令和4年のGO ACTION〜第二回・2年後の世界〜
はじめに
毎年1.4の東京都文京区は、年末年始のプロレスを飾るビッグイベントで賑わいを見せる。
新日本プロレスリング・東京ドーム大会
(通称:イッテンヨン)
1.4は、大日本プロレスや東京女子プロレスなども都内で興行を行うが、どこも開始時刻は昼。
果たしてそれは、夕刻スタートのイッテンヨンとハシゴ観戦可能な配慮故なのか、或いは、イッテンヨンというイベントの強さ故のものなのか…?
ただ、【イッテンヨン】と聞くだけで新日を想起する事実と、フレーズに宿る絶対的存在感だけは間違いなかった。
そうした流れに変化が見られたのは、2020年頃の事だ。
同年のイッテンヨン、プロレスリング・ノアが、新日・東京ドームの真裏で夜興行を開催した。
会場は、東京ドームに程近い後楽園ホール。
NOAHがサイバーエージェント傘下に入る直前、業界大手に対して(半ば無謀にも思える)挑戦状を叩きつけた興行のメインは、『清宮海斗vs潮崎豪』によるGHCヘビー級王座戦だった。
東西のバルコニーまで埋まった、超満員のホールが沸き立つ熱戦を制し、最後にマイクを握ったのは潮崎豪。
『俺が…、俺がNOAHだ!!!』
あれから丁度2年。
境遇も立場も変わった2人が、再び聖地で交わることになった…。
2022.1.4『潮崎豪vs清宮海斗』
元日の日本武道館大会の余韻冷めやらぬ中で行われた、ノアのイッテンヨン後楽園ホール。
団体の新年一発目であった過去2大会とは異なり、2022年は『アフター日本武道館』の趣が色濃く感じられた内容。
その象徴的一戦が、この日のセミファイナルだった。
元日にGHCナショナル王座に挑戦するも、拳王に敗れ去った清宮海斗。
同じく、元日にGHCヘビー級王座に挑戦するも、中嶋に敗れただけでなく、代名詞の『I am NOAH』まで失った潮崎豪。
2年前の裏イッテンヨンでメインを飾った2人による、ノンタイトルでの再起戦。
1.8に新日本プロレスとの対抗戦メインを控えていた清宮にとっても、再びGHCヘビー獲りを目指したい潮崎にとっても、絶対に負けられない一戦だった。
最初に仕掛けたのは清宮。
潮崎の左腕を狙いながら、主導権を握りにかかる。
潮崎も、元日に見せたチョップの爆破音を会場に響かせ、清宮の胸板を真っ赤に染め上げる。
直近で組まれた過去2戦のシングル(2020.1.4、2020.10.4)より、比較的早いペースで試合が進んだものの、攻防は一進一退。
潮崎が清宮を追い込み、優勢で迎えた最終盤。
トドメの一撃に動く潮崎のロープワークを清宮が躱すと、カウンターのジャンピングニーがヒット!
潮崎はカウント2で返したものの、すかさず清宮がバックを取って、タイガースープレックスホールド!
これで3カウント。
2020年の裏イッテンヨンや同年秋の『N-1 VICTORY』最終公式戦の時のような、目に見える結果(ベルトや優勝決定戦)を賭けた試合ではないですし、試合時間も直近2試合に比べて非常にコンパクト。
それでも、最後の畳みかけ方も含めて、清宮が勝ち切る一手を携えていた試合。
特に、フィニッシュ前のジャンピングニーは、ヒット直後にギロチンドロップの如く潮崎の首元に膝が落とされたので、ただの繋ぎ技に留まらぬ脅威を感じた次第です。
(偶発的なものかどうかは定かで無いので、素人目線になりますが…)
まとめ
勝って新日との対抗戦に弾みをつけた清宮に対し、年始からシングル2連敗を喫した潮崎。
敗戦から半月以上が経過した1.22大阪大会の試合後、潮崎がバックステージで行動を起こします。
「まあ一つ、昨日、会社とも話したんですけど、そうですね。年末復帰して、そこから今年、中嶋勝彦、清宮海斗、二人とシングルして、いい結果は残せなかった。そこでね、自分自身のこれからというものも考えて、そして…どう立ち上がっていくか。自分自身、もう一度GHCを獲るために会社に話したことがあるんだよね。来週の後楽園、そして2月後楽園3連戦。そこ、シングルを組んでほしいと。丸藤正道、杉浦貴、田中将斗、そして拳王。俺が欠場してる間、ノアの最前線で戦ってきた男たち。その男たちを倒していかないと、GHCも見えてこない。会社には伝えてあるんで、あとは今後の情報を待ってください」
自らに課した再浮上へのアクションは、杉浦貴、田中将斗、丸藤正道、拳王とのシングル4番勝負!
そして、田中将斗を除く3選手とは、2020年の防衛ロードで死闘を繰り広げた関係性。
潮崎にとって、文字通りの『Road to GHC』が幕を開けたのでした…。
~続~
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