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山下達郎『SPACY』(1977)

アルバム情報

アーティスト: 山下達郎
リリース日: 1977/6/25
レーベル: RCA/RVC(日本)
「50年の邦楽ベスト100」における順位は55位でした。

メンバーの感想

The End End

 恥ずかしながら初めて山下達郎のアルバムを聴いた。今まで彼に抱いていたイメージとかなり違う音像で、正直面食らった。粘っこい歌唱、シルキーなリヴァーヴ、過剰なほどの多重コーラス…これらの、私が山下達郎の特徴であると認識し、そして苦手としていた部分が全て見られない。若かりし頃の田島貴男を彷彿させる空気を含んだ歌唱、ドライなドラム、今欲しい!というタイミングでバッチリ入ってくるコーラス、それも的確にツボを突いてくる。
 『ひこうき雲』を聴いた時に、この音の延長線上にヤマタツがいるのだろうか、と思っていたのだけど、これを聴く限りそういうわけではなさそう。ヤマタツが『泰安洋行』の録音を絶賛していたという話を意外に思っていたが、本作を聴いて納得がいった。
 曲によってドラムの録りや処理が少しずつ変わっているのだけど、不思議と同じムードを感じて面白かった。

桜子

 この企画でカラオケバージョンのトラックが入っているアルバム初めてじゃないですか?歌ものPOPSでありながら、オケだけでも成立しちゃう曲作れるのカッコ良すぎる〜〜!
 オケに飽きないための変化があって、どの部分を聴いてもオケの主役楽器があるんですよね。

湘南ギャル

 自分の感受性が無さすぎて、何回聞いても全部同じ曲に聞こえる。5年後くらいにまた聞きます。

しろみけさん

 達人の一筆書き。この時期の山下達郎は、本人もそう語るように、決して余裕綽綽で制作を進められる立場ではなかった。前作『CIRCUS TOWN』で共演したチャーリー・カレロに感銘を受け、スコアをきっちり書いた上でレコーディングにほぼ一発録りで臨んだ。それは必ずしも本人の意向ではなかったけれども、度が過ぎる洋楽オタクだった彼の中にあるビジョンをダイレクトに出すためには、実は最も適した方法だったのではないかと、昨今の本作へ向けられている大絶賛を眺めながら考えた。

談合坂

 すべてが精密に制御されていると思った。感情を溜め込む時間と、ため込んだ感情を解放するタイミングが用意されていて、どうやっても逆らうことができないような。聴き手を正確にコントロールするというプロデューサー視点からの実用的な目的というだけではなく、作りたいものを取り逃がさないという意志みたいな感じです。

 山下達郎。本当にクリスマスの曲しか聞いたことがなく、彼のギターのプレイは知らないうちに聞いているはずだが、というわけでかなり構えて再生したのだけど、そんな心配など無用だった。コーラ隊とブラス隊を従えた多幸感で魅せるM1、張り上げる声に山下達郎のまだ若さが見えるM2、ソリッドな構成だからこその隙間のあるグルーブが光るM3、M4、、などアルバム単位での緩急のつけ方が絶妙でいい意味でサラッと聞いてしまった。FOR YOUが楽しみすぎる。

みせざき

 自分は本当にシティポップを聴いたことが無い人間だったのと、最近は渋さや枯れたサウンド、いびつさや特徴的なサウンドの音楽を好んで聞いてたので、特にこういうサウンドが自分にはとてもとても新鮮に感じました。とにかくソフトで美しい音楽、という風に感じました。凄くすべての曲が綺麗すぎるほどの印象を受けたので最初慣れるまで時間がかかりましたが、段々耳障りが良くなってきた感じがあります。世界に注目を受ける普遍性のようなものも感じ取れた気がします。ヒット曲などで聴く山下達郎のイメージと違って凄く初々しさが際立ち、そういう青い雰囲気を醸しながら出すファンク感というのがまた面白かったです。マイケルのOff The Wallのようなイメージでした。

和田はるくに

 聞いていて耳から抜けていくアルバムである。個々のフレーズなんかに驚かされる現象はあるものの、全体としてグッとくるものがない。『DANCER』のカチカチスネアや『アンブレラ』の盛り上げていく感じはものすごく好き。
やまたつの曲は『風の回廊』など好きな曲はたくさんあるんだけど、アルバム単位であんまり好きになれない。勉強します。

渡田

 初期のアルバムらしく、山下達郎の歌い方が定まった後の曲と比べると、確かにそれらとはイメージが違う。
 それでも、悲壮感と無縁の音楽性はこの時点から現在だと思った。昔の恋の曲でさえ、哀愁よりも爽やかさを感じる。

次回予告

次回は、大貫妙子『SUNSHOWER』を扱います。

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#音楽
#アルバムレビュー
#山下達郎


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