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女子プロレスを見て『カッコいい』と感じた事について

はじめに

「レンブラントさんって、女子プロレスでちゃんと試合を見てるから珍しいよね。」

2017年頃、ある人からバーでそんなことを言われたことがある。

私は思わず、「えっ?試合目当てじゃないんですか…?」と返してしまった。

いくらなんでも、試合が主眼に置かれていないのは流石に盛りすぎだろう、と思ったから。


別に、この件で私自身の心が酷く痛んだからという訳ではない。
寧ろ、カルチャーショックに近い出来事だったのを、今でも覚えている。




「私は何故、女子プロレスを見ているのか?」

私は主にプロレスリング・ノアといった男子団体をメインで見ているけれど、それでも、女子プロレスも見に行っている理由。

このような問いは「自分が楽しいから」、「面白そうだったから」という言葉で一蹴出来てしまうのかも知れないけれど、ここ最近に至るまで、根本的な動機が、私にもハッキリ分かっていなかった。

2023.1.22の横浜アリーナで、『Muta Final』を見るまでは…。


私が女子プロレスを見始めた頃の衝撃

私が初めて女子プロレスを見たのは、2015年秋の仙台だった。
センダイガールズプロレスリング(以下:仙女)の仙台サンプラザ大会。

2020.3.8センダイガールズプロレスリング新宿FACE大会より


見に行った理由は単純で、当時会社の研修で住んでいた仙台で行われた興行だったから。

今振り返ってみると、この日は【橋本千紘デビュー戦】、【宮城倫子、アンドラス宮城に改名】、【仙女のフラッグシップタイトル創設】と盛り沢山な内容だったのは、今でもハッキリと覚えている。


2度目の女子プロレスは、仙台大観音近くのホテルで見たプロレスリングWAVEだった。

2018.12.29プロレスリングWAVE後楽園ホール大会より


みちのくプロレスの昼興行後に同所で行われた事もあり観戦したのだが、ここで初のカルチャーショックに遭遇する。
プロレスというジャンル・開催日・会場は同じなはずなのに、観客の男女比や雰囲気はガラッと一変したのだ。

今では何とも思わないけれど、女性の比率がガクッと減った会場に、プロレスファン歴1年足らずの私は衝撃を受けた。
その後、同じようなケースで大日本プロレスとアイスリボンの昼夜興行を見たことがあるのだが、短時間でまるっきり客層が入れ替わっていたことにも驚いた。


私がプロレスを好きになってから、他の方から「男子も女子も追ってるからスゴい(偉い)」と言っていただく機会に何度か遭遇した。
だけど、私自身、この評価に対しては今一つピンと来ていないところがある。

これは女子プロレスだけではなく、学生プロレスとかアマチュアプロレスにも同様の感覚を抱いている。

私は、他のファンの方ほど女子には詳しくないし、観戦頻度も多くないという自覚がある。
そして、何より、「自分が面白そうだと思ったかどうか」という所が強い。

ただ、女子プロレスを語る上で、それらの点を強く語れるだけの説得性とかが意気地とかが、私の中に皆無だったのである…。


ムタファイナルの女子プロレスで実感した、【カッコいい】という軸

それでは、何故私は女子プロレスを見ているのだろうか?

長年私の中で見つからない問いに、ようやく確信の持てる回答が出せたのは、2023年に入ってからだった。


2023.1.22、グレート・ムタファイナル。

ムタのラストマッチを飾る豪華カードの中で、プロレスリング・ノアの通常興行では組まれない女子プロレスの試合が組まれたのだ。
(『夏すみれ&雪妃真矢vs安納サオリ&ジャングル叫女』)


ノアマットで組まれる女子の試合は、2022年末に後楽園ホールの『東京愚連隊ファイナル』でも実現していたが、今回は横浜アリーナという大規模会場。
男子興行のビッグマッチにおける女子の試合、という普段中々見られないシチュエーションではあったものの、試合を通じて大いに盛り上がる会場。


この試合を見ていて、"めちゃめちゃカッコいい"女子プロレスに出会ってしまったと、私は強く思ったのである。


正直なところ、今まで女子プロレスを見ていて、中々感じることのできなかったものを体感したのだ。


この一戦を通じて、「何故女子プロレスを観ていたのか」という私の長い問いに対して、ようやく一つの答えが出たような気がする。
それは、「男子とか女子とか関係なく、カッコいい人を観に行きたいのだ」という願望だったのだ。


まとめ~【カッコいい】は希少種だ~

これは個人的偏見もある、というのを承知の上で…。

今の女子プロレスにおいて、【かわいい】とか、【キレイ】とか、【華やか】とかを纏う選手は数多くいるんだと思う。
そこと試合内容のギャップは大きな魅力に繋がっているし、最早否定はできない要素だとも思う。

でも、【カッコいい】を纏う人の試合は、中々少ないとも実感している。
性差を超えて共感が生まれる、凛としたカッコ良さ。


先日、スターダムのビッグマッチを見ていても、同様の事を実感した。
(2023.3.4国立代々木競技場第二体育館大会)

今人気の団体ではあるけれど、「話題だから見る」、「女性だから見に行く」というのではなく、単純に「カッコいい姿やスゴい試合を見せているのが女性だった」というのを大会全体で感じられる、素晴らしい内容だったから。


結局のところ、憧れてしまうくらいのカッコよさや面白さに当てられて、私はプロレスを見るようになったのかもしれない。
そんな事を、数年前にプロレスを好きになった春の時期に重ねて思う、最近の私なのでした。



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