ガンダーラ美術とグプタ美術の違い
問題
難易度: ★★★☆☆
ガンダーラ美術とグプタ美術の具体的な特徴について,60字以内で説明しなさい。
配点: 4点 オリジナル(2020)
解法へのアプローチ
センター試験でも頻出なテーマでもあるため、ガンダーラ美術については説明できる受験生も多いですが、グプタ美術の特徴を説明できる受験生はあまり多くはない印象を受けます。この問題では、それぞれの美術が持つ具体的な外的特徴を、30字・30字程度の配分で説明できると点数がもれなく取得できるでしょう。
採点基準
① ガンダーラ美術の特徴
・写実的(輪郭や像形がはっきりしている)という記述があれば +1点
・衣は動的な表現がされている点に触れていれば +1点
②グプタ様式の特徴
・繊細な衣を表現していることに触れていれば +1点
・手足の輪郭を強調していることに触れていれば +1点
解説
ガンダーラ美術
ガンダーラ美術の特質で文化が発展した背景を解説しました。また外観についても軽く説明しましたが、ここではより詳しい解説を進めます。ガンダーラ美術はギリシア文化(より厳密にはヘレニズム文化・ペルシア文化)の影響を強く受けています。そのため、目鼻顔立ちはシャープで、写実的な表現がなされています。仏がまとっている衣服も波波と表現され、動的な印象が特徴的です。ラオコーンのような動的な表現を彫刻で実現させる技術力はある種、当時の職人のステータスになったので、ギリシア人彫刻家の技巧まで受け継いだと考えると、ガンダーラ美術がインドにもたらした文化的影響は計り知れないものかもしれません。
グプタ美術
クシャーナ朝衰退後、4世紀に興ったグプタ朝はアーリア人が立てた王朝でした。なので、ギリシア系の趣味が一掃され、純インド的な美術が発展しました。それがグプタ美術です。グプタ美術の特徴は「繊細さ」にあります。仏像の顔立ち・衣にその特徴が現れています。また、マウリヤ朝(前アーリア系王朝)時代の仏教は偶像を作ることを良しとしていなかったこともあり、仏足石(ブッタの足跡が刻まれた石碑)などを信仰の対象としていました。足跡から輪郭や姿かたちを想像していた流れから、偶像崇拝が当たり前になったグプタ朝インドではその想像した仏の手足をよりはっきりと強調した、という点も重要です。
解答例
前者は写実的で衣が動的に表現されている。一方後者は衣は繊細な表現が施されているが手足の輪郭は強調されている。(54)
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[停止中]世界史論述講座古代編
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