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服の色塗りはこうやって「攻略」する。キャラ絵の鬼門を突破する色塗りガイド

服の色塗りにレイヤー5枚は使うReLです。
デジタルの機能にどっぷり浸かっているので、
アナログで色を塗れる人には尊敬しかありませんね😇🙏


今回は服の具体的な色塗りのお話です。

僕はイラストを描き始めてから数年間、
自分の服の色塗りに納得がいっていませんでした。

  • 服から素人感が消えてくれない

  • 影の色が単調でイマイチ納得がいかない

  • どう頑張っても思い通りの仕上がりにならない

  • 服の色塗りってもしかしてラスボスなのでは?

もしかすると、あなたも同じ思いを抱えているかもしれません。


服ってキャラクターイラストの中でも
一番と言ってもいいくらい難しいパーツなんだと思います。
シワのでき方なんか、同じ服でもポーズによって
いくらでも変わりますからね。

キャラクターイラストの鬼門、と言ってもいいでしょう。

今回は数年間悩める子羊だった僕が行き着いた
服の塗り方について解説します。
「これだ!」と思える今の塗り方に行き着いてからは、
↓のような情報量の多い服の色塗りができるようになりました。

今ではこんなに情報量のある色塗りができるように
  • どうやったら素人感を消せるのか

  • どうやったら単調さを消して情報量を上げられるのか

職人みたいな繊細な色塗りをするわけではなく、
デジタルならではの機能をうまく活用して仕上げていく塗り方です。

やり方さえ覚えれば誰にでもできてしまいますよ😁


色塗りに納得がいかなかった理由。
服の色塗りを2影程度で済ませるのは
そもそも”無理ゲー”だった


オーソドックスな色の塗り方として
イラスト講座などで取り上げられてるのは、
以下のような塗り方ですね。

  1. ベースの色でベタ塗りをする

  2. 1段階目の影(1影)を塗る

  3. 1影より濃い色で2段階目の影(2影)を塗る

あなたも一度くらいは見聞きしたことがあるかもしれません。


広く知られている基本的な塗り方だし、
肌や髪はこういう塗り方でもいいと思います。

だけど服については、僕はこの塗り方をオススメできません


服ってデザインもシワの形も影の濃さも千差万別なんです。

服自体のバリエーションが豊富な上に、
同じ服でもキャラクターのポーズによって
いくらでもシワなどの見た目が変わります。
さらに同じ1枚の服の中でも、
できる影の濃さは場所によって様々。

パターンが多すぎるんですよ。

それを2影程度の限られた色のみで表現するのは、
実は相当な高等テクニックなんです。

服の素材や生地の厚みによって、シワのでき方にも違いが出ます。
資料もなしで描こうと思ったら
そのシワのでき方やパターンを普段から
よく観察して熟知してないといけません。

なおかつ、場所によって変わる影の濃さを
限られた色のみでも違和感が出ないように、
デフォルメして単純化する技術も求められます。


つまり、観察力、センス、技術、経験が高いレベルで必要になってくるんです。

これを僕らみたいな普通の人がいきなり真似するのは、
はっきり言って”無理ゲー”なんですよ。😭


じゃあ、どうすればいいんだよ!?って話ですよね。
前置きが長くなりましたが、
ここから僕が実際にやっている
服の具体的な塗り方を解説していきます٩( 'ω' )و


メリハリ付けて塗って、重ねるべし!
素人感を消しつつ情報量を上げる服の塗り方


ベースの色でベタ塗りをするところまでは
オーソドックスな塗り方と同じですが、
ここから解説する塗り方は、それ以降が違います。

まずルールが2つあります。

  1. レイヤーモードを「乗算」にする

  2. 使う色はレイヤー1枚につき1色だけにする


レイヤーモードを乗算にすると、
下のレイヤーと色が重なった部分がより濃く暗くなります。

この塗り方のメリットは、
乗算によって色が重なることで
影の濃さに様々なバリエーションが生まれること。

つまり情報量が”勝手に”増えていくんです。


Point 1. シワの影をボカさない

色を塗っていく前に、大事な前提の話です。

初心者が一番やってしまいがちなことなんですが、
シワの影は入りと抜き以外はボカさないようにします。
これがすごく大事。

これ超大事

シワの影をボカしてしまうと一気に素人感が出てしまうんです。

影をボカしたほうがいいのは、
服自体がなめらかにカーブして
光の当たる角度が緩やかに変化していく部分です。
胸の下半分とか、腕や脚とか。

それ以外の部分は基本的に影をボカさず、
勇気を持ってメリハリを付けて塗っていきましょう。


Point 2. 影ができる理屈ごとにレイヤー分けして塗り重ねる

服に影ができる理屈は、大きく分けて2種類あります。

この2種類ごとに
更に乗算レイヤーを複数重ねることで
影の濃さにバリエーションを持たせていきます。



理屈1. シワの影

1種類目はシワによってできる影です。

シワの深さによって、当然できる影の濃さは変わってきます。
レイヤー1枚で影を塗っただけだと、
影の濃さがどこも同じでまだまだ色が薄いと思います。

「ここもっと濃くしたいな」
と思う部分がいくつも出てくるはずなので、
しっくり来るまで乗算レイヤーを作っては色を重ねていきます。

シワの影
慣れてきたり筆圧の加減が得意であれば、
1枚のレイヤーでここまで影色に幅を持たせることも可能。
慣れないうちは2枚、3枚とレイヤーを追加して塗り重ねる。




理屈2. 服本来の影

2種類目は、シワがまったく無いと仮定した場合に服にできる影です。

シワがまったく無いウェットスーツみたいな
ツルッツルの服でも、場所によって
光源から受ける光の角度が変わるので、当然影ができますよね。
そういう影を塗っていきます。

女の子であれば胸の下半分に影を入れたり、
腕が筒状に見えるように
光源の反対側に薄っすらと影を入れて
緩やかなカーブを表現したり。

こういう部分にこそ、
ボケ味の強い影を入れることで自然に見えます。

服本来の影
仮にシワがまったく無いと仮定すると、これに近い感じの影ができるはず。
実際はシワの影を塗ったレイヤーの上から塗っていくので、
多少シワの影も意識した形になっている。


塗る順番は

  1. シワの影

  2. 服本来の影

の順です。

シワは服から浮き出て生地の形を変えるので、
服本来の影のでき方にも影響を与えるからです。

まずシワの影を塗って、
それからシワの形にある程度合わせるように
服本来の影を塗ると、自然な感じになりますよ。

シワの影と服本来の影を重ねた状態。
影の濃さにかなりのバリエーションができている。


「そもそもシワの塗り方もよく分かんねーよ」
「シワが無い部分をどう塗ればいいのか見当もつかないんだが」

という場合は、服の情報量を上げる
「考え方」について解説している
こちらの記事を読んでみてください。

こちらも服に色を塗っていく際のヒントが詰まっています。😊


Point 3. 色を調整する

乗算レイヤーがいくつもできてるはずなので、
レイヤーごとに「色相・彩度・明度」の機能を使って
色を調整していきます。

クリップスタジオならCtrl+Uで起動できますよ。

影色の鮮やかさと暗さを調整する。
この場合は服本来の影が暗すぎたので明るくしている。

これの目的は2つあります。



目的1. 乗算の”欠点”を補正する

影の色塗りに便利な乗算ですが、
1つだけ欠点があります。

それが、「色を重ねるほど黒に近づいていく」ということ。
つまり乗算レイヤーを何層も重ねていくと、
くすんで汚い色になりがち
なんです。

それを補正するために、レイヤーごとに色を調整します。
”彩度”を上げることで色のくすみは解消することができますよ。
ただし鮮やかにしすぎてクドくならないように注意してください。



目的2. 影の明暗のバランスを整える

乗算レイヤーは下に塗ってある色の影響を受けるので、
塗ってみると自分で選んだ色とは別の色になります。

明暗が付きすぎて不自然になったり、
逆にもっと明暗がはっきりしてたほうがいいと感じる部分が出てくるはず。

そういう部分のバランスを整えるために色を調整します。
これは”明度”を上げ下げして調整してください。

明度を上げると色が鮮やかになるので、
その場合は一緒に彩度を下げるといいでしょう。
逆に明度を下げると色がくすみがちなので、彩度を上げて調整します。



ルール2で「レイヤー1枚につき使う色は1色だけ」
と説明しましたが、それがこの色調整で効いてきます。

色調整はレイヤー全体に影響するため、
1枚のレイヤーに何色も使っていると、そのすべてが影響を受けます。
つまり変えたくない部分の色まで変わってしまうということ。

それに対して使う色を1色のみに制限していると、
同じ色で塗った部分のみが色調整の影響を受けるので
すごく色調整がしやすいんです。


複雑な陰影も実は単色のレイヤーを重ねるだけで表現できる


僕が実際にやっている服の塗り方について解説しました。

むぅ、長くなった(笑
長文にお付き合いいただきありがとうございました。😇

簡単にまとめます。


■ルール

  1. レイヤーモードを「乗算」にする

  2. 使う色はレイヤー1枚につき1色だけにする

■Point 1. シワの影をボカさない
  →素人感が出てしまう最大の原因

■Point 2. 影ができる理屈ごとにレイヤー分けして塗り重ねる
  1. シワの影
  2. 服本来の影
  →これで服の情報量は勝手に増えていく

■Point 3. 色を調整する
  1. 乗算の欠点を補正する
  2. 影の明暗のバランスを整える



一見複雑でいろんな濃さの影を塗ってあるように見えても、
実は単色で塗ったレイヤーを
乗算でいくつも重ねてあるだけなんですよね。

乗算は色を重ねた部分が濃く暗くなるという性質があるので、
影を塗っていくのに大活躍します。

服だけでなく、肌や髪など
あらゆるパーツで活かせる塗り方なので、
使いこなせれば色塗りのレベルが一気に上がることは間違いありません。

お絵描きが楽しくてたまらなくなりますよ。
ぜひ挑戦してみてくださいね!😆✨


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