【製本記】 かえるの哲学 03 | 職人ことばは粋なれど
目引きした穴を使って『かえるの哲学』を綴じていこう。麻糸を用意し、蜜蝋の上を数回すべらせて蝋引きする。製本用の先の丸い針に通し、するりと抜けないように針の根もとで留める。いざ、かがりはじめ。
この本は「フレンチ・ソーイング」という手法でかがることにした。これはわたしが最初に覚えた糸かがりで、ロンドンの製本教室で習ったものだ。フレンチと聞いて、教室の誰かが「フランス生まれの手法ってことですね?」と尋ねた。すると、熟練の製本職人である先生は「知らん」と答えた。
この正直な職人