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#建築 まとめマガジン

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note上の建築系記事をまとめていきます。 #建築 をつけて投稿しよう!
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#住宅

公庫・仕様書・住宅基準|健康で文化的な生活を営むに足る住宅を

お盆に実家帰省した際、「そういえば実家の設計図面って見たことないけど保管してあるんだろうか?」と疑問に思い、母に問うてみると「あるある」との応え。ドサッと風呂敷包みを渡されて「関係ないのも入ってるかも」とのことで、興味津々に包みを解いてみると・・・ありました、ありました。お宝がありました。 お目当ての「実家の設計図面」として出てきた書類は、正式には「住宅金融公庫融資住宅設計審査申請書」。あ~そうか、実家も公庫住宅だったんだと今さら気づいた次第。新築工事の工期は1976(昭和

能作淳平による「鷺宮の住宅」

能作淳平が改修を手掛け、建具で藤田雄介の戸戸が関わった住宅を拝見。 改修後に販売される。 在来木造の既存の壁を減らし玄関位置を変え吹き抜けを作る。その空間の整理によって固有の強度が生まれている。 それは生活を抱擁する建築のあり方だなと。光と熱をコントロールする建具の効果も素晴らしい。

駆け出しの頃、辺境の地にて

「私の失敗」は建築家自身が自分たちの失敗を赤裸々に語るコラムです。建築家たちはさまざまな失敗を重ね、そこから学び、常に自分たちを研鑽しています。 そんな建築家たちの試行をご覧ください! 執筆者:堀部安嗣 1967年神奈川県生まれ/1990年筑波大学芸術専門群環境デザインコース卒業/1991〜94年益子アトリエ/1994年堀部安嗣建築設計事務所設立/現在、京都造形芸術大学大学院教授/2002年「牛久のギャラリー」(『新建築』0108)で第18回吉岡賞受賞/主な著書に『堀部安

建築と建築家の関係(漸進,多人格性,都市的な同時存在性...)─『新建築』2018年8月号月評

「月評」は『新建築』の掲載プロジェクト・論文(時には編集のあり方)をさまざまな評者がさまざまな視点から批評する名物企画です.「月評出張版」では,本誌記事をnoteをご覧の皆様にお届けします! (本記事の写真は特記なき場合は「新建築社写真部」によるものです) 評者:中山英之 漸進的に思考し続ける建築─ミナガワビレッジまず惹かれたのはミナガワビレッジの記事でした. 巻末データシートで再生建築に関連する法整備に対する所見に触れるなど,隅々にまで建築家の思想や意思が行き渡っていて

モクチンメソッド|危機を好機に転換する現代版「計画的小集団開発」

木賃アパート。ハウジングの戦後史を辿るとき必ず出てくるこの言葉。たしかに老朽化して空室も目立った状態であちこちに見かけるよなぁ~。これは社会問題にもなっていくよな~。などなど他人事に思っていたのですが、ある本を読んで「あ、そうか!いま自分が住んでるアパートも木賃アパートだ!」って、にわかに自分事になってオドロキました。 そんなキッカケとなった「ある本」とは、『モクチンメソッド:都市を変える木賃アパート改修戦略』(連勇太朗・川瀨英嗣、学芸出版社、2017)。 オレンジ色の表

木造建築の語られ方|昭和期日本の精神史 はじめに&目次

noteのマガジン「木造建築の語られ方」ほかに書き散らしていた文章たちを再編成して目次化してみました。佐野利器にはじまり三澤千代治におわる木造建築のお話しを書くという目標に向かってスケッチしてみた架空書籍の目次とその前書きになります。 はじめに 木造・昭和・語られ方たとえば、十数年ほどの前の住宅雑誌のページを開いてみると、今と比べて茶色や緑色の割合があまりに少ないことに驚きます。かつては無彩色でまとめられがちだった建築も、今では木質感にあふれています。それこそ、『住宅特集』

既存空間をリスペクトした新設の天井が、全てを解決するーームトカ建築事務所による「天井の楕円」

青木淳建築計画事務所出身の村山徹さんと、山本理顕設計工場出身の加藤亜矢子さんが共同主宰する設計事務所「ムトカ建築事務所」が、改修を手掛けた東京の住宅「天井の楕円」を見学させてもらいましたので、その様子をレポートしたいと思います。 *** まずこの改修作品の前提条件から説明していきましょう。 もともとの建物は、建築家の葛西潔さんが設計を手掛け1997年に完成した「銀の木箱」と名付けられた作品です。(こちらで竣工当時の写真が閲覧できます。) (引用:http://www.

お金がなくなる恐怖心

こんばんは。創造系不動産の高橋寿太郎です。『建築と不動産のあいだ』をあらためて読み直してみると、こんなことを書いたっけな〜? というのがけっこうあります! −クリエイティブで賢い建て主は、本当は自分たち家族や企業にあった「幸せの形・理想の形」を追い求めようとスタートラインに立つのですが、お金の疑問は「お金の不安」となり、建て主の伴走者としてぴったり真横にくっついてきます。(P.33) それを払拭するため、建築家+創造系不動産は、住宅を建てたいクライアントに出会ったとき

住宅営業についてのメモ【3】|家を「売ること」のこれから

職場の先輩F主任とOさん。ベテラン住宅営業ふたりは、それぞれにお客さまの信頼を得て契約を獲ってくる「高い営業力」を持っています。でも、契約に至ったお客さまが実際に建てる住宅は、意匠的にも計画的にも構法的にも「ヒドイ提案」でした。 そんな「営業力」と「提案した住宅」のあいだにある深い溝について「住宅営業についてのメモ【1】」で書いてみました。 そして、前回、「住宅営業についてのメモ【2】」では、その深い溝が、実は「産業」「木造」「注文」「営業」の計4本でできている構造的な問

住宅営業についてのメモ【2】|「売ること」と「つくること」のあいだ

職場の先輩として住宅営業のなんたるかを折に触れて教えてくださったF主任とOさん。二人がそれぞれにお客さまの信頼を得て契約を獲ってくるその「高い営業力」と、契約に至ったお客さまが実際に建てる住宅が、意匠的にも計画的にも構法的にも「ヒドイ提案」だったというお話しを前回、「住宅営業についてのメモ【1】」として書いてみました。 その「高い営業力を持つこと」と「住宅提案がヒドイこと」の間に横たわる深い溝は、実は「木造注文住宅」を手がける「木造住宅産業」が持つ性質に由来すると思うのです

「川」と「ため池」─『新建築』2018年8月号月評

「月評」は『新建築』の掲載プロジェクト・論文(時には編集のあり方)をさまざまな評者がさまざまな視点から批評する名物企画です.「月評出張版」では,本誌記事をnoteをご覧の皆様にお届けします!(本記事の写真は特記なき場合は「新建築社写真部」によるものです) 『新建築』2018年9月号購入(Amazonはこちら) 評者:饗庭伸 目次 ●「川」と「ため池」 ●ため池でなく川そのもの─ナインアワーズ赤坂,竹橋,アパートメントハウス ●区分所有→それぞれのため池→多元的な市場─パ

大工・職人文化とデザインサイディング貼り・新建材まみれ住宅の密な関係

「その会社の技術力を見極めるポイント、ご存じですか?たとえば、この和室をごらん下さい。この長押という部材がぶつかり合った部分、「留め」といいます。ここがキレイにつくれているかどうかに腕の差が出るんですヨ」的な営業トークがあります。 それは、住宅展示場のモデルハウス案内で、自社の技術力をアピールしつつ、そうなっていない他社のモデルハウスを暗に批判する効果も持つトーク。住宅は「つくられるもの」なので、いかに上手に「つくる」ことができるかは業者選定を促す重要な訴求ポイントになる。

住宅営業についてのメモ【1】|「営業力」と「住宅の質」のあいだ

一生に一度か二度の買い物である「住宅」。高額ゆえに多くの人がウン十年という返済期間のローンを組んで、文字通り「命がけ」での購入となります。しかも、住宅を新築あるいは建替えするともなれば、家電や自動車のように実物をあらかじめ確認して契約・着工するわけにはいきません。 建てる場所や要望、法的条件などによって建てられる住宅は異なるゆえに、住宅会社は「ちゃんと住宅を完成させます!」、施主であるお客さまは「ちゃんとお金を支払いますヨ」とお互いに約束する。いわゆる「請負契約」を結んで前

ライフハックを駆使した住まいの新スタイル|「戦時下の住ひ方」の世界

1943年6月、「戦時生活用品規正展覧会」と題した催し物が心斎橋そごうにて開催されました。 展示企画の担当には、住宅営団、商工省工芸指導所、厚生省生活局住宅課などが参画していて、戦時下にふさわしい住宅=戦時日本標準規格二号型(住宅営団)とそれにかかわる住生活用品全般を展示した企画だったことがわかります。 さて、この展覧会にちなんで「戦時下の住ひ方:附戦時生活用品規正展覧会出品目録」なる小冊子がつくられました(図1)。 図1 展覧会出品目録 この小冊子を手掛かりに、19