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建築と写真の新たな表現と可能性

こんにちは!だいぶ時間が空いてしまいましたこのブログ。。
なんと、まだ詳細はお伝えできませんが、新たな展開につながりまして、そちらの方に時間をさいしてまっておりましたので、更新ができませんでした。。
ごめんなさい。

今日は、昨日発見した、ヴォルフガング・ティルマンス公式サイトの彼の手ードモダンでの個展の様子を伝えるページのつくられたかたに半端なく感激しまして、そこから、ウェブで建築をどのようにつたえるか、ということをずっと考えてまして、その思考をメモとして記録しておこうと思い筆を執った次第です。もちろん、最後まで読んでいただくと、皆さんの今後のヒントにもなるのではと思っています。
(※ティルマンスは現代美術の世界で活躍する写真家で、世界有数の作家として評価されていると言ってもいいと思います。テートモダンで個展ができるという時点でもそれは明らかなのですが。)

まず、こちらのページをみてください。

http://tillmans.co.uk/component/jcgtillmans/2017-tate

ティルマンスのサイトの、展覧会紹介ページです。
約110枚の写真で構成されて、クリックで進むという簡単な構成ですが、もちろん展示されている写真が素晴らしいのは、もとより、その写真の移り変わりのシークエンスや、同じ写真を色々な角度や大きさで紹介するような、意図。写真単体での構図の美しさなど、もう、良いところを挙げればきりがないほど、素晴らしい紹介ページだなと思って、数十分ループでクリックをしつづけていました(笑)

これをみて、まあティルマンスが天才でセンスが超絶良いということでかたずけてしまうのは、楽なのですが、我々が情報を発信する際に、学ぶことができるヒントも隠されているなあと思ったわけです。

それは、ティルマンス自身が、最終的に自身のウェブで、上記のようなスライド形式で、展覧会の様子をつたえるという最終的なアウトプットの状況が想定された上で、会場の写真撮影に臨んでいると思われることです。
それが写真撮影時からティルマンスの頭の中に合ったことで、流れるようなシークエンスのスライドショーが生まれ、そのスライドショーという表現形式とその中の写真が一体化していて、切っても切れないような関係性を生み出すに至っているわけです。
本当に素晴らしい。

という、ティルマンスの思考を、想像しながら思ったわけです。
現在の建築写真って、どのように考えて撮られているのかなあと。
(予め書いておきますが、このテキストは建築写真家の方々を批判する目的で書いている訳ではありません。いつもお世話になっている友人・知人の写真家が沢山おりますし、そう言った方々も含めて、新たな視点を持つことで、より可能性のあるものになるんじゃない?といった、提案をこめて書いておりますので、どうかご理解ください)

今って、冷静に状況を俯瞰してみると、建築家がその作品をほぼ写真を通じて発信しているという現状があるわけです。
そして、その写真は、海外や、国内のウェブメディア、雑誌メディアに紹介されたり、建築家自身のウェブサイト、それに加え、instagram、twitter、facebookなどの様々な媒体にのり、多くの人の目に触れるような状況があると思います。
そして、私が皆さんの頭の中に入れておいた方が良い、視点として思ったのは、それぞれの媒体によって、見せ方のフォーマット(ルール)が存在していて、そのルールを理解できれば、その作品をよりよく見せることができる可能性があるということです。

いちばん分かりやすい例は、インスタグラムですね。
これって、タグや検索などを使用した時に、写真が一覧で表示されて、その膨大な一覧の中から、閲覧者が気になる写真をタップして拡大表示してテキストも読むという仕組みが出来上がってしまっている訳です。

そして、その写真一覧表示のページでは、全ての写真が、正方形に自動的にトリミングされてしまうのです。
つまり、建築写真として、通常フォーマットで完璧に構図が決まった写真が存在しているとしても、インスタグラム側のルールで、自動的に正方形に構図がかえられてしまうという現象が起こっているのです。
これは、もちろんインスタグラムの意向で今後変化が見られる可能性はありますが、まぎれもない事実なのです。

現在、インスタグラムは、建築家がクライアント候補とつながる新しい媒体としても注目されつつあります。そこで、より注目を得るということを目的とするならば、例えば、自動トリミングで正方形になってしまうということを、予め意識して建築写真の撮影に臨むというのは、私はひとつの考え方として、ありだろうと思っています。

最初の導入で書きました、世界的な写真家のティルマンスが行っていた事もまさにそうだとおもうんですよね。スライドショーというフォーマットを想定したうえで、会場の写真をとっている。
だからこそ、表現形式と写真の内容が密接に関係性をもった、素晴らしいプレゼンテーションになったというのは間違いないと思います。

インスタグラム以外にも言えると思うんです。この話は。
建築家の自社ウェブサイトを見ていても、写真の掲載方法は、本当に様々なです、ティルマンスのような一枚の写真が連続して変わっていく、スライド形式で見せるサイトもあれば、縦方向にスクロールしていくことで、写真を連続的に見せるサイトもある、もちろんその他の仕様もありますよね。

そのような固有の状況を予め認識しておくことで、そこで見せる写真の撮り方って変わってくる可能性があると思います。

当たり前ですが、額装して、大きくプリントして飾ることのか、小さいスマホの画面で伝えるのかによって、その撮り方は影響を受けると思います。

もちろん、その画面の中の構図にこだわったり、一枚の完成度が、重要だということは今までと変わらないのは言うまでもありません。
ただ、以前と比べ、その写真が掲載される場所や状況というのは、格段に増えていることは間違いない事実ですし、その場によって、厳格なルールが存在しているのもまた事実なのです。

建築設計業界の話を例に出すと分かりやすいかもしれませんが、様々な災害などが起きるたびに、その構造的な基準は変化してきている訳です。また環境負荷を取り巻く社会の考え方にも対して、建築設計自体が色々と考えなければいけないことが増えていったり、法規自体も日々変化している訳です。

それと同じように、建築作品を、どのように撮影して発信していくかということも、ウェブが登場して、SNSが普及してといった流れと共に変化していくものなのではないでしょうか。

私は、このような状況があることは、むしろ興味深いなとも思っています。何かをつくることを体験した人間ならわかると思うのですが、様々なルールや規則が存在することで、逆にそれをかいくぐるためのクリエイティブな思考や方法が生み出されることが多々あります。

ですので、建築作品を写真を通して発信する状況の多様性を理解する事が、クリエイティブの足かせにはならないと思うのですね。むしろ、それが、様々なたらしい発信の考え方のキッカケになってくれとも思っているのです。

例えば、新しく建築写真を生業とするかたが、「SNSでの発信に特化した建築写真をとります」と言って、色々なウェブ上に存在するルールや流儀を学んで活動しても面白いと思うのですね。

建築の世界でも、王道的な建築家の存在だけでなく、リノベーションや空き家問題、様々な視点で活動する建築家が現れ、それぞれが、注目されるようになっている社会です。色々な可能性が存在していますよね。

ティルマンスの作品ページがすさまじすぎて、勝手に頭が上記のようなことを考えさせられてしまいました(笑)

やはり素晴らしいものを見るというのは最高の勉強法ですね!!

長々と長文にお付き合いくださりありがとうございました。

今後も、建築家の皆さんの活動のヒントになる投稿を行っていきたいとおもいますので、何卒宜しくお願いいたします。

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2018/3/8追記。

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