アショーカ王の統治理念
問題
難易度: ★★★☆☆
アショーカ王の統治理念について,60字以内で記せ。
配点: 4点 首都大学東京(2005)
解法へのアプローチ
アショーカ王が行なったこと・なぜその行為を行なったのかまで思い出しましょう。さらに満点を目指すなら、当時のインド王が持っていた視点まで考慮して記述しましょう。
採点基準
・法(ダルマ)による統治を行なったことに触れていれば +2点
・宗教に対して寛容であったことに触れていれば +1点
・「不殺生を説いたこと」あるい「正しい人間関係」のどちらかについて触れていれば +1点
解説
ダルマに則った政治を行ない、特に不殺生を説いたことに触れていれば、概ね点数がもらえる問題です。
古代インド王の責務
前6世紀ごろからインドでは都市国家が形成され、やがて前4世紀末にインドを統一するマウリヤ朝が生まれます。当時のインド王らは共通して、宗教の違いを超えて統一を目指そうとしたことを抑えておきましょう。もともと多神教の特色を持つ先住民(ドラヴィダ系民族)もいましたし、バラモン教だけでなくジャイナ教も仏教も大きな勢力でした。統一国家を維持するためには宗教を弾圧させることよりも寛容方策を採り、宗教の違いから起こる反発の少ない社会を目指したのでした。
アショーカ王の統治理念
カリンガ戦争の結果、アショーカ王は多くの人を殺めたことを悔いて仏教に深く帰依した、という内容はすでに受験生なら抑えている知識でしょう。この戦争経験から、仏教の思想を中心に構成しているが、宗教の違いを超えた普遍的な道徳を説いた法(ダルマ)の整備を行なった。このダルマの特徴として
1. 不殺生
2. 正しい人間関係の構築
3. 宗教の平等
が挙げられる。
「正しい人間関係とは何か?」と思う受験生も多いはずですので、2.について、少し解説を追加します。この正しさとはヴァルナを軸にしたものだと覚えてください。親子関係を大切にしましょう、といった普遍的なものも含みますが、基本的にはヴァルナの違いに応じた人間関係を築きあげましょう、という意味が強いものになります。現代では考えられない人種差別・身分差別ですが、当時は道徳だったのですね😨
解答例
宗教思想の違いを超えた普遍的なダルマによる統治を全国規模で行ない、不殺生・正しい人間関係のあり方について説いた。(56)
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