建築写真と文章を通して、創作者と対話する

先日も書いたのですが、近年、アーキテクチャーフォトの編集方法として「コンセプト圧縮」というものを行っています。

それは、設計者の皆さんが書いたテキストを読み込み、写真を拝見して、其々のプロジェクトを端的かつ本質的に伝える部分を選択し、80文字程度にまとめる行為です。

これによって、情報過多である現代の、そしてネット社会の状況に対して、建築作品の特質を伝えやすくし、その存在意義を広くまた遠くまで伝える為に行っている独自の方法論です。

現代社会で活動する中で、あがなう事の出来ない分かりやすさへの欲望に応えつつ、守るべきものを守る為にたどり着いた手法でもあります。

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そんな行為を日々行う中で、僕自身の中に不思議な感覚が沸き起こってきます。

それは、文章と建築写真を、読み込み熟慮するなかで、何かこれらの媒体を通して、設計者や写真家の皆さんと対話しているような不思議な感覚です。

文章と写真の背景にある、「ここを見て欲しい!」「こう見せたい!」「ここが気合を入れたところなんだ!」という声が聞こえてくるような感覚を覚えます。

建築というものはその土地に建ち、行かなければ見られないもので、やはりその実物を見るという事が大事なのには異論はありません。

でも、その写真や文章にも、その建築を伝える為の、想いが込められているなあと日々感じています。

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