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リーンスタートアップ▶︎オープンイノベーション?(前編)

オープンイノベーションどころか、サバイブ戦略について考えさせられるこの頃ですが、オープンイノベーションの提唱者「チェス・ブロウ」氏から面白い論文が出ておりましたので、ご紹介いたします。

そもそも、オープンイノベーションとは?

こちらより引用します。

Open Innovation is a paradigm that assumes that firms can and should use external ideas as well as internal ideas, and internal and external paths to market, as the firms look to advance their technology.

(翻訳)オープンイノベーションは、企業の技術を進歩させるような、市場への内部のアイデア、内部外部問わず利用しているルートのように外部のアイデアを使用することができ、かつ使用すべきであると想定されるパラダイムである。

ここで気になるのは「パラダイム」ですが、以下のように定義されています。

ある時代や分野において支配的規範となる「物の見方や捉え方」のことです。

つまりオープンイノベーションとは外部も内部も巻き込むようなものの見方というわけですね。
より詳しく知りたい方はこちら⬇️

オープンイノベーションの現在地

オープン・イノベーションは発表以来、”「外部の知識源と商業化パスをそれぞれ活用するために、企業の境界を超えて知識の意図的な流入と流出」”を手助けしてきました。

また歴史的にも、オープン・イノベーションは経営ツールとしてますます導入されてきております。

ある考え方によれば、オープン・イノベーションは資源配分方法、組織化方法、市場での勝利方法に触れている点から、戦略的意思決定に分類されます。

オープンイノベーションは徐々に主流の考え方になってきていますね。

ちなみに、最近は「オープンイノベーション促進税制」が施行されるなど、政府としてもオープンイノベーションを後押ししております。

オープンイノベーション促進税制については以下の記事が参考になると思います。

そんなオープン・イノベーションですが、大規模企業における内部からの知識の流れに対して効果的なプラクティスが見出しづらくありました。
それに対する、ソリューションとしてリーン・スタートアップを導入するというのが、この論文の重たる目的になります。

リーン・スタートアップとは?

リーンスタートアップのコアとなる考え方は、ほとんどのスタートアップが製品開発が不十分ではない理由で失敗することにあるということです。つまり、顧客に製品が受け入れられないということです。

従来の起業は、完璧な事業計画書を作成し、その計画に従い、サービスを出していくという手順で進んでいました。それはまさに、小さい大企業のように

しかし、リーン・スタートアップは前者のスタイルをソフトウェア開発でいうところの「ウォーターフォール」モデルとすれば、アジャイル開発モデルに近い。

ざっくり知りたい方は以下の記事をご参照ください。

ウォーターフォール型は顧客が何を求めているかという隠れた前提があり、コードを書いている間は顧客からフィードバックを得られないのに対し、アジャイル型は1〜2週間でコードを書き、顧客に提供し、フィードバックを得て、改良するために再度1~2週間のコードを書くといったサイクルを繰り返す。これにより、顧客の欲しいものに近づけていく。

このアジャイル型リーン的であり、ウォータフォール型に比べ少ないリソースで求めるソリューションに素早くたどり着きやすい。

Steve Blank氏は、リーン・スタートアップに重要な概念を追加させた。それは、製品開発と同様、スタートアップは製品を購入したがっている顧客を見つけ出すということだ。
ブランクは、これを達成するために以下の4段階のプロセスを提示した。
1.顧客発見
2.顧客検証
3.顧客創造
4.組織構築

順に説明すると、
顧客発見とは、見込み客から注文を得る行為に他ならず、初期のMVPでは購入に繋がりにくいので、必要な変更を迅速に行い、買いの注文を取り付けるのがこのフェーズでの役割。
顧客検証では、最初に取り付けた会社以外からも購入を取り付けるのが目標になる。ここでは、顧客に共通する課題を模索する。
顧客創造は、市場での新規販売のコストと時間を理解していることを指す。つまり、販売コストが高すぎたり、時間がかかりすぎる場合は、別の流通経路を試した方がいいかもしれない。
組織構築では、顧客基盤を急速に拡大するために必要な情報はすでに揃っている段階だ。いわゆる「スケール」する時だが、早すぎるスケーリングは大量の廃棄物を生み出す可能性があるため、注意が必要だ。

大企業に活かすリーン・スタートアップ

「リーン・スタートアップ」への批判の中には、リーンに進めていく上で、類推が曖昧になりやすい点、そもそも直接適用できるかどうか、顧客がアイデアの最善の情報源かどうかなどが挙げられています。
一方で、多くの成功企業を生み出していることも事実なので、大企業の「intrapreneurship」を開発する上でも役に立つ可能性はありそうです。

リーン・スタートアップはそもそも創業のために生み出されたものでした。つまり、スタートアップが大企業の小さなバージョンのように振る舞うのが誤りなのと等しく、大企業がスタートアップの大きいバージョンのように振る舞うことは誤りなのです。

スタートアップは単一のプロジェクト組織である一方で、大企業は多くのプロジェクトを持っているため、プロジェクトのポートフォリオ全体を見て最適化する必要があります。
例えば、マッキンゼーが提案したもので以下のようなものがあります(日本語部分は元の論文を参考に、筆者が加筆)。

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そこでは、企業は3つの視点でイノベーション予算を配分すべきだと主張されています。
例えば、GoogleではHorizon1,2,3の順に70:20:10の割合で配分されていると公に述べています。
その配分を維持するためにも、トップダウンで長期で維持するルールを持つ必要がるということです。

また、大企業の固有の問題として新しいビジネスを始めるときに、既存のビジネスモデルを持ちながら、そのモデルに適合する機会を求めているところにあります。
それは、現在のビジネスモデルを破壊する可能性のあるビジネス機会を回避するということです。一方、スタートアップは保護すべき既存のビジネスモデルを持っていない(ゆえに制約がなくビジネスをすることが可能である)。

それでは大企業はどのように技術的な「破壊」を伴うイノベーションと向き合えば良いのか。

次回の記事にて詳しく解説していきたいと思います。

前後編合わせた記事と活用事例について触れた記事を読みたい方はこちら!



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