米西戦争後に実行した対中国政策の特徴

問題

難易度: ★★★☆☆
米西戦争後におけるアメリカ合衆国の対中国政策の特徴を,90字以内で説明しなさい。

配点: 4点 東京大学(2011)

採点基準

・ジョン=ヘイが門戸開放宣言したことに触れていれば +1点
・門戸開放宣言の説明として以下のキーワードをすべて含んでいたら +2点
 ・門戸開放
 ・機会均等
 ・領土保全
・中国への経済進出について触れていれば +1点

解説

アメリカの対中国政策の特徴に焦点をあてて、目的・実行したことを中心にまとめていけば、自然と90字に至ります。時代範囲が指定されていないので、極論2010年代の政策まで記述できる問題ですが、問題の意図は帝国主義アメリカのとった対中国政策と捉え、書き進めていきましょう。

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中国進出に出遅れたアメリカ

1898年、米西戦争終了後のアメリカはフィリピン・グアムを獲得し、同年ハワイも併合しました。太平洋・アジア地域に向けてアメリカ勢力圏を拡大することに成功したアメリカが次に狙ったのは中国でした。しかし物事はそう簡単にはいきませんでした。

米西戦争中、フィリピンは当初スペインの占領から開放され、やっと自分たちの独立国家を持つことができると思ってアメリカを支援していたのですが、アメリカが占領を始めるとスペイン植民地時代と何も変わらない社会になったので、改めてアメリカへの独立戦争を仕掛けました。

この戦争にアメリカは苦戦を強いられ、中国進出に乗り遅れてしまったのですね。そうこうしているうちに中国はイギリス・ドイツ・フランスといった列強諸国によって分割統治され、アメリカが占領できる領土はほぼ皆無な状態になっていました。

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ジョン=ヘイの門戸開放宣言の意味

とはいえアメリカはまだ諦めていませんでした。アメリカは国際世論を巻き込んでなんとかして自身も中国市場で利を得たいと考えて、国務長官ジョン=ヘイに門戸開放宣言を発表させました。その内容は「門戸開放・機会均等・領土保全」の3つです。

これらを呪文のように唱え暗記するのもよいのですが、暗記は忘れる速度が早く復習コストが高い上に、本質をつかめないので大学生になった後にその知識を活用できません。なので、少し恣意的ですが、受験生は以下のように覚えるとよいのではないかと思います。

・門戸開放(おれたちにも中国侵略させてくれ)
・機会均等(先に取ったもん勝ちはずるいぞ)
・領土保全(ここまで領土を奪う必要なくない?)

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アメリカのアジア進出の目的

これはアメリカの帝国主義政策の根幹にもあたるので、中国に限った話ではないのですが、そもそもなぜアメリカが海外進出を始めたかというと、自国で作った製品を売りつける市場を確保したかったからです。

中国に関しては植民地化することに遅れを取ってしまい、思った成果をつくることはできませんでしたが、それでもアメリカの狙いは変わっていません。門戸開放宣言後も、ポーツマス条約やワシントン条約を結ぶ際にはアメリカの影響力を見せつけ、アメリカ製品を売り込む機会を狙っていました。なので、アメリカの対中国政策の目的は経済進出(中国市場への参入)ということも忘れてはいけません。

解答例

中国進出に乗り遅れたアメリカは、ジョン=ヘイの門戸開放宣言により、門戸開放・機会均等・主権尊重・領土保全が訴えられ、列強諸国の中国分割を牽制し、経済進出を図った。(81)

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