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【製本記】 かえるの哲学

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『かえるの哲学』(アーノルド・ローベル 文・絵/三木卓 訳)丸製上製・半革装ができるまで。
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記事一覧

【製本記】 かえるの哲学 09 | 丸背上製・半革装ができました!

題字の箔押しから戻り、とうとう『かえるの哲学』が完成した。数々の反省点とともに、製本様式…

【製本記】 かえるの哲学 08 | かえるもいいけど、ふくろうも

表紙と本文、それぞれにできあがった。これらを貼り合わせれば『かえるの哲学』は上製本になる…

【製本記】 かえるの哲学 07 | これが文学者というものか

背継ぎの素材を用意する。『かえるの哲学』には革を使うことにした。インド産の山羊皮で、イギ…

【製本記】 かえるの哲学 06 | 紙染め、ことはじめ

表紙に取りかかる。『かえるの哲学』は「背継ぎ」にしよう。背と平(ひら=表紙の平らな部分)…

【製本記】 かえるの哲学 05 | もしも失敗したときは

バッキングを終えた『かえるの哲学』の背を固める。寒冷紗を貼り、さらに花布(はなぎれ)を貼…

【製本記】 かえるの哲学 04 | 古い糸と新しい糸

背を仮固めした『かえるの哲学』を化粧断ちする。「化粧断ち」とは本文を仕上げ寸法に断裁する…

【製本記】 かえるの哲学 03 | 職人ことばは粋なれど

目引きした穴を使って『かえるの哲学』を綴じていこう。麻糸を用意し、蜜蝋の上を数回すべらせて蝋引きする。製本用の先の丸い針に通し、するりと抜けないように針の根もとで留める。いざ、かがりはじめ。 この本は「フレンチ・ソーイング」という手法でかがることにした。これはわたしが最初に覚えた糸かがりで、ロンドンの製本教室で習ったものだ。フレンチと聞いて、教室の誰かが「フランス生まれの手法ってことですね?」と尋ねた。すると、熟練の製本職人である先生は「知らん」と答えた。 この正直な職人

【製本記】 かえるの哲学 02 | 本づくりの中空を漂う

プレス機から『かえるの哲学』を取りだす。2枚の板紙で挟み、折丁の背側を突きそろえる。「背…

【製本記】 かえるの哲学 01 | ローベルおじさんの孤独

いま、取りかかっているのは『かえるの哲学』だ。文庫サイズの「並製(ペーパーバック)」とし…