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歴史事典アーカイブ:閃きをあなたに

歴史学の独立研究者が運営しています。専門家の研究書等を用いて、歴史のより確かな知識と魅力をしっかり紹介します。ウェブ上のコスパよい歴史事典アーカイブの構築を目指しています。月額5…
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#世界史

(定期購読)教皇ボニファティウス8世

 教皇ボニファティウス 8 世は中世のローマ教皇(1235ー1303)。在位は1294 ー1303年。国家と教会の関係をめぐって、フランス国王フィリップ4世と激しく対立し、拿捕された挙げ句に憤死した。  グレゴリウス7世やインノケンティウス3世とともに、中世の教皇至上主義の代表的な教皇の一人として知られる。この記事では、その生涯と歴史的な重要性を説明する。 ボニファティウス8世の生涯  ボニファティウス8世はローマの名門貴族出身である。本名はベネデット・ガエタニ。ボローニ

(定期購読)皇帝フランツ2世と神聖ローマ帝国の終焉

 フランツ2世は神聖ローマ帝国の最後の皇帝(1768-1835:在位は1792-1806年)。オーストリア帝国の創設者でもあり、オーストリア皇帝としてはフランツ1世を名乗った(在位1804-35)。フランス革命の勃発後に皇帝となり、革命への干渉戦争を行った。だが、帝国内の混乱とナポレオン戦争により、むしろ神聖ローマ帝国の歴史に終止符を打つことになった。オーストリア帝国では、メッテルニッヒを宰相として重用した。 フランツ2世(Franz Ⅱ)の生涯  フランツ2世は神聖ロー

ジローラモ・サヴォナローラ:フィレンツェの神権政治

 サヴォナローラはイタリアの聖職者(1452-98)。フィレンツェからメディチ家を追放し、神政政治を行ったことで知られる。だが、教皇庁などとの対立により、処刑されるに至った。イタリア・ルネサンスの成果を選択的に利用しながら、虚飾の焼却を行うなどしてルネサンスにも様々な厳しい批判を行った。 サヴォナローラ(Girolamo Savonarola)の生涯 サヴォナローラはイタリアのフェラーラで生まれた。幼少期から、医師だった祖父から教育を受けた。おそらくその影響で、当時のイタリ

(定期購読)イサベル1世:スペイン黄金時代の幕開け

 イサベル1世はスペインの女王(1451ー1504)。スペインの黄金時代の基礎を築いたことで知られる。アラゴン王と結婚することで、はじめてスペインと呼べるような国を誕生させた。700年以上にわたるレコンキスタの完了、コロンブスのアメリカ「発見」、スペインからのユダヤ人とイスラム教徒の追放などを行った。これからみていくように、時代の大きな転換期を生きた女王である。 イサベル1世(Isabel I de Castilla)の生涯  イサベルはカスティーリャ国王フアン2世の娘と

(定期購読)ロバート・ボイル:科学革命と実験主義

 ロバート・ボイルは17世紀イギリスの哲学者(1627ー1691)。ボイルの法則で知られる。だが、彼の功績はこれに限られていない。むしろ、これからみていくように、科学革命が勃興する時代において、実験主義の導入や科学活動の組織化で大きな貢献をした。ボイルの法則の発見はまさにその一環であった。 ボイル(Robert Boyle)の生涯  ボイルはアイルランドのリズモアで裕福な貴族の家庭に7男として生まれた。父は初代コーク伯である。母を幼くして亡くした。  ボイルはイートン・カ

(定期購読)ミュンツァー:ドイツ宗教改革と農民戦争

 トマス・ミュンツァーはドイツの聖職者(1490ー1525 ) 。ドイツ宗教改革の代表的人物の一人。急進主義的な再洗礼派として知られる。1524−25年の農民戦争を指導したが、捕えられ、処刑された。その生涯と革命思想をてみていく。 ミュンツァー(Thomas Müntzer)の生涯 ミュンツァーはドイツのシュトルベルク・アム・ハルツに生まれた。両親は未詳であるため、幼少期の状況はよくわかっていない。ライプツィヒやフランクフルトで学んだ。聖職者の道を目指し、 1514年には司

(定期購読)ツヴィングリ:スイス宗教改革

 フルドリッヒ・ツヴィングリはスイスで活躍した神学者(1484ー1531)。スイスでの宗教改革の主要な人物として知られる。ツヴィングリの改革運動は単に宗教面におよんだだけでなく、社会風紀の面にも広く及んだ。カルヴァンたちのスイスでの宗教改革に道を開いた。  この記事では、スイスの宗教改革の立役者ツヴィングリについて説明する。 ツヴィングリ(Huldrych Zwingli)の生涯  ツヴィングリはスイスのザンクト・ガレン地方で自由農民の家庭に生まれた。ウィーンやバーゼル大

(定期購読)ウィクリフ:イギリスの宗教改革の先駆者

 ジョン・ウィクリフはイギリスの神学者(1330 ー1384 )。当時の教皇や教会の教義への批判を行い、異端とされた。ロラード派などに大きな影響を与えながら、晩年まで著述活動に打ち込んだ。死後はコンスタンツ公会議で異端として断罪された。フスとともに、16世紀の宗教改革の先駆者として知られる。  この記事では、まずその生涯を確認し、次にその思想をみていく。ウィクリフとロラード派との異同についてもみていく。 ウィクリフ(John Wycliffe)の生涯  ウィクリフはイギリ

(定期購読)リンカーン大統領:南北戦争と奴隷解放宣言

 エイブラハム・リンカーンは第16代アメリカ合衆国大統領(1809ー1865)。南北戦争という内戦が生じる中でアメリカ合衆国を維持し、奴隷解放宣言で国内の奴隷解放を実現した。その生涯と功績を説明する。さらに、奴隷解放宣言の和訳も載せる。 リンカーン(Abraham Lincoln)の生涯  リンカーンはケンタッキー州の貧しい農家で生まれた。当時のケンタッキー州は開拓地であったので、リンカーン一家は開拓農民だった。幼少期、リンカーンはしっかりした教育を受けられなかった。

(定期購読)アインシュタイン:相対性理論と核爆弾

 アルベルト・アインシュタインはドイツの物理学者(1879―1955)「奇跡の年」に一連の物理学論文を発表し、一躍名声をえた。一般相対性理論を発表し、ノーベル物理学賞を獲得した。  これが物理学以外の分野にも大きな影響を与えた。第二次世界大戦ではマンハッタン計画に関わった。戦後は核廃絶運動に邁進した。以下では、アインシュタインの詳細な年表も掲載する。 アインシュタイン(Albert Einstein)の生涯 アインシュタインはドイツのウルムで工場を営んでいたユダヤ人家庭に生

(定期購読)アルビジョワ十字軍(1209−29):異端への十字軍がもたらしたものとは?

 アルビジョワ十字軍は、1209−29年に異端とみなされたアルビジョワ派に対して南フランスに派遣された十字軍。十字軍といえばイスラム教徒を敵とみなして聖地を奪還する第一回十字軍が有名である。しかし、十字軍は同じキリスト教徒の異端勢力にたいしても派遣されたのである。このアルビジョワ十字軍の背景と展開、意義や影響を説明する。 アルビジョワ十字軍の背景 アルビジョワ派(カタリ派)とは  12世紀半ばあたりから、アルビジョワ派が活動を始めた。彼らは地域によって名称が異なり、カタリ

(定期購読)ナポレオン・ボナパルト3世

 ナポレオン・ボナパルト3世は19世紀フランスの大統領で皇帝(1808ー1873)。ルイ・ナポレオンとも呼ばれた。フランス第二共和政においては、著述活動などを通して支持を獲得し、大統領に選ばれた (1850ー1852)。クーデターによって帝政を誕生させ、皇帝に即位した (1852 ー1870)。  20年間の治世では、フランスの経済発展やインフラの近代化、クリミア戦争やイタリア統一戦争への関与などを行った。以下では、ナポレオン3世と日本の関係についてもみていく。 ナポレオン

(定期購読)ニッコロ・マキャヴェッリ: 近世イタリア政治の荒波を乗りきるために

 ニッコロ・マキャヴェッリはイタリアの政治家で理論家(1469 ー1527 )。当時のフィレンツェ共和国で、外交や軍事などの様々な役職をつとめた。古典古代の著作と政治家としての経験をもとに、著作を執筆した。最も有名な著書は、チェーザレ・ボルジアのような人物をモデルとした『君主論』である。イタリア戦争で悲劇的な状態にあるイタリアを救う新たな君主の出現を待望した。この記事では、『ローマ史論』や『フィレンツェ史』についても説明する。 マキャベリ(Niccolo Machiavel

(定期購読)フランシスコ・ザビエル:日本で最初のヨーロッパ宣教師

 フランシスコ・ザビエルはカトリックの修道士(1506ー1552)。スペインのナバラで生まれた。ロヨラとともにイエズス会の創立メンバーになった。ポルトガル王の要請で東アジアに宣教師として派遣される。当初の目的地ではなかった日本で最初のキリスト教の宣教師となった。ではなぜ日本に到来したのか。その理由とその後の活動をみていく。 ザビエル(Francisco Xavier)の生涯  フランシスコ・ザビエルは1506年、スペインで貴族の子として生まれた。1525年、当時の神学教育