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包む所作への美意識"HIGASHIYAMA"
頂き物のお菓子の桐箱を包む、蝋でコーティングされたような紐に触った瞬間、ただならぬ雰囲気を感じた。
それは「HIGASHIYAMA」のお菓子である。中身はマコロンと豆菓子の詰め合わせ。
単にお菓子を作って誰かに食べてもらう、だけではない、何かを届けようとする信念を感じた。
「HIGASHIYAMA東山」は、伝統的な日本の美意識を進化させ、現代の暮らしに合わせた菓子づくりをしている和菓子屋。菓子は、元々干した果実を食した「果子」としてここでは表現している。
これらを手掛けるのは、SIMPLICITYの緒方慎一郎氏である。建築からインテリア、プロダクト、グラフィックまでその守備範囲は幅広い。
ショップに加えて茶房、和食店、器のプロダクトブランドも立ち上げているという。
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1.昔からある良いモノを現代に伝えようとする信念
新しいモノ、文化が次々と生まれ、廃れていく。3年前に流行っていた事柄を今思い出すこともできない。おそらく新しいと捉えるものの中に、日本の伝統的な文化が継承されている事例もあるだろう。現代では新しいか、古いかでなく、人々は感覚的に受け入れるか否かを判断している。緒方氏は「日本の伝統文化を受け継ぎ、守ることは、常にその時代に合わせ革新すること」だと述べている。伝統に胡座をかかず、更新させていく、そうすることで、昔からある良いモノや行いを途絶えさせない、その努力が感じられる。
2.和菓子にたどり着くまでの包む、解くもまた味わい
HIGASHIYAMAでは、「包む」ことに関して述べられている。「包む」ことは「慎む」こと。贈る人の慎む気持ちが込められている、という。ここでは出来るだけ簡素に、静かに、包む行為がなされている。HIGASHIYAMAの紋章のようなグラフィック、ロゴデザインが豆菓子を包む筒状の紙に静かにエンボス加工で表現されている。あくまで果子が主役であり、その世界観を厳かに伝えるためのデザインだ。その美意識に、解くこちらもあれこれ考えさせられる。
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2.インテリアや建築に通じる技
果子が包まれる様子を見た時、建築的なアプローチの予感がした。素材やカタチ、色みや質感とのバランスなど時間軸で人々が目にして触って食す、までを想定してデザインされている。そしてそれらひとつひとつが何かしらの信念をもって手に取る人に伝えようと考えられている。決して主役を脅かしてはいけない脇役たちが、一貫した世界観を保ちながら存在感を放つ。建築っぽいな、と思う。
日常でふとそんな出会いがあったことが嬉しい。次は誰かに贈ってみたい。
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