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「或る歴史と或る耳と」20週目を終えてのレビュワー座談会:中編——反体制と、当事者性と、敵との和解(仮)

 ミュージック・マガジン誌「50年の邦楽ベスト100」のランキングを年代順に聴き、数人のレビュワーが感想を残していく企画「或る歴史と或る耳と」。今回はその特別編として、ここまで60枚の名盤を評してきた参加メンバーたちが集合し、雑感やアルバムへの思いを語った座談会の様子をお届けします(参加メンバーのうち、「談合坂」は日程の都合により不参加)。

 中編では前回に引き続き、各々のお気に入りの作品についてトークしています。時に鋭く、時にトンチキな感想の重なりを、ぜひお楽しみください。


「反体制音楽だ!」


The End End: 
じゃあ、ギャルさん。えっと、さっき佐野って言ってた?

湘南ギャル: いや、でも、色々好きなのがあって、順序じゃなかったっていうか。こういう面ではこういうの好きだし、っていうか、色んな楽しさがあってこの期間はすごい楽しかった。 YMOとかもあんまり聴いてなかったし。

The End End: うんうん。

湘南ギャル: あと、RC(サクセション)とかキヨシローは…今振り返るとすごい有名な人で、当時も多分もう有名になってただろうし、っていうのはあるけど、 それでも、なんだ、こっち側っていうのかな。に、いてくれてることの誠実さみたいなのが、すごい、尊敬できるなっていうか。

しろみけさん: 今回はライブ盤の『ラプソディー』とタイマーズか。

湘南ギャル: 「ボスしけてるぜ」がめっちゃ良かった。

The End End: 桜子ちゃんが前回キヨシローの声が苦手って言ってて、“タイマーズっていう全然違う人の方が聴きやすいと思うよ”っていう話をしたと思うんだけど。

湘南ギャル: そうだ。(笑)めっちゃ顔が似てるだけらしいね。

桜子: え、声一緒の人ですよね…?

一同: (爆笑)

桜子: …全然好きじゃなかったです。

The End End: 揺るがなかった。(笑)

しろみけさん: (桜子のレビューが)政治の話しかしてないもん、今見返したら。

桜子: なかったことにしたい。(笑)

しろみけさん: ホントにこの人話したくないんだっていう感じ。いや、良いよ。誠実よね。

湘南ギャル: でもなんか、キヨシローぐらいの人がこんだけ言っても、こう、別に変わってないから今があるわけで、なんか…やっぱダメかもなっていう。

The End End: これがまだリアルに響いててどうするってね。

湘南ギャル: こんな時代あったんだねみたいな、嫌な時代だったんだろうなみたいな話ができたらいいんでしょうけど、変わってない上にキヨシローみたいなことを言う人もあんまり…だから。状況が悪化してんのかな。

The End End: マヒト(ゥ・ザ・ピーポー)も最新曲で言ってるもんな。“いつまでキヨシローに頼ってるんだ、いつまで龍一に頼ってるんだ”って。

葱: ジョン・レノンとも言ってた。


湘南ギャル: (世の)新譜を聴いてる皆さんとかに、今日会ったら聞こうと思ってて。 例えばRCとかでも、すごいお金の話とか普通にするじゃないですか。ビートルズも「タックスマン」とか出してたし、 そういうのって最近流行ってますか?あんまり無いですか?

しろみけさん: NORIKIYOとか…?ヒップホップじゃない?

葱: うん、ヒップホップはそういうのあるかな。

The End End: いや、でも、そうだよね。ロックが背負ってた役割って、やっぱり今はもうヒップホップのものだよね。

しろみけさん: 今回思ったのが、でもヒップホップって反体制をやらないから。なんか、 反体制音楽だ、と久しぶりに思った。しかもキヨシローに関しては、もうとにかく、なんでもいいから反対みたいな。あっちがどう言って関係ないから私は逆言いますよ、みたいな。

湘南ギャル: 近田春夫とかも結構。

葱: 近田春夫めっちゃ良かったですね。

しろみけさん: 多分あの人、風営法がいくら良くなっても絶対同じこと言ってると思う。それをちゃんと言ってるから、新鮮だなっていうか。だから、ヒップホップがロックに代わったとか、人気で言ったら代わったけど、そこは全然代わってないじゃんっていう。

湘南ギャル: どうなんだろ。昔はそういう主張する人はカッコよかったけど、今はダサいイメージがついちゃってるのかな。Twitterとかもあるから曲にしなくても、っていうのも。

しろみけさん: まあ、確かにね。曲にする理由がどんどんなくなっちゃうからね。ただ反対するだけだったら。

The End End: まっすぐな言葉でハッシュタグ作れちゃうからね。


純ちゃんがヒロトとマーシーに出会ってたら


The End End: じゃあ渡田。

渡田: 難しいな…話せそうな中だと『玉姫様』はまだ話題に上がってないから、それにしようかな。『玉姫様』とブルーハーツのふたつが今回特に好きだったんだけど、このふたつが好きなのは似た感情かもしれない。

The End End: さっき言ってたやつだ、暗い人のって。

渡田: なんか…陰キャの味方がちゃんといるなと思った。あのね、キヨシローが頼れなくなっちゃったの、この時代。陰キャの目から見ると。

しろみけさん: ほう。

渡田: 僕、シングルマンの時のキヨシローが1番好きだったのかなと思った。この時のキヨシローはなんか、情熱が、衝動が持て余されちゃってる感じが若干して、 純ちゃんみたいな衝動の方が僕は好きだった。繊細すぎて、わけわかんなくなってああなってる感じがあれに近い。ティム・バートンとかの映画を見た感じに近いというか…繊細な人がわけわかんない形で出てくるじゃん。シザーハンズとか。

しろみけさん: そうですよね。

渡田: あのわけわかんなくなってる感じ…なんか世の中があまりにも明るいとさ、暗い人間が周りにいると安心するんだけど。多分あの時代は暗い人が少なかったんだと思う、だから純ちゃんはどうしようもないんだと思う。20年前だったらまだ、気持ちを分かってくれる人も多かったと思うんだけど。

湘南ギャル: うん、うん。

渡田: で、それを出しようがなくなって、突然変異の結果ああなった感じがして、なんか…悲しい。見てて悲しい。悲しいことを言うのさえ難しいというか、まともな方法を取れなくなってる感じが、なんかかわいそうだけど、愛おしくなって。で、何が良いって、その後にブルーハーツがちゃんとあったことが、なんか、それと照らし合わせて、良いなって。素直な言葉で助けてくれる人がいたんだっていうのが。僕はあのふたつのアルバムの背景が、なんかすごい、好き。

湘南ギャル: 全然違うように見えるけど、なんだろう。親和性はあるというか。

渡田: 刺さる人は、どっちも刺さるんじゃないかな。似た人もたまにはいるんだろうし…純ちゃんがヒロトとマーシーに出会えてたらなと。

しろみけさん: 確かにその世界はあったのかもしれない。

渡田: だけどやっぱブルーハーツの方かなあ、僕が高校の時にかまってちゃんじゃなくて、ブルーハーツ聴いてれば、もうちょいまともだったのかなみたいな…

一同: (笑)

しろみけさん: 二次創作の方だ。

渡田: そう。鬱屈とした感じの時に寄り添ったのがさ。

しろみけさん: 並走だよね。

渡田: かまってちゃんと純ちゃんよりも、やっぱりヒロトとマーシーにあの時寄り添ってもらいたかったなあってちょっと思った。あのアルバム聴いて。

The End End: 俺、中学生の時はヒロトとマーシーだったな。

湘南ギャル: 結局そこが…

しろみけさん: 分かつものなんだ。(笑)


かすっちゃうと考えずにいられなくなる


しろみけさん: 俺ね、高1の時、めっちゃ戸川純好きだった。寄り添うとかではないかもしれないけど、"鬱屈"で言うと、なんか、すっげえハマったのよ。それがね、今となってはなんか、どんだけ聴いてもわけわかんないんだよね。言っちゃえば完全な共感ではないじゃん。コンセプト的に。それじゃないみたいな感じで考えていっても、なんで俺こんな好きだったんだろうって。

渡田: 『ショーシャンクの空に』のセリフに近いのがある。イタリア語の音楽を流して、“意味はわからなかったけど、言葉にできないぐらい素晴らしいことを表してるんだろうと思うと心が救われた“みたいなセリフがあって、なんかそれと近いものがあるような気がする。もう全部わけわかんないじゃん。歌詞もわけわかんないし、なんかの比喩みたいだし。

しろみけさん: うんうん。

渡田: 生理のこと言ってるけど、なんかそれも、はぐらかしみたいに思えるんだよね。誤魔化して言ってるだろうとか思ってたから。純ちゃんは言葉にできないレベルの…だからもう、言葉と表現の限界があるけど、わかんないぐらい切実なことを言ってるんだろう、みたいな感じで聴くことにしたけどね。

The End End: 私はそれを、表象で言ってる生理の話のまま書いたせいでああいう文章になっちゃったんだと思う。とにかくここで歌われていることが自分には一切分からないし、分かることも分からないことも正解じゃないみたいな感じがあって。男女の話に限らず、これは完全に、なんか俺と違うルールの人がいるなっていう。

しろみけさん: 確かに。わかるよ。これに向き合おうとしたら、やっぱ避けては通れない話としてあったとしても、何言いましょうか…みたいな。極端な、強い当事者性を押し出してきたものに対して、全然そのルートにかすりもしない人って何言おうっていう。

The End End: そう。俺、全くこれじゃないなっていうのが…

しろみけさん: だから私も、あんま分かんない、なのにこんな好きなのは。

渡田: なんか…気楽でいいよねって、ちょっと、思うよね。

湘南ギャル: 思うね。(笑)

渡田: かすっちゃうとね、考えずにいられないんだよ。何かがかすると、何か自分の中にある同じものを歌ってるんじゃないか?こいつは…と思うとね、もはや悩み続けるしかなくなるような。あまりにこう、謎めいてて。

しろみけさん: だから、正面から食らった人の方が…(湘南ギャルが)なんで怒ってるかわかんないって書いてたけど、そういうことは何を言えばいいかってなっちゃうんだよね。

湘南ギャル: 本人も多分わかってないんじゃないかなっていう。でもそれを出してるのが良いのかな。隠さないで。

しろみけさん: まず出せる時点ですごいよ。そう、出せる時点ですげえんだよ。

渡田: 戸川純、ちょっと、あまりにも難しすぎるな…

しろみけさん: いやでも、なんかより好きになったというか。もう1回聴こうって思った。

なんでもは知らないわよ、町田町蔵のことだけ


The End End: 俊介はどれが一番好きでした?

俊介: 僕は体調不良があって聴いてるのは5月からなんですけど、やっぱりINUとじゃがたらと戸川純は良くて、あとは...

湘南ギャル: あ、普段何聴いてる感じなのかをちょっと聞いてもいい?ごめんね、初対面すぎて。

俊介: 最近はあんまりポップスを聴かなくなって、映画のサウンドトラックとか。あとテクノとか。

The End End: テクノのイメージあったけど、聴くようになったのって後からなんだね。

俊介: ここ2年ぐらいで。でもそこからはそうですね、クラブで聴くような音楽を普通にイヤホンでリスニングとして聴くようになったみたいな感じで、あんまりポップスの抑揚に慣れがなくなっちゃって。 あと、感覚がすごい衰えた感じが...

湘南ギャル: リハビリみたいな感じ?ポップスを聴くと。

俊介: だから、今挙げたフェイバリットの3つも、新しく聴いたやつじゃなくて、前から知ってるやつで。

The End End: ああそっか、うんうん。

俊介: ブルーハーツも初めて聴いたんですけど、あれとか全然やっぱりピンと来なかったし、どこも好きじゃなかった。(笑)そうすると、INUとかじゃがたらとかは元から好きだったので、…歌詞がやっぱり面白い。町田町蔵とかは小説書いてて、文章がすごい。歌詞もウェットとドライな感じが両方混じってたり。 あとINUのギターとかも。誰でしたっけ…なんか今調べてもあんまよく知らない。

和田醉象: あ、INUは北田コレチカ。 あの人はINU以外には特に参加してない。

しろみけさん: すごいよ。俺も気になって調べたんだけど、ギターマガジンとかの(ギタリスト)ランキングに入ってるんだよ。

和田醉象: あれ一点突破。正確に言うと、その後、至福団っていうユニットもやってるけど。至福団の方がひょっとしたら好きかもしれない。

俊介: ああ。

しろみけさん: そう。俺も高校生の頃気になって調べて、この人って今何やってんだろうと思ったら、なんか全然分かんなかった。

渡田: 和田はなんでも知ってんだね。

和田醉象: 町田町蔵のことなら!

俊介: あとINUでいうと汝、我が民に非ズとかは聴いてます。

和田醉象: 汝、我が民に非ズはめちゃくちゃ良いよね。

しろみけさん: 良いですね。私もめっちゃ好き。

和田醉象: 7回ぐらいライブ行くくらい好き。

俊介: あと、(町田町蔵の)ソロもあるじゃないですか。あれも含めて、やっぱりここじゃないどこかにずっといるんですよね。全体として、本人がこの国のどこでもないし、世界のどこかでもない変なところに自分の身を置いてるっていうのが。サウンド的にも詩的にも。

和田醉象: じゃあINUがどうこうっていうよりは、町田康、町田町蔵が好きって感じだ。

俊介: そうですね。でもINUが、やっぱりフェイバリットっすね。


“誰か”のためのアルバム


The End End: INUの歌詞は最高なのに、じゃがたらが全然ピンと来ないや…

湘南ギャル: じゃがたらめっちゃ不評な空気があったから嬉しかった。今、じゃがたら褒められて。

俊介: いや、自分ってあれも優しさ感じるな〜みたいな。あったかい気持ちになる、裏返しだけど。それと同時に、じゃがたらの江戸アケミの文っていうのもすごい、うん、優しさ…あったかみみたいなのがある気がする。なんとなく追い立ちとか経歴も若干知ってるんですけど、途中で統合失調になっちゃって、最後も背負いすぎたのかもしれない、みたいな。

和田醉象: 風呂で死んだからね…俺、墓参りにも行ったことある。

俊介: あれって、オーバードーズなんですか。

和田醉象: オーバードーズっぽい。ライブに全然来ないとかもあったりね。

The End End: 俺、鬱が全くわからないな…

湘南ギャル: 良いことよ、良いこと。

The End End: 鬱的なものが全く分からないから。だから、その辺にピンとこない…自分にとってリアルじゃないんだよな。

しろみけさん: あー、確かに。俺もどちらかって言うと分かんないはずなんだけど。

The End End: 別に嫌いとか苦手っていうわけではないんだよな。

しろみけさん: いわゆるNot for meのやつでしょ。

The End End: そう、嫌いとかじゃなくて、これはなんか、俺じゃない人のためのアルバム。

しろみけさん: だから、“誰か”のためのアルバムだから(俊介は)優しさを感じたんじゃない。そう思わない人もいるってことは。

俊介: 確かにそうかも。

渡田: そうか、じゃがたらはそうやって聴けばよかったのか。歌詞あんまり意識して聴いてなかった。

湘南ギャル: 私が一番好きなのは、「やらせろ」っていう単語だけでグルーヴを作っていくような、そのシンプルさが私は好き。

俊介:「ええじゃないか」みたいな雰囲気ですよね。

湘南ギャル: すごくわかる。

俊介: その投げやりになる瞬間っていうのは、どうでもよくなったっていうのとはまたちょっと違う… 信頼っていうか、人を好きになる余地だけ残してる感じ。手放しに放り投げてるわけじゃないっていうか、微妙な感覚があってですね。INUとかも戸川純はー…、

渡田: じゃがたらは分かる。純ちゃんが鬱かどうかは分かんないけど。純ちゃんは、あれは、防衛反応。 じゃがたらの方が鬱に近い。純ちゃんはまだ、殻って感じ。

しろみけさん: そうなんすよ。江戸アケミは心配が勝っちゃう。

The End End: 明らかに世の中と折り合いがつけられてない人の歌詞じゃん。INUはそれなりに折り合いはついてるから、 だから俺もまだ乗れるんだよ。

渡田: その3つだったら、一番心配になるのはじゃがたらだね。

The End End: そうだね。

湘南ギャル: 好きだけどね。なんも考えずにめっちゃ踊ってたし。


参上!“面”で言いたいマン


俊介: あとはこのリストだと、Phewとかも良かったです。

しろみけさん: あ、めっちゃ好き。俺はスターリンと並んでPhewめっちゃ好きだった。

The End End: 好きそう。その辺好きそう

俊介: なんか、好きになれたのが嬉しかったですね。

しろみけさん: そう、前にライブで見たの。ライブも結構あれの通りにやる。通りとは言わないまでも、ああいうことを。

The End End: Phewさんは海外評価もめっちゃ高いよね。

和田醉象: 俺はAunt Sally(Phewが参加していたバンド)がめっちゃ好き。Phewは今回聴いたやつの次のアルバムが好き。あの、うなじ写ってるやつ(『Our Likeness』)。

しろみけさん: Phew良かったんだよなあ、今回。


和田醉象:そこらへんと(裸の)ラリーズに繋がりがあったりとかね。

The End End: ラリーズも良かったんだよなー!今日話す範囲じゃないけど。

和田醉象: 俺、ラリーズの話は3時間したい。psf界隈の話。

(以下、しばらく和田氏によるラリーズトーク。詳細は今後のレビューをお楽しみに…どうやら、キーワードは“面”です。)(“面”については、『Vibra is Back』の記事における和田氏のレビューもご参考に。)


しろみけさん: 和田さんはこの前もそうだけど、これまた次の回も同じ話をするわけ?

The End End: そう、なんで毎回先取るの?

和田醉象: これは”面で捉える”の話。

しろみけさん: “面”か。スタート”面”から行ったのか。

和田醉象: だから、それで言うと...

The End End: それで言うのか。(笑)

和田醉象: スターリンとか、あとは近田春夫とかはこう、“面”で捉えるアルバムでしょ。だからカッコいい。

The End End: 近田春夫もあれ、2mixだもんね。ライブの演奏を、ミキサーからの信号をDATで録って...

山下達郎は僕たちの敵ではなかった


The End End: みせざきは?結局『軋轢』なんだっけ。一番好きって書いてたよね。

和田醉象:『軋轢』も”面”だよね。

一同:  (苦笑)

みせざき: でも、どれも結構等しくあ、すげえなって。感激っていうか。感銘を受けるみたいな。

渡田: 文章もなかなか力入ってたから、そうなんだろうなと思ってた。

みせざき: そう、ひとつひとつに、印象っていうか、凄さを感じたから、これっていう1枚が…ヤマタツとかも最初聴いた時はするっと抜けていくような感じなんだけど、聴いてるうちに、ギターとかクセになる感じもあって、聴いてて面白かったなとか。

しろみけさん: いや、本当ですね。

The End End: そういえば、陽キャ問題はみんな解決したんですか?

湘南ギャル: いや、『RIDE ON TIME』で和解できたと思ったんよ。一回和解しかけた。『RIDE ON TIME』は、本当になんかその、”明るい”をめちゃくちゃ真面目にやってる感じがあったから、カッコよかったなって思って。

渡田: わかる。

湘南ギャル: でも、次のアルバム聴いたら、なんかこう、斜めに。(笑)

The End End: 斜めに。

渡田: 割といけるようになったかな。ヤマタツは。

湘南ギャル: そう。前よりかはそう。

渡田: なんか陽キャらしさよりも、丁寧なところが出るようになってきたんで、なるほど敵じゃあないか…みたいな。

湘南ギャル: 確かに、ちゃんとやってる。

The End End: サウンドオタクのアルバムとして聴けるようになってきたんだ。

目にもとまらぬ脚韻、私でなきゃ見逃しちゃうね


渡田: みせざきはギターで影響を受けた作品はないの。

みせざき: 今回はギターでいうとあんまり…

The End End: まあ、『軋轢』的なサウンドで言ったら、みせざきは元々知ってるやつになるわけだよね。

湘南ギャル: ああ、そうだよね。

みせざき: どちらかと言えば歌詞が。日本語の感じがすごいして、それが馴染むというか。違和感が全然無い。入ってきやすかった。

The End End: いとうせいこうとか、あんまり踏んでないのにね。

しろみけさん: ね、そうだよね。

The End End: あんまり踏んでないのにさ、乗ってるからすげえって。

渡田: グチャグチャだよね。

しろみけさん: イメージ、「業界こんなもんだラップ」とかさ。いわゆる一番最初のラップって言われてて。あれはもう超(韻の踏み方が)硬いみたいな感じだったけど、そこからこういう風に成長というか、 スタイルが変わったんだなって思う。

湘南ギャル: や、でも、あのアルバムの時は本当に(ラップにおける“ライム”の対訳としての)“韻”が日本に浸透してなかったらしくて、本当に語尾でちょっと踏むみたいなのが多くて。なんかアルバムのおまけとして、その、よくわかんないんだけど、日本語を5個ぐらいにいとうせいこう自身が場面分けして、こういうスタイルがあって、この歌詞はこういう風に(韻を)踏んでますよ~みたいな解説書みたいなのがついてたらしくて。だから…

The End End: 当時にしては踏んでたんだ。

湘南ギャル: そう、あんまり踏んでないって言われるのは嫌みたいな。再発盤にはその解説書が付いてないからまあしゃあないか、みたいなことを言ってるのを見つけた。

しろみけさん: そんなのあったんだ。

The End End: 面白い。

湘南ギャル: 私もあんま踏んでないって書こうとしたけど、それ見てなんも言えんくなった。すいません…って。(笑)

和田醉象: でも韻ならINUとかの方が踏んでるよね。

和田&湘南&End : 毎日♪8時に♪あれをやり♪これをやる♪顔がたくさん♪(合唱)

渡田: みせざきはINUとか戸川純のギターとか好きじゃない?と思った。ちょっとニューウェイヴっぽいのが好きなのかなと。

葱: INUのコーラス(エフェクト)のかかり方とかめっちゃ気持ちよかった。

The End End: ポリスみたいだよな!

みせざき: それは俺もそうやって書いた気がする。

渡田: ギタリスト目線でいうとINUとか戸川純かなと思ってたんだけど。

みせざき: …………………………戸川純のギターは全然覚えてないや。

一同: なんだよ!(笑)

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中編はここまで。後編では反対に、メンバーのピンとこなかった作品についてお話していきます。

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