【ショートショート】オーボエの赤ワイン煮
音楽を奏する者にとって、緊張とは良きパートナーでなければならない。
たまたまだった。ネットで「オーボエ 個人レッスン」と検索した。彼女はエメラルドグリーンのドレスで、オーボエを頬に添え、モナリザのあの微笑みで私に「おいで」と語りかけている。
艶やか、しかも何て慈悲深いのだろう。クラシックの女性音楽家は概して美人だと相場だが、ピアノやヴァイオリンは神経質すぎる。主旋律を奏で柔らかさもあるオーボエは、まさに私にとって天上の楽器となった。楽器は人格を映す鏡なのだ。
あなたの