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引っ越しのこと、子どもにどう伝える?

今日から3月。
転勤になったよとか、今回はならなかったよーというのが周りでも話題に上ってくるようになりました。

わが家では「うちは転勤族である」ということ、「いつか絶対にこの地を離れる。それはいつか分からないし、ある日突然決まるんだ」ということを子どもに伝えてあります。

※この記事の同じ内容は、音声でも聞けます。



どんなタイミングで伝えるか

娘はいま小学校1年生。
この土地にもう5年近く住んでいるので、娘が最後に引っ越しをしたのって2歳の時なんですね。
その時のことは、きっともうほぼ記憶には残ってないと思います。
だから娘にとっては、次の引っ越しが物心ついてから初めて経験する引っ越しっていうことになります。

そんな娘にわが家が転勤族であると伝えるのは、お友達が引っ越しをして行くタイミング。

○○ちゃんはお仕事のお父さんのお仕事の都合で引っ越しすることになるんだよ、それは○○ちゃんだけではなくてうちにもいつかそういう時が来るよ、と言うように話をしてきました。

周りのお友達に転勤族が多いんですよね。
賃貸のマンションで転勤族が住みやすいエリアとなるとみんなそこに固まるし、生活のスタイルが合う家庭が多いので仲良くなりやすいんです。
学校終わりにまっすぐ家に帰ってきて遊べる近所の子っていうのは、やっぱり転勤族が多い!
地元の子は共働き家庭が多いから、学童に行っちゃうんですよね。

だから娘は、仲良くなったお友達と別れる経験っていうのをたくさんしてきています。
幼稚園の年中さんの時から毎年、その時一番仲良かった子が引っ越ししていてしまっているんです。
引越していくっていうのはどういうことなのか、いつも遊んでいた友達とその後遊べなくなるって言うのはどういうことなのかっていうのが身にしみて分かっていると思います。

この春も、家が近所で一緒に学校に行って帰ってきてからも一緒に遊んでいる一番中の良いお友達が転勤をして行くことになりました。
でね、それを伝えるために夕食の後にちょっと話があるよっていう風に声をかけたんです。

そしたらすぐに「引っ越し??」って聞いてきたの。
うちがとうとう引っ越しすることになったのか?っていう意味ね。

そうではなくて●●ちゃんが引越しすることに決まったよっていう話をして、そこからひとしきり泣く娘の気持ちを受け止めていたのだけれども。

娘が「お別れは寂しい」と泣くことよりも、すぐに自分の引っ越しのこと?って聞いてきたことがわたしの中でひっかかりました。

自分はいつか引越しする、ずっとこの土地にはいられないって7歳の子どもに意識させてきたことは、果たしてよかったんだろうかって。
子供時代は大人の事情とか考えずに、無邪気に過ごしてた方が良かったんじゃないかって。

ちょっと気持ちが揺れてしまったんです。

「引っ越し」に対する姿勢を伝える

「わが家は転勤族だ」ということを、家族の一員として子供にも対等に知っていて欲しいと私は思ってきました。
変に隠してても仕方のないことだなと思うし。

だからちょっと気持ちが揺らいだけれど、うちのやり方はそれでいいっていうように今は思っています。

でね、ちょっと気持ちが揺れた時に、その思いをTwitterに吐き出したんですね。


そしたらいろいろ意見を頂きました。

いつか引っ越しをするから心残りがないように過ごしてほしい、という気持ちで子どもに伝えているとか。
自分が子供だったら言っておいて欲しいと思うから伝えている、とかね。

そんな中で、引っ越しを子どもがどう捉えるかっていうのは引っ越しに対する親の姿勢も関わってくるんじゃないか、と言ってくださった方がいたの。
それは本当にその通りで、私も同じように考えています。

もう引っ越しなんてやりたくない。
どうしてこんな思いをしなきゃいけないんだ。
新しい土地のことが嫌い、つまらない。
こんなふうに引っ越しに対して親がネガティブに捉えていたら、子どももそう思うよね。
そうか、引っ越しは辛いことで、今いる場所はつまらないところなんだと。

新しい土地での生活もきっといいことがあるよ。
今まで知らなかったこと、できなかったことを経験できるね。
こうやって親が引っ越しをポジティブに捉えていたら、引っ越しって友達との別れで悲しいこともあるけれど楽しい面もあるんだなって子どもも感じられると思います。

引っ越しをどう捉えるかは子供の性格にもよるから、これが全てってわけじゃないけどね。
でも、引っ越しって何かまだ知らない子どもにとって、親のその姿勢っていうのかなり大きな要素になるんじゃないかなって思っています。

かつて私も親のポジティブな姿勢に助けられた

わたし自身も、小学4年生の時に親の転勤で引っ越しをした経験があります。
父親の仕事は転勤のある職種ではあったけれども、頻繁に引っ越しをするっていうことはなかったので、その時が初めての引っ越しだったんですね。

家族でシンガポールに引っ越しをしました。

当時、母親は働いていたし、家もあったし、近所に母方の祖父母も住んでいたので、ついて行かないっていう選択をすることもできたと思う。
だけど、こんな貴重な経験はなかなかできないからって家族みんなでついて行ったんですね。

そういう気持ちが両親ともにベースにあるので、引越しをしてからも色んな所に連れて行ってもらいました。
「貴重な経験をしている」って両親がしょっちゅう言っていたわけではないと思うんだけど、やっぱり伝わりますよね子どもには。

だから、わたしの中でも「とても良い経験だった」と当時のことを記憶しています。
日本に帰ってきてからもずっとそう思っていたし、今もそう思っているのね。

ところが、大人になってから母親に「実はあの時とってもかわいそうだなと思っていたんだ。」と聞かされたんです。

外国なので日本人の子供が一人で出歩くと危ないから、学校から帰ってきても友達の家に自由に遊びに行ったりはできなかった。
たまに遊びに行く時には、親も巻き込んで約束をして送り迎えをしてもらっていました。
小学校高学年ならよくやると思うけど、友達同士で遊びに出かけるってこともできなかったです。

だから帰宅後はほとんど家にいるんだけど、そんなに毎日やることもなくって。
親の目から見て、とてもストレス溜めてかわいそうだったと言うんです。
神経質なくらい、部屋の掃除をしたりしていたって。(今のわたしからは考えられない...!!)

わたしは当時の自分がどんな風に思って生活していたのか全く覚えていないし、初めてそんなことを聞かされてすごくびっくりしました。

きっと小学生のわたしに母親が同じことを言っていたら、わたしの記憶は違ったものになっていたと思います。
「自分はとてもかわいそうな経験をした。」と。
そしてきっと今でもそう思っていると思う。

でも母親はその時のわたしにそういったことは全然言わなかったし、むしろ出かける機会を作ってくれたり、今しか経験できないことだからって言っていろんな世界を見せてくれてたんですね。

だからそっちの記憶しか、わたしにはないの。

親が子どもの状況をかわいそうとか、辛いねとか、大変だよねと言ってしまうと、子どもはその言葉通りに自分はかわいそうなんだ、大変な思いをしているんだって思います。

こんなにいい経験ができているとか、初めての場所に行けて楽しいねとか、ポジティブな声かけをしてあげると、そういうふうに子どもは受け止めます。

転勤や引っ越しすることに愚痴が出る時もある。
あるけれど、あんまり子どもの前では言わないようにして、良い面を見つけて伝えてあげることができるといいなと思っています。

あとは子どもの気持ちのフォローね。
子どもが感じている事は否定せずに、「そういう風に思っているんだね」と受け止めてあげられるようにしていきたいなと思っています。

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