ヴァルナ制度とは何か

問題

難易度: ★★☆☆☆
ヴァルナ制度について60字以内で説明せよ。

配点: 4点 新潟大学(2005)

採点基準

問われているレベルは大学入学共通テスト(センター試験)レベルのものなので、できれば満点取れて当たり前 😎とドヤりたいところです。

・各身分の説明ができていれば +4点
 ・バラモン:司祭
 ・クシャトリア:武士・王族・貴族(どちらか1つ以上)
 ・ヴァイシャ:農民・商人・一般市民(どちらか1つ以上)
 ・シュードラ:被征服民・先住民(どちらか1つ以上)
・身分の説明が不十分あるいは不確かであれば、都度 -1点

解説

教科書で十分に説明されている内容なので解説するまでもないとは思いますが、少し受験レベルを超えて、「理解につながるバラモン教の解説」をしたいと思います。この解説を読めば、ヴァルナ制に関する問題を解くための論述対応能力が十分に身につくはずです!

アーリア人のためのヴァルナ制

ヴァルナ制とは、アーリア人が作ったバラモン教の中で規定される一種の秩序と考えてください。まずアーリア人とドラヴィダ系民族という人種の違い(肌の色)により身分を大別し、さらに同じアーリア人種の中での身分を区別し、上位ヴァルナにとって都合の良い社会を運用するための秩序だったのです。基本的に司祭業務を受け持つのがバラモン、王族・貴族を中心とした武士階級がクシャトリアとされました。つまりその他アーリア人がヴァイシャ、ということですね。さらに、肌の色の違いから軽蔑の対象にもなったシュードアが下位に位置します。ヴァイシャはバラモン・クシャトリアが行なわないその他すべての生活業務を受け持っており、教科書的な説明だと農業・手工業・商業に従事していたとされています。ヴァイシャの補佐をするのがシュードラと考えて問題ありません。

ところでカースト制とは...?

そこで少し気になることが出てきます。カースト制(ジャーティ)とは何か?という疑問ですね。ぼくも世界史を学んでいてちんぷんかんぷんなところでした。教科書的な説明だと、「職業や地域によって区別され、さらにヴァルナ制と結びついた社会身分秩序」といった説明だけがされ、「なるほど、全然わからん」という気持ちのままモヤモヤを残しながら過ごしていました。
そこで、少しカースト制度についてもお話をしたいと思います。

当時のインドでは、ガンジス川・インダス川を中心に、村が形成されていました。そしてこれら川はみなさんもご存知の通り、非常に広大です。なので、村々は水資源を得るために川沿いを中心に発展しますが、川沿いと行っても広大な土地になりますから、散村の形をとっていました。

さらに村にはその村を維持するための農民・商人・職人がいました。農民のせがれは農民に、商人のせがれは商人に、といった具合に、その職業は世襲されることが多く、やがて村内での職業の固定化が進みました。

そこに入ってきたのがヴァルナ制です。ヴァルナ制のもと、司祭・武士・その他職種によって身分が区別されました。さらに村や地域の重要性によって、村間のランク付けがされていったのです。すると、どの村出身か & どのヴァルナに属するのかという2軸で、人を評価する社会が形成されたのです。これがジャーティになります。
そして16世紀ごろ、ポルトガル人がインドにやってきてこのジャーティの存在を知り、「それって血統(カスタ)による身分だよね」ってことで、カースト制と呼ばれるようになったのです。

解答例

上位から順に司祭層のバラモン、武士・王族階級のクシャトリア、農民・商人のヴァイシャ、先住民のシュードラを区別する制度。(59)

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