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歴史研究717号を刊行いたします

2023年12月末に『歴史研究』717号を刊行いたします。
本号の特集は「最新研究 中世城郭Ⅰ――類似遺構・塀・聖地・のろし」です。

平城・山城・平山城など、中世城郭と称されるものは全国に4万件以上存在するといわれています。実地調査や文献調査から、「軍事的防御施設」としての活用が一般的な用途とされておりますが、居住施設、宗教的な用途としての側面も明らかとなっており、実態については検討の余地が多く残されているのが現状です。
そこで本特集では、城郭遺構と極めて酷似した城郭類似遺構や、軍事的用途の土塀やのろし伝達網の存否、そして宗教的用途としての聖地と、中世城郭研究において重要となる4つのテーマについて最新の研究成果をご執筆をいただきました。
中世城郭の本質とは一体なんなのか。最新研究によって明らかとなっている城郭研究の現状と課題を知れば、山城巡りの楽しみがより一層ひろがることかと思います。

いずれも城郭研究を牽引する方々にご執筆をいただきました。
2023の締めくくり、そして2024年の門出にふさわしい特集になったかと思います。刊行を乞うご期待ください!



【目次】

カラーグラフ
 絵画資料に見る中世織豊期城館
スペシャルエッセイ 『徳川家・松平家の51人』取材旅行記 堀口茉純
歴史ジオラマのせかい 堅田の町並
武士の美 武田軍の先陣を務めた猛将が所用

巻頭随想
 いま、伝えたいこと 新編『歴代天皇の御製集』に学ぶ   所 功

特集 最新研究 中世城郭Ⅰ――類似遺構・塀・聖地・のろし
 城郭類似遺構――どこまでが城の遺構なのか   髙田 徹
 中世城郭の塀について考える   髙田 徹
 城館と聖地――中世山寺からのアプローチ   福永清治
 城を結ぶのろし伝達網はあったのか   関口和也

新発見! 文化財ニュース   編集部

新出史料紹介
 永倉新八こと杉村義衛の新史料見つかる   伊藤哲也

研究ノート
 戦士たちの冑佛信仰   河村隆夫

研究ノート
 「北海道特有のかるた」考   蜂谷彰規

大和王権と古代氏族 第21回
 阿曇氏の出身と性格への疑問   松尾 光

縄張り図で読み解く近世城郭 第10回
 丸亀城――支城、廃城、そして居城となった高石垣の城   髙田 徹

戦国の国衆文書を読む 第19回
 佐野宗綱、「弓矢評定」のため家臣を招集する   久保田順一

文化教養講座「歴史の質問帳」第26回
 元号の由来と変遷   渡邊洋一

学生招待席
 甲斐国内の扇状地における居館と詰城の地理的関係   成城高等学校 片岡義秀

地域史新論
 住宅街に消滅した幻の鉄道貨物廃線――北王子貨物線廃止とその痕跡   川本斉一

地域史新論
 『重久氏系図』からみる税所一族   重久直子

史談往来
 【会員随想】クーデンホーフの欧州統合論 内藤徹雄
       漬物の話 斎藤秀夫
       関東武士と天神菅原道真 大澤謙司
       世田谷城跡と保存会の活動 河原英俊
       新選組勘定方大谷勇雄は阿部十郎に殺害された 浦出卓郎

会員動向 
 
日本100名城巡り達成を記念して   大澤俊彦