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泡沫③

絶望。

嫉妬、恐怖

欲望、苦悩、不安

焦燥、軽蔑、恥、劣等感

嫌悪、快楽、後悔、無念、殺意、憎悪

空虚。

この世界は

黒い霧で満ちていた。

泣き喚いて

必死に叫んだ声は

美化された。

宝石は

磨けば磨くほど

綺麗になっていくという。

人間は

磨けば磨くほど

汚くなっていく。

意味のないルールに縛られ、

訳のわからない理不尽に苦しみ、

無駄な防衛本能だけが発達し、

社会に犯されていく。

それが常識だと

みんな同じ格好をさせられる。

それでいて

「個性が大事だ」と

同じ格好をした

少し先に生まれただけのヒトに

罵倒される。

矛盾に揉まれ

流されながら、

人間はヒトになっていく。

生まれた時が

一番美しいのだ。

生まれながらに

みな美しいのだ。

その美しさを

「大人」と呼ばれるヒト達が

羨ましがって

奪い去っていく。

自分たちが守れなかったものを

失ってしまったものを

守ってやるんじゃなく

奪って壊して

同じ道に引き摺り込む。

そうやって仲間を増やして

安心する。

自分だけじゃないと

みんな安心する。

そして

自分が美しかったことを

忘れていく...

海の中を思い出せ。

泡の中にいた

あの頃を思い出せ。

もう戻れないのならば

せめて忘れるな。

人間はみな、

存在しているだけで

素晴らしいのだ。

愛おしいのだ。

「ぼく」は「ぼく」であり

「あなた」は「あなた」だ。

・・・

自然の摂理に従い、

涙と笑顔に祝福され、

「ぼく」は2度目の生を受けた。

天使が生きるには

汚すぎるこの世界で

「ぼく」は悪魔になった。



The END


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