プロレス観戦で感じた、憧れの所作と振る舞い
はじめに
最近、SNS上でそのようなアンケートを見かけた。
プロレスを観る上で感じるものは勇気なのか、現実逃避の一環なのかという問題は、改めて考えて見ると色々興味深い話ではあると思う。
私の場合、プロレスから勇気を貰ったと感じたこともあれば、現実逃避の息抜きとして楽しんだこともある。
2020年2月頃、仕事のストレスでプロレスや娯楽を楽しむ気力すらすっかり尽き果てた時期に、既にチケットを買っていた大日本プロレスの興行を見て楽しみ、気力を回復した記憶が未だに忘れられない。
一方で、コロナ禍で転職活動をしていた2021年頃、面接終わりに立ち寄った新宿FACEでセンダイガールズプロレスリングの『里村明衣子vsDASH・チサコ』を見て転職活動疲れから逃避した時期も、私にとって忘れる事の出来ない思い出の一つだ。
でも、そんな事を考えている中、勇気や現実逃避とは違う、観戦中に抱いた別の感情に気付いた。
私はプロレスを観ている中で、レスラーが見せる、憧れの所作や行動があった事に。
レスラーの所作や行動に見る、視野の広さへの憧れ
幼少期の頃から親にそう指摘されるくらいには、私は周囲を見るのが苦手だ。
今現在でもそうだからこそ、試合中でも周囲の反応を常に意識ながら表現している人達の存在や行動に、私自身惹かれてしまうところがある。
(これは、プロレスに限った話でもないけれど)
その中で、私自身今でも印象に残っているシーンが二つほどある。
一つ目は、林下詩美(スターダム)が試合中に見せていたシーンだ。
スターダムでは1年以上にわたり団体最高峰王座のワールド・オブ・スターダム王座を守り続けるなど、今や団体の看板を担う主力選手の1人だが、そんな彼女が前で目立つ位置ではなく、後ろに下がって援護射撃に回った試合がある。
2023.2.17に行われた、スターダム後楽園ホール大会での6人タッグマッチだ。
この試合は、6人タッグのリーグ戦・『TRIANGLE DERBY』公式戦として行われたのだが、林下は待機している相手選手がリングに入れないよう動きを止めて、パートナーの1人である上谷沙弥に勝負を託していたのである。
タッグマッチの場合、機を見て1vs2や1vs3などの数的有利に立つ事も多いが、そうした場面を林下が作らせないようにした事で、上谷が1vs1に立つ時間帯を作り出していたのだ。
エース級の選手が若手に試合を託すケースは、この件に限らず見た事のある場面ではあったものの、ここまで黒子に徹するエース格の選手は非常に新鮮なものに映った。
二つ目は、2021.7.23に行われた、大日本プロレス後楽園ホール大会での事だった。
この日のメインイベントで組まれたのは、BJWデスマッチヘビー級王座戦・『塚本拓海vsドリュー・パーカー』。
当時、デスマッチヘビーを含む3本のベルトを保持していたプロレスリングBASARAの塚本であったが、ドリューとの一戦に敗れたことで、デスマッチ王者から陥落することに…。
試合後に悔しさを滲ませる塚本。
そんな塚本に寄り添ったのが、この日セコンドに就いていた木高イサミだった。
塚本の所属するBASARAの代表を務め、数多くのベルトを掌中に収めてきた選手だが、イサミは退場する塚本に保持している2本のベルトを持たせた上で、塚本を退場させたのである。
勝った選手ならばベルトを持って帰る事は当たり前のように見かける光景ではあるけれど、負けた直後の選手が別のベルトを持っている場合でも、ベルトを持って退場していくシーンは見た記憶があまりない。
それだけに、イサミがベルトを2本持たせて、敗れた塚本を退場させたシーンが印象的だったのである。
塚本を、二冠王者として帰らせる団体代表の粋な姿勢…。
上記の2シーンに限った話でもないけれど、プロレスの興行中に広い視野を持って行動する選手や関係者を見て、「技の攻防は絶対真似できないけれど、視野の広い行動を真似して、そういう判断が出来るようになりたいな」という思いを抱く事があった。
ある意味、勇気や現実逃避よりも、プロレス観戦で感じていたことかもしれない…。
まとめ
プロレス観戦をしていると、リング周りで展開される選手関係者の動きには色々なものがあると私自身感じている。
向正面にも、正面のようなポーズを決めてくれる選手だったり、
大会が終わった後の規制退場で一番最後に呼ばれた観客に向けて、すれ違いざまに「お疲れ様です」と声をかける選手やリングアナだったり、
大会後にリング上の集合写真を撮る時に、観客が集合写真を撮れるよう、選手達に東西南北の全方角に向くよう指示してくれるカメラマンだったり、
集合写真で自ら全方角に向いてくれる選手達だったり…。
これは決して「神対応してくれないのは良くない!」と言いたい訳ではない。
ただ、サービス業でもBtoBでも、こうした気遣いとか姿勢みたいなものは私も実生活で活かしたいな、という思いは大事にしたいと思ったのでした。
観戦中に抱く私の主な感情は、こんな感じ…。
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