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お子さんの感覚過敏を理解する〜覚醒レベル&ポリヴェーガル理論〜

感覚過敏のお子さまを持つ親御さんへ。毎日の子育て、本当にお疲れ様です。感覚過敏とはなんなのかを理解するために、『脳の覚醒レベル』から考えてみましょう。

◇覚醒レベルって何?

覚醒レベルは、脳の生理的な活動状態のことです。自律神経の交感神経と副交感神経の働きで、覚醒度が上下します。

  • 覚醒度が上がり過ぎると『ハイテンション』になります。

  • 覚醒度が下がり過ぎると『朦朧(もうろう)』とします。

◇ポリヴェーガル理論って?

ポリヴェーガル理論は、自律神経の迷走神経に着目した理論です。自律神経系を三種類に分類しています。
【 交感神経 】神経系を覚醒させる(アクセルの役割)
背側迷走神経】神経系の覚醒を下げる(ブレーキの役割)
腹側迷走神経】神経系の覚醒度を調節する(チューニングの役割)

・覚醒度が上がる…【焦りモード】→興奮、不安
・覚醒度が下がる…【疲れモード】→グッタリ、ぼんやり
・バランスがいい…【安心モード】→落ち着き、ニコニコ

これらを「耐性領域」というストレス耐性の図に対応させたものが下の図1です。

◇ストレス耐性の図

ストレス耐性が高く自律神経のバランスが安定している人は、緑エリアが広く、その範囲内で自律神経の波(曲線の推移)が上下しています。緑のエリア内で覚醒度がおさまっていると落ち着いて生活できていることになります(図2)。

◇安心エリアが広い

この緑のエリアは広がったり、狭まったりします。
安心できる環境にいれば広がりますし、緊張をしいられるような環境下では狭まります。

◇安心エリアが狭い

発達障害のお子さんは、覚醒度が低いことが多いです(図3)。
徹夜をしたことがある方はわかると思いますが、徹夜をすると朦朧として「脳の覚醒レベル」が下がります。青エリアがメインの状態です。

また、夜に暗い森の中を一人で歩いていることを想像してください。怖くてビクビクします。これも低覚醒(低反応、低登録)。
そんな場面で急に物音がすると「ビクッ」となりますよね。これが覚醒が上がるということ。図3で曲線が急激に上がっている状態です。そして、不安と恐怖でエネルギーを消耗します。

◇子育ての苦労と感覚過敏

感覚過敏の中でも、特に大変なのは『聴覚過敏』と『触覚過敏』です。

【聴覚過敏】
聴覚過敏のあるお子さんは、音が大き過ぎる"補聴器"をつけているようなもの。
すべての音を拾ってしまうので、集団行動がつらい。いつ、どこから爆音が飛んでくるかわからないのでビクビクしてしまいます。不安と恐怖でいっぱいです。
保育園や幼稚園、小学校などに行くのが嫌になる。

【触覚過敏】
触覚過敏のあるお子さんは、全身日焼けして"やけど"をしているようなもの。
普通に触られても痛いので、集団行動がつらい。いつ、どこから触られるのかわからないのでビクビクしてしまいます。不安と恐怖でいっぱいです。
保育園や幼稚園、小学校などに行くのが嫌になる。

◇まとめ

感覚過敏についてイメージできましたか?

家庭内では、ご家族が気を使ってくれているおかげで、お子さんも「安心できる環境」にいることでしょう。
しかし、集団生活となると話は別です。ちびっこアニマルたちが跋扈し、容赦ありません。
そんな場所は、お子さんにとって「安心できない環境」だと思いませんか?

まず最初の一歩として、お子さんが感覚過敏で苦労していることを理解してあげましょう。親御さんも、自分では気づいていないだけで、何かしらの我慢できない感覚があるはずです。共感できないはずがありません。

感覚過敏のあるお子さんのつらさをわかってあげましょう。そのつらさを感じ取ることができれば、何かが変わるかも...


最後までお読みいただきありがとうございました。
つづく…

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