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変態プロレス放談

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しがない変態プロレスファンが、プロレスを中心に気付いたこと・感じたことを徒然なるままに書いてみました。 ひとつよしなに…!🙇🙇🙇
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#すごい選手がいるんです

Blank Map~2024.5.22『拳王vs鈴木みのる』~

はじめに私がプロレスを好きになってから、未だに後悔している出来事がある。 2015年7月、プロレスリング・ノア後楽園ホール大会の出来事だ。 『鈴木みのるvs高山善廣』のGHCヘビー級王座戦。 当時、SNSのアカウントや自分のカメラは持っていない私だったけれど、この日は父から借りたカメラで大会の様子を撮影していた。 多分、気が向いたからカメラを持っていったのだろうけど、今振り返っても、カメラを持っていって良かったと思う。 鈴木みのると高山善廣による盟友同士のシングルマッ

心臓が止まるまでは~2024.2.7『坂口征夫vsHARASHIMA』~

はじめに他人の引退試合というものは、ファンが当事者に接している面積が広ければ広いほど、未練と後悔の割合も自然と多くなっていくものかもしれない。 私は一介のファンでしかないけれど、いつしかそのような感覚で(些か勝手ながら)他人の引退試合を捉えるようになっていた。 怪我が原因で現役を続けられなくなった。 新たな道に進む。 大体そのような理由で引退していく選手を客席から見送る度に、「もっと試合を見ておけば良かった」、「将来楽しみだった」という感情ばかり溢れ出てくる。 私自

既成着てる?個性着てる?~2023.12.31『中嶋勝彦vs宮原健斗』~

はじめに 2023.12.31全日本プロレス国立代々木競技場第2体育館大会 新型コロナウイルス禍以降も安定して後楽園ホールの動員が1,000人を超える数少ない団体・スターダムですら苦戦を強いられている印象の強い代々木第2体育館。 しかも大晦日という日程にもかかわらず、プロレス団体鬼門の地で観衆2,687人をマークした事実は全日人気の高さを窺わせるものがあった。 ただ、私はこの興行に対して一点、悲しく感じる箇所があった。 それは、この日のメインを締めた中嶋勝彦が、20

1,354日間のフィルム~方舟の征矢学について私が語ること~

はじめに2020.4.19 未曽有の新型コロナウイルス禍により、緊急事態宣言が発令された日本は、プロ野球やJリーグなどのスポーツが延期を余儀なくされ、ライブなどのエンターテインメントも中止に追い込まれていた。 この流れはプロレス業界においても例外ではなく、同年3月頃より予定されていた興行は中止に追い込まれ、かろうじて大会は観客を入れない配信形式でファンに届けられた。 いつコロナ禍が明けるのか、先行きも全く分からなかった混沌の時期に、プロレスリング・ノアで1人の男が乗船を

2023年の個人的プロレス大賞について

はじめに2023年も残すところ半月足らずとなりました。 毎年恒例となっている『東スポプロレス大賞』も発表され、毎年のように様々な意見が出てきたわけですが、だったら私なりの大賞はコレだと発表するのもまた一興というもので…。 私個人の2023年プロレス大賞はこんな感じで纏めてみました。 ただ、前年に個人的プロレス大賞をまとめた際には『ネットプロレス大賞』(2022年まで実施)のフォーマットを使用していたため、今回の2023年は「もしも『ネットプロレス大賞』が行われていたな

入江茂弘は『歩くディズニーランド』である。

はじめに入江茂弘は『歩くディズニーランド』である。 プロレス好きの端くれが、勝手にこんな事を断言してしまうのも、いささか失礼な事かもしれない。 ただ、このフレーズで例えたくなるくらいには、プロレスラー・入江茂弘の持つ唯一無二の存在感に私は強く心を惹かれてしまうのである。 どの団体に上がったとしても変わらない、人の心をワクワクさせる期待感。 そして、その期待を裏切らない満足度の高さ。 本家・ディズニーランドのアトラクション同様、迫力がある多彩な技の数々。 そして、

カルッツの中心でムイビエンを叫ぶ

はじめに2023年8月27日、プロレスリング・ノア カルッツかわさき大会。 ノアのシングルリーグ戦・『N-1 VICTORY』の最終公式戦が組まれたこの日、オープニングからラストまで盛り上がりを見せた。 そんな大会の観客動員は、1,694人。 2023年初頭には武藤敬司引退というビッグイベントもあり、横浜アリーナや東京ドームといった大会場でも単独興行が打てたノアだったが、武藤敬司引退関連の大会や5月に2,721人を記録した両国国技館を除くと、関東や地方も含めた今年のビ

ユー・メイ・ドリーム~2023.7.15『中嶋勝彦vs宮原健斗』~

はじめに試合が決した瞬間、私は思わず会場で快哉を叫んでしまった。 2023.7.15プロレスリング・ノア後楽園ホール大会で組まれた『中嶋勝彦vs宮原健斗』。 佐々木健介の愛弟子である2人は、健介オフィス退団後、宮原は全日本プロレス、中嶋はプロレスリング・ノアを主戦場に活躍。 その後、因縁がありながらも絡みの無かった両者が再び交わったのは、武藤敬司引退興行の行われた2023.2.21だった。 あれから約5ヶ月後に決まった、実に10年振りという両者のシングルマッチ。 しか

2023.5.6

はじめに2023年のゴールデンウィークが目前に迫った4月下旬のこと。 プロレスリングZERO1から、こんなリリースが流れてきた。 大谷晋二郎、来場。 2022.4.10 ZERO1の両国国技館ビッグマッチのメインイベントに立った大谷晋二郎は、試合中の負傷により、頸髄損傷の重傷を負った。 ZERO1の旗揚げ20周年に予定されていた2021年の両国ビッグマッチが相撲協会の都合で延期を余儀なくされ、約1年後に仕切り直しで行われた中での出来事だった。 当日、私は客席からカメラ

原田大輔の60秒~私が引退試合を見て感じたことについて~

はじめに1分間、60秒 この記事を読んでくださっている方の中に、もしかしたら「1分1秒を大事にしろ」みたいな言葉を、誰かしらから見聞きした経験はあるだろうか? 私にとって、1分という時間は非常に短く感じられてしまう。 その一方で、TVの15秒CMが4本(30秒でも2本)打てるくらいの情報を、1分には詰め込むことが出来る。 1分間で、人は何をどれだけ残せるか? 最近、そんなことを考えさせられる機会が私に訪れた。 全てを詰め込んだ、原田大輔の60秒2023.3.9、プ

まっすぐなうた~原田大輔の引退に寄せて~

はじめに プロレスリング・ノアのJr.ヘビー級戦線を牽引してきた原田大輔による、突然の現役引退発表。 正直なところ、2022年8月以降の長期欠場から今年は復帰してくれると思っていただけに、突然リリースされた【引退】の2文字が未だ信じられずにいる。 大きな話題をもたらした『ジュニア夢の祭典』の翌日に発表された、ノアJr.エースの引退という現実も、より寂寥感を募らせる。 本来あのような興行に、ノア代表として試合をしてほしかった選手だったから。 彼の存在無くして、今のノアJ

【鏡と器】~武藤敬司引退試合を見て、私が感じた事~

はじめに"鏡"と"器" 武藤敬司の約38年に及ぶ現役生活の最後となる引退試合。 対戦相手である内藤哲也のデスティーノが決まり、武藤が敗戦した直後、私の脳内に思い浮かんだのは上記の言葉だった。 私が武藤敬司というプロレスラーの凄みを体感したのは、プロレスリング・ノア在籍期も含めた僅か2年半である。 正直に言ってしまうと、私の中で強い思い入れみたいなものは(今でも)持てていない実感があるし、寧ろノア入団前は、WRESTLE-1終焉におけるコメントの他人事感もあって、幾何かの

宮原健斗は、シャッターチャンスの神様である。

はじめに宮原健斗は、シャッターチャンスの神様である。 全日本プロレスの看板レスラーである宮原を客席から撮る度に、あまりの"神"っぷりに思わず感嘆してしまう私がいる。 私自身、色々な団体に行って客席から写真を撮る中で、宮原を【シャッターチャンスの神様】だと感じるようになったのは理由がある。 カメラ初心者であっても、カッコいい写真を撮らせてくれる選手だからだ。 "写真を撮らせてくれる"と言っても、一人ひとりの都合に対して応えるというよりは、全体に向けて撮りやすさを共有してく

ノア所属の武藤敬司を見た、私の約2年弱について

はじめに2023.2.21、武藤敬司、引退。 私にとっての武藤敬司は、プロレスリング・ノア時代の思い出が色濃い。 武藤がキャリアの中で最も長い期間を過ごした新日本プロレスでも、『武藤全日本』を築いた全日本プロレスでも、旗揚げ~無期限休止まで在籍したWRESTLE-1でもない。 (フリー参戦も含めて)2020年春~2023年初冬までの約2年半しかない期間だが、私がノアを追っていた事もあり、リアルタイムで最も武藤の試合を見たのはこの時期だった。 2021年2月のプロレスリン