見出し画像

「素直さ」という武器を捨てたのはいつだったっけ?

誰だって「ふぎゃぁ!」とこの世に産まれてからしばらくの間は、素直で、無邪気で、純粋だったはず。

もちろん私だってそう。

それなのに、どうやら私は「素直さ」をどこかで手放してきてしまったみたい。今になって「あれは必要なものだった」とわかったけれど、いったいどこまで戻れば落し物が見つかるだろう。

「素直さ」は自分を伸ばすための最強の武器だってわかったのに!

手放したのはいつ?

あれは幼稚園の年長さんのとき。友達の家で先生への手紙を一緒に書いた。
「明日一緒に先生に渡そうね」と約束したけれど、私が登園したときにはすでに友達は先生に手紙を渡していた。

あれ?約束のこと楽しみにしてたのは私だけだったの?
そんなもやもやを振り払えなくて、その日の幼稚園は楽しく過ごせなかった。

たとえばこんなささいな出来事で、疑うことを覚えたときかもしれない。

弟とおもちゃの取り合いをすると、「お姉ちゃんなんだから、我慢しなさい」と言われた。先に遊んでいたのは私で、弟がそれを奪いにきたのに。

こんな日常の一コマで、自分の気持ちに従うより、まわりに求められる役割をこなした方が褒められるんだと学んだときかもしれない。

自分のまわりの社会が広がっていって、他人の目を気にするようになるのと比例して「素直さ」を少しずつ手放してきたような気がするな。

本当の気持ちを隠したり、もっと自分をよく見せようと思ったり、ばかにされないように注意深くなったり。

「馬鹿正直」という言葉があるように、素直でいすぎると損をするんだなってなんとなく思っていた。

素直さを手放すことで、自分を守っていけると思ったんだ。

「素直さ」は武器になる

ところがどうやら、「素直」でいることはすごい威力を持っているらしい。

「素直さ」が大事なものだと教えてくれたのは、『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』という本だ。

「ビリギャル」と言った方が伝わるかもしれない。


2013年に出版され、2年後に映画化されたこの話の主人公は、金髪ギャルの女子高生さやかちゃん。
タイトルの通り、1年で偏差値を40も上げて慶應大学の現役合格を果たした。

さやかちゃんを教えていた塾講師の坪田先生が書いたこの本で、彼女の第一印象についてこう書かれている。

「この娘(こ)、何が目的でうちの入塾面談に来たんだろう?」
それが僕の偽らざる第一印象でした。

そして、さやかちゃんと挨拶を交わした坪田先生は、こう確信する。

この子は、見た目と違って素直だ、これなら絶対大丈夫、相当行けるぞ。

見た目に惑わされずにその人の本質を見ようとする坪田先生がすごいのはもちろんなんだけど、「素直さ」だけでこんな確信が持てるものなんだ、と驚いた。

坪田先生が言うには、プライドが高い子は自分の行動を変えられないから伸びるのが難しいんだって。

自分がやってきたことを間違いだったと認めるのが怖いから、無意識に反論してしまう。
どんなによい指導をしても、「でも」「だって」と行動を変えようとしなければ伸びない、と。

素直な子は、教わった通りに自分の行動を変えられるからぐんぐん伸びる。

さやかちゃんのすごいところは、「この先生は信頼できる」と感じた自分のことを信じ、坪田先生の指導に素直に従ったことだ。

だってさ、「私は慶應に受かる」って言葉にしてみんなに言いふらすといいよって言われたからって、すぐにできる?

どうせ無理だって言われるだろうなって思ったり、大きなこと言って落ちたら恥ずかしいって思ったり、そんなん言いふらしたからって受けるわけじゃないしって思ったりするもん。

私、それ、できる気がしない。

教わったことを素直に実践するのが大事って、実は知ってた

ビリギャルを読んで「素直さが大事」って改めて思ったのは本当だけど、素直に実践できる人が伸びるってことは実は前から知っていた。

今までに受けたセミナーや講義で聞いていたから。教えてくれる多くの人が、同じこと言うもの。

特に記憶に残っているのは、コピーライティングの女神こと、まよ先生が教えてくれた「自己流は事故る」という言葉。

先人たちが時間をかけて習得してきたノウハウを教えてもらっているのに、「でも」「だって」と自己流にアレンジしてしまったら結果は出なくて当然なんだ。

知っているのに、それでもできないのは、まだまだ私に素直さが足りないからだ。

それでも。
受験の話は自分に関係ないや!と思ってスルーしてきたビリギャルを今回読んでみたのは、2人のプロがオススメしていたからなんです。

コピーライティングのプロが「本のタイトルと表紙のデザインが秀逸!」と勧め、講師のプロが「坪井先生の生徒への接し方が完璧!」と勧めてくれた。

こりゃー読むしかないよね、と本を手に取った私、少しは素直さを取り戻せているんじゃなかろうか......!

この記事が参加している募集

読書感想文

記事を読んでくださってありがとうございます。いただいたサポートは、書籍購入費用に充てます!良い読書は良い文章を創る。記事を書いて還元いたします。