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大興行戦争でファンの個性が出ると思った話


はじめに

ここ2年程、個人的にプロレス興行の時間被りが増えた実感がある。

これは、特に数字的なものを測った訳ではなく、あくまでも個人の体感だ。
もしかしたら、仕事で行けないという要因が転職したことで無くなった結果、そう感じるようになっただけなのかもしれないし、この数年で知らず知らずのうちに興味のある興行が増えたからなのかもしれない。

そんな個人的主観を前提にしても、異様な程増えた実感だ。

2020年春の新型コロナウイルス禍では約3ヶ月にわたってプロレス会場に行けなかった時期を考えれば、以前と同じ所まで興行の開催頻度は戻ってきたと言えるだろう。


ただ、それにしても選手間の相互参戦が活発な団体同士でさえ、最近は関東圏内でも興行が被ることも多々ある。

直近の最たる事例が、2023.7.23だった。
なんでも、この日は全国各地で開催されたプロレス興行だけでも、優に30は超えたのだという。
(※7.23TTT新宿FACE大会の前説より)


関東圏の昼興行に限っても、主にこれだけの興行が被っていた。

・DDTプロレスリング 両国国技館大会
・大日本プロレス 上野恩賜公園野外ステージ大会
・プロレスリングBASARA 後楽園ホール大会
・シークレットベース 新宿FACE大会
・2AW TKPガーデンシティ千葉大会

インディー団体が主軸ではあるが、大日本を除けば殆どが年間最大規模のビッグマッチ。
BASARA、2AW、大日本プロレスは、所属選手が相互参戦ないし合同興行を行う間柄にもかかわらず、ここまでビッグマッチが被ったのは神の悪戯だったのだろうか…?


故に、この日はTwitter(X)のタイムラインも各地の模様が色とりどりに並んだ記憶だ。


私も、この日は昼にプロレスリングBASARA後楽園ホール、夜にTTTプロレスリング新宿FACE大会を観戦し、昼夜の合間には急遽大日本プロレス上野大会で予定を詰めた。

それでも、本来行きたかったけれど取捨選択の中で行けなかった興行の方が多い。


配信が台頭しても、人間の身体は一つ

新型コロナウイルス禍以降、プロレス界では各団体で自前の動画配信サービスや、ツイキャス、Zaikoといった動画プラットフォームを利用して大会の生配信が活発化されていった。

それでも、大会を生で見に行ける身体は一つしかない。

『パーマン』のコピーロボットのように、自らの分身として興行に行かせる技術は、残念ながら現代にはない。


一方で、新型コロナウイルス禍を機に、職業柄とか趣味の変化等で会場まで来れなくなってしまった方も少なくないし、その状況で興行数はコロナ前のペースに戻りつつある。
故に、最近は殆どの団体で【満員札止め】という言葉を聞く機会が減った気がしている。

事実、新日本プロレスやスターダムを除く殆どの団体が、ホールで1,000人を超えることが中々出来ていない。
ただ、これに関しては、「団体側が面白いものを提供できていない」というよりは、興行の被りすぎというのも一因になっている気がするのだ。



身体は一つだからこそ、生まれるファンの"個性"

とはいえ、そんな興行戦争が勃発するからこそ感じた一面もある。

複数の団体の注目興行が被った時に、どの団体の興行を選んで観に行くかは、ファンの個性の一つになり得るのではないか、と。

これは、「この団体に行くから正解」という話では決してない。
あくまでも、「誰が何をチョイスしたか」が可視化される点と、その積み重ねで生まれる個性に対する面白みから来ている。


団体そのものを推すパターン、選手を推して参戦先に出向くパターン、メジャーorインディー団体全般が好きなパターンetc。

色々なパターンがあるけれど、その行動パターンと取捨選択はファン自身が取っている。
故に、どの興行を選んだのかが選択の積み重ねとして反映されていき、中長期的な観点でファンの個性として確立されていくのではないか、と…。

勿論、現地に足を運ぶ行為が絶対的正義でもない。
そもそも興行に行かない・行けない日の方が圧倒的に多いし、寧ろ各地で興行が被った際には、配信で同時視聴可能な環境の方が強いと私は感じている。

地方大会や一部団体では映像配信でも録画放送されるケースはまだまだあるものの、大抵の大会(特に都内やビッグマッチetc)は生観戦と変わらない形で視聴できるのだから。

まとめ

興行戦争は、観客頭と財布を悩ませる重要な問題だ。
(これは、団体側もそうなのかもしれないけれど)

しかし、そうした悩みは、興行がいつ再開されるかも分からない状況だったコロナ禍直後には、正直考えることすら出来なかった。

だから、ある意味悩めるだけの状況に戻ったのは幸せなことなのかもしれない。


とはいえ、行きたい興行が被った時の辛さったらない…。
『パーマン』のコピーロボットの実用化が切に望まれる…🥺



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