどCIを再検討しようと思ってるんですけどね。
ー何かの節目なんですか?
体制が変わったところですかね。うちは、トライコーンの事業から一部分を子会社として切り分けたかたちで生まれたんですけど、そこから独立して、トライコーンとは親子関係から兄弟関係に変わりました。
これまでの体制だと、セプテーニグループのビジョン・ミッションもあり、トライコーンのビジョン・ミッションもある状態だったんで、自社の企業理念や行動指針はあえて持たずに進んできました。すでに事業もメンバーも動いている状態でスタートした会社なので、細かく作ってもややこしいだけだなと。
で、独立にあたってCTOの採用もできて。CIの更新とか諸々、今がタイミングかなと。
ーボードメンバーの採用は転換期の肝だと聞きます、、どうやって出会っていくんですか?
それは気合いだよね〜。会って会って、、、
ー「これは大事だったぞ」というポイントを教えていただけますか
盛らない。自社の魅力よりも、「こんな課題があるよ」というところを正直にお話する。
よく見せようとしても、相手だっていろんな組織を見てきてるんだし、色々わかるよね。だから内情を正直に伝えて、それに耐えられるかどうかは本人に決めてもらう。いい面ばかり見せない。
ーなるほど。「ネガティブな方に盛る」ってないですもんね、真実味があるし、問題点も共有すれば、等身大の話にしかならない。
そう、事実を伝えて、メンバーにも会ってもらって。事業に関わる前にわかることって、もう限界があるじゃないですか。
だから、判断してもらうための機会はちゃんと作るけど、最後は本人主導で決めていただけるように。「誘われたから」とは望んでいない、と伝えてましたね。
それで、さっき話した通りうちはミッションビジョンよりも先に、チームも事業もあったんですよ。だから、改めてそこを作ろうと思ったときに、まず何より働いているみんなが受け入れられるものがいいなと。
ーどうやって考えたの?(加来さん)
ここ数年間でボードの間で会話してきたベースとなる価値感はあったから、それを思い出して会話しつつ、最後は一人でうーん(頭を抱える)って。
ーえ、そうなんだ。結構ユニークだなと思ったよ。(加来さん)
そうだよね
(※下記、ベータ版とのことですが現時点での方針を教えていただきました)
◎ミッション
豊かさのお裾分け
私たちは本質的価値の創造活動を通じて、まず自身が豊かな生活を送ることで充足し、幸福の余剰を社会に還元していきます
◎ビジョン
あらゆるモノのハブとなり、滑らかなUXを実現する
◎戦略
DX支援/プロフェッショナルサービス/システムのハブを目指す
◎コアコンピタンス
集中と選択/ダイバーシティ&インクルージョン/オペレーショナルエクセレンス
◎行動指針
・関係の質にこだわり抜く
・素直で良いやつ
・プロフェッショナルであれ
・常に改善し続ける
・3化け(可視化 仕組み化 冗長化)
・自由のために、ルールを大事に
・日常を楽しもう
「関係の質にこだわり抜く」、コミュニケーションが上手い必要はないけど、背景は話そう、何かあっても誰かが悪いとかそう言うことじゃない、まず雰囲気がいい方がいいよね、とか。3化けは特に「孤独でやるな」ということでもありますね。
ーなるほど。「自由のために、ルールを大事に」これは本当に必要な心構えですよね
企業っていろんな側面があって、攻めも守りもあるじゃないですか。攻めの視点だけで進んでいると、事故も起きるんですよ。
だからセキュリティの観点が重要になってくるけど、じゃあ全て監視すればいいのかといえば、やりづらさも増えてくる。そういうバランスをとろうとしたときに、やっぱり最低限のルールを守る、お互いの自由のために、そこはちゃんとするっていう。
集団である以上は、ルールは存在する。でもルールが増えたらお互いに困るから、まずは一定のモラルを保ちましょうね、ということですね。
ー仕事における“組織の事故”って、経験しないと想像できないですから、背景を伝えるというのは本当に重要なことだと感じます。
そうだよね。
方針の背景や考え方は伝えるけれど、その上で、議論はね、していきたいなと思う。みんなの方がもっと最適な手段を知っているかもしれないし。
ーあと、「良い奴」のところだけプロトコルベースなのがいいなーって思ったんですけど、どうしてこの項目を入れたんですか?
ははは、そうだね。採用でもどんな人と働きたいですか?と聞かれるけれど、能力が高いことよりも人間性かなと思います。抽象的だけど的を得てるというか、良い表現だなと思う。
組織を作っていく上で、悪人に対処するコストってめちゃめちゃ高いじゃないですか。
モラルが低いところへ情報や権利を渡してしまうと、組織が疲れていきますよね。
ー悪人。絶対悪というより、環境によって悪になる場合の方が多い気がします。
そうだね
ーその危なっかしさの入り口を、人のどんな部分で判断されていますか?
それはね、正直かどうかじゃないかな?
正直に言えない人っていうのは、リスクを持っていると感じます。出来ないことを他人に言えないとか。
ーなるほど。
そう、よくさ、何でもポジティブな方へ置き換えるのが大事とか言われるけれど、「よく見せよう」とか、言いまかそうとするようなポジティブさ、状況を誤魔化すような前向きさ、みたいなのは組織にとって良いことじゃないよね。
事故やリスクは早めに摘めば回避できる場合も多いけれど、隠されてしまったら何もできない。それに、個人をみても、出来ないことを言えない、正直に言えないというのは、真面目な面かもしれないけど、脆さでもあるよね。
ーままならなさを話せる勇気も。
うん。お互いに完璧っていうのはないから。
僕はもうずっと、それこそ10年くらい役員をやってて感じることですけどね、経営陣から渡されたものは完璧なプランだ!って思いやすいじゃない?僕も思ってたんですよ。
でも、自分がプランを練るようになって思うのは、やっぱりね、そこまで完璧ではないというか、間違ってる可能性もあるんです。
だから対話しながらやっていけるといいなと思ってますし、とはいえ言いづらいだろうから、こちらから気づけるようにしたいなと思う。
まあ若者からしたらね、言いづらいよ、おじさんって生きてるだけで圧があるじゃない。
ーうん、うん。もうほんとね。(加来さん)
ーはは、後輩としては、その圧の所以を頼りにしています。それから「日常を楽しもう」、これは「豊かさのお裾分け」の源になるところでしょうか
僕らは、ほら、割とハードワークも厭わなかったから。
ーそうだったね。笑(加来さん)
ーふふふふ。笑
もちろんそこで学べることは多かったけど、人に勧められるかと言えばそうじゃない。
長く働いていく上で、趣味の時間も人生では大事だからね。
自分もそうするし、みんなもそうしてみて欲しいなと。『アイドルの公演があるので全国まわらないといけません』「そうか、じゃあリモートで上手く回していこうね」とかさ、そういうのもなんか良いよね。
ー他社からセプテーニグループに戻られて、グループの中で、今ここが面白そうだなという会社はありますか?
あ〜、セプテーニ・ジャパンかな
ーへ〜(加来さん)
新規事業会社のことはあまり知らないのもあるんですけどね。ジャパン社のボードメンバーはいわゆる同世代でもありますし。経営を引き継いだボードメンバーが、どんなことをしていくのか、楽しみに見ています。
雑談:本日のハイライト
男同士ってさ、ランチしようとかないじゃん
ーまあね、会うとしても要件ありきだよね、具体的な相談がないとね(加来さん)
そうそう。だから釣りとかもさ、あー趣味を通じて社会と繋がれる方法もあるんだなーって最近わかってきた
ー飲むのもそうだったよね、近くにいるならおいでよって。(加来さん)
そうだよねー、でも今はなかなかねー。
ーだから毎回気づいたら下垣くんになってるんだよね。笑 (加来さん)
あ、高野さん待って、帰るの?(オフィスの向こうで会議をしてた高野さんを呼び止める)
ー帰るよ(高野さん)
え、ちょっと待ってよ、今俺インタビュー受けてるから。
ーおお、なんのインタビュー?(高野さん)
リミックス
ーあ〜だめでしょ、高村さん出しちゃ〜(高野さん)
俺もそう思うんだけどさ!
ーいや、満を辞してだよ(加来さん)
***
昔は何歳までにどうこうしたいとかあったけど、今は昔みたいな感覚で長期的に見てないかな。
ー高村さんは出たとこ勝負だから。(高野さん)
うん、完全にレットイットビーだな。
20代の頃は、「まだ方向転換できるかもしれない」ってあるじゃない?
でも30代になると切符がないジャンルが増えていくでしょ、物理的に自分はその道じゃないんだな〜って。
ーそうそう、30代半ばくらいから、先を見据えるより今できることやろうという感覚になったかも。(加来さん)
ね、そうだよね。それに新卒もさあ、高専卒とかだと、下手したら子どもくらいの年齢差になるわけでしょ。
ーあ〜、下垣くんの子ども世代くらいかも。(加来さん)
それはもう「俺らでやってこうぜ!」とか肩組めないよね、向こうからしたら『いや、そっちおっさんじゃん。』って
ーそうだね〜、「仲間!」みたいにはならないだろうね〜。え、これテーマなんなの?(高野さん)
ん?大丈夫、最初に会社のこといっぱいしゃべったから
なんか飲み屋の1次会みたいになっちゃったけど
ーでもこういうのもね、大事だよね(加来さん)
ー何も生まれないけどね(高野さん)
ーいや、長い目でみたら「あの時の会話があったから、このビジネスが生まれた」ってなるかもしれない。(加来さん)
うん、それはあるかもしれないし、ないかもしれない。
ーはははははは、ないだろうね。(高野さん)
ないだろうね。笑
大丈夫、前半ちゃんと話したから
ー楽しみだな〜(高野さん)
制作後記
こうやって先輩たちの雑談に紛れ込むチャンスを失いかけているのは、なんだかリモートワークの惜しい部分だよなあと感じます。
これは(も)、先輩に聞いた話ですが、家を建てるとき、木材を噛み合わせる際には、凸と凹をぴったりにするのではなく、少しの隙間を持たせるそうで、この隙ことを「あそび」というのだそうです。隙がないと、揺れや軋みに弱くなる。隙を持たせることが、強度につながる。だから「隙(あそび)」は重要な役割をしているんだよ、とのこと。
働く上で、そういうコミュニケーションの隙は案外栄養分になりますし、それこそプレイスタイルの所以を垣間見るチャンスだったりして、とても好きな瞬間です。(結果、雑談の編集配分が多くなりました)
高村さんは、趣味の釣りのためにカヌーを買ったとおっしゃっていました。足で漕ぐカヌーがあるんだそうです。そして、高村さんと高野さんの「釣りとマーライオンの話」が愉快でしたので、お会いしたらぜひ聞いてみてください。きっと教えてくださると思います。ふふ。
今回も、ありがとうございました。
-fin.-
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